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勉強会の講師を半年間やってみた感想

今年からプロボノでITエンジニア向けにマネジメントの勉強会をやらせていただけることになりました。

とはいっても大々的なものではなく、お試して限られた人数でやってみるというものです。クライアント企業はまだIT関連事業を始めたばかりだからです。

とはいえ月1ペースで毎回1時間の講義をやってみると、気付きもあるものです。

今回は毎月1時間の勉強会の講師をやってみた感想を書いてみます。


依頼内容と内容の検討

依頼内容

クライアントはIT事業を始めてみて、人材会社からITエンジニアを紹介してもらったものの、マネジメントは苦手、マネジメントは無理という人が多いと感じたとのことです。

それでITエンジニアがマネジメントを学べて、マネジメントスキルが身につくような勉強会をやってくれないかという話になりました。

勉強会の種類

勉強会と一口に言っても、いくつかの形式があります。一般的には次の3つが多いと感じています。

  • セミナー(講師が講義を行う)

  • 輪読会/読書会(テーマとなる書籍を参加者で読んで意見を言い合う)

  • ライトニングトーク会(テーマに対して参加者がライトニングトークを行う)

企業が開催する勉強会の場合、セミナー形式が多いと感じています。理由はPRでしょう。それゆえ自社のベテラン社員、あるいは自社のコネでノウハウがある人に講師をやってもらうという形を取ります。

私が所属している会社でも、会社の認知度アップのためにセミナー形式の勉強会を実施しています。社員のコネを伝ったり、ベテラン社員に頼んだりしています。

一方で有志が集まって行う勉強会は輪読会/読書会、ライトニングトーク会が多いと感じます。

これは参加者にできるだけ発表してもらいたいからという理由があるのでしょう。

内容の検討

今回の依頼はマネジメント力が身につく勉強会をやることです。そして依頼主は企業です。

となると先ほどの3択ではセミナー形式が適しているとなるでしょう。

マネジメントをやったことがない、あるいは始めたばかりの人に、マネジメントをテーマに課題図書を選んでもらうとか、ライトニングトークをやってもらうのはハードルが高いでしょう。むしろ教わりたい側でしょうから。

しかしセミナー形式ですと、私には疑問があります。講義を聞いて納得はできるんだけど、実践しないと納得して終わりで身につかないと思うのです。

そこで私が2010年代半ば頃によく参加していたハーバード・ビジネス・レビューの勉強会でやっていた形式を取ることにしました。

この勉強会は読者が集まって、運営メンバーが本誌からお題を選ぶという形式でした。参加者は事前に自分の意見を考えてきます。

そして当日は4~6人のチームに分かれます。まずは参加者全員が意見を言います。そしてチームごとに意見をまとめて発表します。

しかしこれを参考にするなら、マネジメント経験が少ない、あるいはない参加者に検討してきてもらうというハードルが発生します。

そこで私が講義をして、ハーバード・ビジネス・レビューの勉強会のようなワークショップをやる形式にしました。

これなら参加者は事前準備が不要です。

まずは私がマネジメントをする上で知っておくとよさそうな知識を選び、15~20分の講義を行います。それからお題を出し、参加者は15分の時間制限で各自で考え、発表します。

講義はザックリ15~20分で、ワークショップに40~45分も使います。実践力に重点を置き、納得して使わずにおしまいではありません。

またみんなで発表することで様々な意見を聞けるので、引き出しを増やすことにもつながると考えました。

本番中に躓いたこと

実際にやってみて難しいと感じたことは、ペースと時間です。

仕事柄、人前で話すことはよくあるのですが、講師は慣れていないので焦ってしまいました。早口で進めてしまうので、参会者がついてくるのが大変になってしまいます。

それからワークショップに時間がかかりすぎて制限時間を少しオーバーしてしまうこともよくありました。みなさん色々な意見を出してきて凄いなぁと。

一方でリスク管理とかボトルネックなどは、ちょっと難しいお題だったのか、ワークショップの時間が少なくなりました。

見積の話は解説することが多くて、講義と質疑応答で30分くらいかかってしまいました。

講義の目安時間が15~20分と言っても、テーマと質疑応答次第で15~30分とかなりばらつきがありました。講義に盛り込む内容もバランスを考える必要がありそうです。

それから勉強会自体はZoomでオンラインでやるのですが、発表内容は口頭だけだと今一なので、チャット欄に貼ってもらった方が解りやすいと感じました。

これがオフラインだったら、ホワイトボードに書いてもらえばいいですね。ハーバード・ビジネス・レビューの勉強会では紙とホワイトボードがあったと思います。

解ったこと

有志による勉強会は輪読会やライトニングトーク会が多い理由

有志による勉強会が輪読会やライトニングトーク会が多いと感じていましたが、自分自身が毎月1時間の講義をやってみて、理由が解りました。

毎月1時間の講義を無償でやってもらうのはハードです。講義の準備は楽ではありません。私は2~3時間でやっていますが、ワークショップ中心だからです。

普通に講義中心で準備したら、10時間くらいかかってしまうのではないでしょうか?

よほど出しゃばりで話したがりな人を除けば、これほどの準備を有志の勉強会で依頼するなら、謝礼を払わないとまずいのではないでしょうか?

とはいえ有志の勉強会で謝礼を用意するのは大変です。

そう考えると課題図書をみんなで読んで意見を言うとか、ライトニングトーク会をやる方が現実的でしょう。

ブログが練習になる

日頃からブログを書いていると、資料を作るのが楽になると感じます。

ブログを書く際は、特定のテーマについて本を読んだり情報収集したりして、そこに自分の経験を加えて書きます。

勉強会の講義の資料も同様です。

そして勉強会の講義の資料はブログでやっていることと比べると、概要レベルなのでミニチュア版みたいなものです。

よってブログを日頃から書いていれば、講義の資料に書く内容をまとめるのが速くなります。それゆえ講義の資料を作るのも速くなります。

準備が勉強になる

勉強会の準備をするために本を買って読んで知識を理解します。

また勉強会の講義の資料で表や例を作るために、本の該当箇所を何度も読みますし、何度も読んで表や例を作るので、理解も深まります。

講師の仕事では、教えるために勉強が必要だから教えることは勉強になるという話もあります。

ワークショップは色々な意見が出るから面白い

ワークショップをやると、参加者各自が色々な意見を出してきます。

多くの人に共通している意見もある一方で、人それぞれの意見もあります。

例えばリスク管理で客先会議のリスクをお題にしたら、交通機関が遅れるというリスクを多くの人が挙げました。

人それぞれ違う意見は本当に人それぞれで、そんな発想もあったか!と驚くものもありました。

こうやってみんなで意見を出し合うことで、練習しつつ引き出しを増やすことにつながればいいなと思います。

終わりに

勉強会の講師をやってみて、学びは多いと感じました。

準備のためにも勉強になりますし、やってみるとペース配分で上手くいかないですし、思ってもみない意見も出たりするからです。

今年一杯は続く予定ですので、引き続き頑張ってみたいと思います。


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