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【読書】わが投資術 市場は誰に微笑むか

最近流行っているらしい「わが投資術 市場は誰に微笑むか」を読んでみました。

まさか会社員にして資産800億円超、大企業の経営者を抜いて長者番付1位になったファンドマネージャーがいたとは驚きです。

しかもヘッジファンドが日本に全然ない頃にヘッジファンドを始めたそうで。

個人投資家として興味をそそられる書籍です。そしてこれほどの人だと後継者となるファンドマネージャーがいないのも無理はないでしょうね。

こういうやり方をサイエンスにできればいいのですが、判断はアートの要素が大きいですから。

ところで本書は投資の初心者には用語が解らないと思います。ある程度投資とか金融を知っている人向きだと思います。

さて振り返ってみましょう。


小型株成長投資が一番稼げる

大きく稼ぎたいなら小型株

著者の投資スタイルは割安な小型株に投資して長期間保有するという方法です。そして大きく上がったら履歴確定するのです。本書の表現で言うなら「パーティーが始まったら帰る」ですね。

私も色々な投資法を調べてみましたが、一番大きく稼げる方法は小型株成長投資のようです。

今は安くて注目度も低いけど、ちゃんと稼げて将来大きく成長する会社を探し出し、集中して投資するのです。

私は元々は高配当株でやっていましたが、これでは利回りが10%程度、高くても20%程度しかいきません。

しかし小型株成長投資なら3~5年かけて2~3倍に伸ばせる可能性があります。10バガーを見つけることは困難ですが、株価が大きく伸びる可能性がある会社はあるでしょう。

これだけでも利回りは20~30%が狙えそうです。

小型株の株価が上がる条件

まずはネットキャッシュに注目します。ネットキャッシュは現金及び現金化できるものから負債を引いた値です。正確には流動資産+投資有価証券×0.7ー負債です。

ネットキャッシュが多い会社はお金を沢山持っている会社ですので、自社株買いや増配という株価上昇につながることをする余力があるのです。

利益が平行線でも、自社株買いや増配が行われれば株価は上がります。

次にバリュエーションの梯子というものが出てきます。これを使って小型株の株価が上がる過程が解説されています。

まずは無名な小型株が業績を上げると、個人投資家や小型株のヘッジファンドが参加してきます。

こうして注目度が上がると小型株を得意とする証券会社のアナリストがレポートを書きます。そういえばアナリストのレポートは大型株が中心で、小型株では見かけないですね。

そしてアナリストがレポートを書くと徐々に認知度が上がって、投資信託なども参加してくるわけです。こうして認知度が上がってくると、その会社の株を買う人が増えてきます。

最初は無名でもネットキャッシュが沢山あって業績も伸びて行けば、認知度と人気が上がってPERが切り上がっていくというのです。

こうして業績以上のペースで株価が上がって行きます。小さな会社が業績を2倍、人気でPERを2倍とすれば、株価は4倍です。

お金をタップリ持っていて、業績も好調な小型株は、株価の上昇余地が大きいのです。

私は業績が上がるかどうかだけ見ていましたが、こうやって認知度と人気が上がることによる株価上昇もあるんだなと知りました。

ただしグロース市場は割高

本書では旧東証マザーズ、現東証グロースは割高で最悪と言っています。

グロース市場は主に成長志向のベンチャーが多いのですが、これらの会社は1つの製品・サービス・技術などでスケールを狙って成長し、上場します。

しかしそこからの展開を上手くやらないと、限られた製品・サービス・技術だけでは会社を大きくできず、また流行も変われば需要が下がってしまいます。

だからグロース市場を見ていると、業績が急成長している会社もあれば、赤字続きの会社もあり、株価も最初の1年くらいだけ好調でダラダラ下がり続けている会社も目立ちます。

本書は東証スタンダードの方がいいと説いています。

逆張りで行く

トレンドフォロワーとコントラリアン

本書にはトレンドフォロワーとコントラリアンという言葉が出てきます。

トレンドフォロワーとは流行について行く人のことです。上昇相場についていき、相場が下がり始めたら売るというスタイルです。テクニカルの本はこういうやり方を解説していますね。

コントラリアンというのは逆張りをする人のことです。人気のない割安株を買う、暴落時に買い集めるなどをする人たちです。

投資の格言で落ちてくるナイフを掴むなというものがあります。暴落時は逃げるが勝ちで、買ってはいけないのです。

また多くの人は有名な会社の株や投資情報サイトで話題になっている会社(昨今なら半導体企業)の株を買うでしょう。これはトレンドフォロワーのやることです。

コントラリアンは最初は損するが後で大きく儲ける

コントラリアンは人気のない小型株を買い、暴落時(リーマンショックやコロナショック)に株を買い集めます。

よってコントラリアンはどうしても買ってしばらくは含み損が出てしまう可能性が高いです。トレンドフォロワーならさっさと損切しろと言ったところでしょう。

私も割安な株を買いたい派なので解ります。コロナショックでは安くなった三菱東京UFJを買いまくって、そのおかげで利回りが20%を超えました。

しかし買うタイミングが速すぎて、割安だからと買ったのにそこから1割くらいさらに株価が下がってしまうこともよくあります。

とはいえ私は落ちこぼれなので逆張りというやり方は好きです。

小型株投資では投資先をよく調べることが大事

小型株は会社があまり大きくないゆえに経営者が9割と本書は解説しています。

確かに小型株は300人くらいまでの会社もよく見かけますので、社長の色とか方針で会社が大きく変わりそうです。もっと大きくなると仕組みで回すようになりますし。

それゆえ著者のファンドでは取材を何度もしたそうです。というかファンドは投資先を取材して判断しているそうです。

ところが小型株の場合は経営者が色々で、仕事と関係ない話ばかりしたり、ビジネスについて語れなかったりというケースもあるそうです。これではダメでしょうね。こういう会社は大体ダメになったそうです。

また著者曰く、最近は個人投資家でも十分に情報を得られるとのことです。私も最近はIRをチェックし、四季報も読むようにしています。さすがに個人では取材はできませんが。

ピンチはどうしてもある

本書には著者のファンドにおける資産額の推移が出てきますが、とてつもなく上下しています。

つまりどうあがいてもいいときと悪いときはあるのです。そしてピンチもあるのです。

私も何度か失敗していて、今年はいよいよ最大のピンチを迎えました。

しかし本書を読んでいると、ピンチはあるものなんだなと感じます。そして著者は株式投資に才能はなく、どれだけ失敗から学んだかだと説いています。

著者の言葉を信じて地道に頑張ってみようと思います。

終わりに

本書には驚きの内容が沢山ありました。

株式投資をやっている方で、長期投資派の方や上手く行くやり方を模索している方は、本書を読んでみてはいかがでしょうか?

株式投資にやり方は数多くあれど、正解はありません。自分に合ったやり方が大事だと思います。

私にとっては投資先をよく知って投資することが向いていると感じます。逆張りが好きですし、経営に興味がありますので。

競争に勝つのが得意ならトレードの方が向いているかもしれません。向き不向きは人それぞれだと思います。

しかし長期投資をやりたいならば、本書を読んでみるといいと思います。本書には驚くほど様々な知見が書かれています。全部ぶちまけてしまえと書かれているだけのことはあります。

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