(3) 中国人学生に日本企業は踏み台? 日本語学んでも、成長して給料増えた中国企業へ-2 浦上早苗(2018.12.3)を抜粋加筆しました。

2014年に大連の大学を卒業した張永紅(28)さんは、山東省に工場を持つ日系メーカーに就職。
発注管理の仕事を2年ほどして、北京の日系広告代理店に転職しました。

転職した年の月給は6000元(約9万8000円)。
その後、毎年1000元ずつ上がり、今は8000元(約13万円)に増えたが、「3年経ったので、そろそろ転職するつもりです」と明かします。


「欧米の同業他社に比べると昇進の機会が少なく、給料も限界があります。
私は日本語が専門なので、日系企業が入りやすいと思って今の会社を選びましたが、欧米企業への転職を見据えて、英語も勉強してきました」

張さんの勤務先は、日本では誰もが知る大手企業ですが、
張さんは「中国では知られてないですから……。給料も下手するとIT企業の新入社員よりも安いですよ」と苦笑しました。

日本語人材の就職環境はリーマンショックや尖閣諸島問題の影響を受け、2010年代前半に悪化。
特に日中関係が冷え込んだ2013年前後は、大連の大学の日本語学科でも入学希望者が減少しました。

中国企業が成長し、外資企業並みの待遇を提供するIT企業が現れたことで、外国語人材よりIT人材の方が好条件で就職できるという考えも広がりました。


大連の国立大学日本語学科で授業を受ける4年生。
この大学では、卒業後に日本関連の仕事に就くのは6割ほどだといいます。

だがIT業界の成長によって、最近は1周回って新たな日本語人材需要が生まれています。

2018年6月に大学を卒業したばかりの徐勇さん(22)は、アマゾンの北京オフィスに就職して間もなく3カ月。現在は日本のアマゾンに出店する中国業者をサポートします。

そんな彼の就職第一志望は、Tik Tokの運営企業、Bytedance(字節跳動)でした。


「中国のコンテンツプラットフォームの多くが、日本語ができ、日本カルチャーに詳しい人材を募集するようになりました。日本のコンテンツは中国でも人気ですからね。

日本と中国のどちらで就職するか迷っていましたが、中国や欧米のIT企業でも、日本語を生かせる環境が増えているのを知り、帰国を決めました」


大学本科の日本語学科を卒業したのに、中国民間企業へ転職していく中国人の方が増えています。その中には日本語を使わない会社もあり、その場合は、日本語学科卒という学歴のメリットはありません。

しかし、昨今の中国民間企業の勢いは凄まじく、日系企業が日本語手当を給与に上乗せする支給金額より、中国民間企業が手当無しに支給する金額の方が高くなっているのです。


先日も、私が担当している在上海日系企業の人事担当者から「今度転職するので、後任の紹介をします。」というメールをいただきました。

「どこに行くのですか?」と質問したら、中国民間企業でした。
日本語は使わない企業とのことです。

https://www.businessinsider.jp/amp/post-180439