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【番外編】自分を許すってなんだ?の具体策【思い込みこわい】1/230610


人間は思い込みで死ねる。

本気で言っている。

「あの人恵まれてるのに死ぬなんてねぇ」

「あの人、あんなに色々なものを持ってるのに思い悩むなんて」

みたいな話がよくある。
私自身、他人に対して「なんでそんなに恵まれてるのに思い悩むんだ?」と思うこともよくあったし、24-27歳のガチ引きこもりのバリバリの鬱の時に母親に言われたこともある。

極端な話、人間は思い込みの生き物で、それだけで死ねてしまうのだ。


保留のかつての奇行のお話


これ本気で狂ってた時の話なので本気で話したくないけれど、【思い込みこわい】話のモデルとしてはちょうど良いので書く。

なんなら本気で書きたくないくらい。

2017年のちょうど今頃、私は頭が狂ってしまった。
その話は今度するとして、これはその直後の話。
おそらくあまり人にしたことは無い話で、それくらい話したくない話。

当時、5月末に10日間ほど本気で死ぬかどうかの瀬戸際の状況に陥った。
救急車にも乗ったし、絶食でほぼ水分も飲んでもおらず、全く眠れず高熱も出していて水でも胃痙攣のようなものを起こすし、極め付けに「助けて」と言って初めて元旦那さんにすがったつもりがその奥のテレビのテロップを読んでいた。
その後気絶。

とにかく頭も身体も狂ってしまったのだった。

やっとそこを切り抜けて6月。
本当にちょうど今頃の話。

ふと、生理が来てないな、と思った。
初潮以来、生理不順がひどくて今でもピルを飲まないと4.5ヶ月生理が来ない。
どうやら無排卵でもあるらしく、ホルモンも自律神経もとても良くないのがデフォルトだ。

当時、夜中にふと生理について調べていると子宮体がんの検査、というものが目に入った。

子宮体がんの検査はけっこう辛いもので、ほとんどが麻酔なしで子宮掻爬をする。
つまり、子宮内を麻酔なしで掻き出すのだ。
それって堕胎手術とほぼ同じで、ほとんどの場合は麻酔をしないらしいと知った。

恐ろしくて仕方なくなった。

怖くて怖くて、「そんなこと絶対したくないし、するとしたら麻酔してもらわないと無理だ」と顔面蒼白になった。

その瞬間から24時間「子宮体がんの検査怖い」に捉われ始めた。
まだ支援センターに通う前だったので日中誰とも話さないし不安だけが募っていく。

怖くて怖くて怖くて仕方ない。

寝ても覚めても家事をしても何をしていても怖い。

ついに奇行に走る。

当時住んでいた近辺の大きな病院の婦人科に片っ端から電話をかけて「子宮体がんの検査の麻酔はないか?」を聞いて回った。
どこの病院も訝しげに「検査の予定があるんですか?」と聞く。

もちろんそんな予定はない。

というか、そもそも完全に関係ない。

今思えば「なんで?どした保留?」と笑えるんだけど、いや笑えはしないけど「きみやべーな」と苦笑いくらいはする。
暇なん?とも。
暇だったんだけど。

そこから一週間くらいしてもまだ泣いて思い悩むノイローゼの私に、ついに元旦那さんが

「よし、もうやめよう。
今から婦人科行くから電話する。
 そんな風になるなら確かめてもらえばいい。
 ここんとこそれしか言わないから確かめてハッキリさせよう」

ちょうど土曜日だったので元旦那さんは家にいて、あまりの私のノイローゼに決着をつけようとしてくれた。

「行って子宮体がんの検査したらどうするの」と泣くと「いやその予定ないじゃん。俺も調べたけどあれって事前検査してから予約してやるじゃん。
ないんだから診察ついでにどんなもんなのか聞いてくりゃいいじゃん。47分のバス乗るから準備して」。

旦那さんに予約してもらって、服を着替えたらもう行くしかない。
道中、徐々にまともになってきた。

「そーだよ内診してもらって聞きゃいーじゃん」

と思い始めてきたのだ。
そこは狡賢さが健在だったので「生理が来てなくて婦人科検査もしてないので内診してもらえますか?」で内診してもらえた。
いつもながら嘘ではない。

ちなみにバスも普段なら「発作出たらどうしよう」と思い込んで不安になるはずなのに、今回は意識がそちらに行っていてそれすらも忘れていた。

そして先生も良い先生だった。
話しながら内診してもらって「子宮体がんの検査受けてないんですけど、異常とか見えたりしますか?」と聞いた。

「これ、子宮、見える?」

「見えます」

「これね、エコーだから完全にとは言えないけど、なんともないよ」

なんともないんじゃん…わかってはいたけど。
ていうかわかってたじゃんそれ。

秒で我に帰った。

男子禁制だったので外で旦那さんと落ち合う。
グレーのNIKEのおしゃれなサンダル、
おしゃれなメガネ、
セレクトショップで買った紺と白のバイカラーのパイル地のTシャツに、同じお店で買ったハーフパンツ。
いつものmeiのウエストバッグのおしゃれな旦那さん。

「どーだった?」

「…なんともなかった」

「気が済んだ?」

「…うん」

「ここ、そごう近いじゃん」

「知らない」←近所だけど家から出ないため知らない

「近いんだよ、10分も歩かないから行かない?
 保留ちゃんが好きなDean&Delucaもあるみたいだから好きなご飯買いなよ、今日は」

ほぼ外に出ない私が10分程度だとしても歩くなんて、発作が出たらどうしよう、と普段なら思うだろう。
だけどその時は心配が晴れた安堵とあまりのイレギュラーな一日で、いつもあれほど「発作が出たらどうしよう」と思い込んで悩むはずなのに、それが完全に頭になく、歩いてそごうに行って、Dean&Delucaで沢山マフィンやパンを買ってもらった。
結局あんまり食べられなかったけれど。

これで私の奇行は終わった。
そしてこの奇行から「思い込むことの無駄さ」を強く体感して学んだ。

ていうかなんて素晴らしい旦那さんなんだ。
あの時はありがとね。

これが思い込みの恐ろしさだ。

つづく

その2

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