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収入とか、働くこととか

12月に個人事業主として開業して、ようやく初めての収入があった。
広告代などの経費を除くと、小銭しか残らないような額だけれど
それでも初の黒字で
こころの奥に小さく温かな灯がともったような
そんな気持ちを味わった。

大きな組織の役職を降りて、去年の春に退職して
秋から事業準備を始めた。
毎日、何かしらの仕事をしてはいても
「お金になる仕事を何ひとつしていない」という窮屈さのようなものを
ひしひしと味わっていた。

退職金もあるし、夫も収入のある仕事をしてくれているし
生活が今すぐ困窮するわけでもない。
だけど、肩身が狭いっていうのかな。

日々の買い物をする時に、以前だと考えなかったことが頭をよぎって
手に取った商品を棚に戻したり
友だちとのランチにちょっとした罪悪感のようなものがあったり
ライブのチケットの値段だって、前と変わってはいないのに
私の楽しさレベルが以前とはどことなく違ってしまっていたり。

収入が減った分、支出は減らしていかなきゃいけないし
お金に対するマインドも変えていかないといけないのだから
“あるべき道”をたどっているのだろうけど
それとは別の“やり甲斐”に近い何かを持たない自分が
こんな風に好きなことにお金を使っていていいのか?みたいな
モヤモヤがずっと晴れずにいたのも事実。

だから先週から今週にかけて入った僅かな収入が
額面以上の大切な何かを私に届けてくれたことが
うれしくて仕方がない。

お金とか働くとか、そういうことについての根本的な
あるいは原始的な何かが
以前とは違った形で分かり始めている。

子どもの頃にお小遣いでもらったくらいの額だけど
お小遣いでもらった嬉しさとは違うし
就職して初めてもらったお給料の何十分の一だけど
ひとに指示されてこなした仕事でもらった嬉しさとも違う。

起業して初めて、私は収入とか働くこととかを
学び直しているのだなと思う。
そして、そのことを今とてもうれしく思っている。

今は肩書きも何もない。

「仕事を辞めて、いま何をしてるの」とか
「これから何を始めるの」とか聞かれても
うまく説明できなくて
「せっせと手足を動かしながら、何かが見えてくるのを待ってるんだよ」
と言いたいところだけれど
やっぱりうまく伝わらなくて
でも、大事なことを自分が分かっていさえすれば
私は私のことを好きでいられるし
大切な何かが分かり始めているのだから
今いるところは間違っていないと思う。

こういう“初心”みたいなものは
時間が経つと泡と消えてしまうので
こうしてちゃんとここに書いておくことにする。

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