(6) 日本の管理職給料は「中国よりずっと下」 大卒初任給”40万円”は普通の水準-1 (2018.3.31) by 溝上憲文 を抜粋加筆しました。

アジア各国の給料相場がぐんぐん上がっています。
最新の調査によれば、中国やシンガポールなどの管理職の給料は、日本企業の管理職よりはるかに高い。

専門家はといいます。
「この10年の間に日系企業の給与は低いというのが労働市場に定着してしまっている。給与で日系企業が優位性を持っている国はどこにもない」


中国企業の台頭は今に始まったことではないが、業績や規模の拡大に伴い、中国の現地企業の給与は毎年平均10%程度上昇しています。
この状態が続けば日本の給与を上回るのはそう遠くないでしょう。


そう聞いても、「日本の給与のほうがアジアの中では断然高い」と思っている人もいるのではないか。しかし、すでに現実はそうではありません。

人材紹介業大手のJACリクルートメントがアジア各国の中途採用時の給与水準を調査した「The Salary Analysis in Asia 2018」(業界、職種ごとに区分して調査。調査期間:2017年7~9月)という公表資料があります。


この調査は各国の「日系企業」「欧米系外資」「大手現地企業」を比較したものですが、たとえば「経理課長」の年収を指標に日系企業と現地企業を比較してみましょう。


在中国の各企業の経理課長の年収は以下です。
・日系企業: 5.6万~15.4万元
・現地企業: 12.3万~20.5万元

在中国の各企業の部長級の年収は以下です。
・日系企業: 15.4万~35.9万元
・現地企業: 20.5万~41.1万元

日系企業のはるか上で、中国の現地企業は「欧米系外資」と同水準といいます。


調査を担当したJACリクルートメントの黒澤敏浩フェローは言います。
「日系企業は早い時期からアジアに進出していますが、その後に欧米系外資が進出し、日系より高い給与で人材を引き抜かれるケースが増えました。

その後、現地企業の業績拡大に伴い給与水準が上がり、日系企業から現地企業に人が流れるケースも増えており、給与を上げないと人材を確保できない状況になりつつあります。」


日系企業の給与体系は、指数関数的に(年齢とともに年齢以上に上がっていく)増えていくので、課長職や部長職になれば、中国企業に比べれば給与が高いものだと思っておりました。

そして、在中国日系企業には、ガラスの天井があり、日本人部長職などを占める状況が多い中、ずっと働き続けても給与が日系企業の方がかなり下回るということです。


日系企業の課長職到達年齢は、非常に遅いです。
・日系企業: 目安40才
・現地企業: 目安30才まで

生涯年収にしたら、かなりの差になります。
日系企業社員にとっては、つらい現実ではないでしょうか。