親子2代で楽しむコンテンツ

 作家の唐沢俊一氏はエッセイで何度か、同じコンテンツを世代を超えて楽しむことについて触れています。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で1955年に行った主人公が、1985年で再放送を見ていたテレビ番組と同じ番組を1955年でも目にするという話から、アメリカは歴史が浅い分、大衆文化も大事にしているという話につなげ、日本だと大衆文化をここまでは大事にしていないけれど、同じ文化を楽しむ経験がないと世代間の断絶が大きくなって、やがては親子でも全く理解しあえなくなる。とまで言っていたかどうか、ちょっと記憶が曖昧になっているので自分で補完してしまっているかもしれませんが、大体そのような内容を複数のエッセイで読んだと思います。

 そのエッセイを読んだ頃から時は経ち、驚いたことに僕も子どもを育てる立場になりました。でもその間にも戦隊ヒーローはずっと続いていて、他にも仮面ライダーもウルトラマンも新作が作られるようになっており、子どもたちが好きなものが全く理解できない、という事態にまではならずに済みました。まあ僕は子どもの頃はウルトラマン好きで、戦隊やライダーは実はあまり知らなかったりしたのですが。

 さて、そこから更に時は経ち、上の子はスマホを持つ年齢になりました。動画を見たり基本プレイ無料のゲームで楽しんでいるようだったのですが、最近ではプロジェクトセカイというゲームにハマっているようです。これが初音ミクを始めとするボカロを中心とする(他にオリジナルのキャラクターが多数いるようです)リズムゲームで、オリジナル曲以外に往年のボカロ楽曲も収録されており、結果、子どものスマホから響く「メルト」とか「炉心融解」とか、えらく懐かしい曲の数々。
 そして昨年の暮れ頃、上の子が「次は『悪ノ娘』って曲が追加されるんだって」と。つい「『悪ノ娘』を聞いてから『悪ノ召使』を聞くとビックリするよ」と言いながら、久しぶりにニコニコ動画にログインして、『リグレットメッセージ』と『白ノ娘』まで一気に見せてしまいました。結果、上の子は悪ノPことmothyさんの曲にドハマリ。公式チャンネルで次から次へと見まくって、僕の知らない新しい曲まで聞きこんでいるようです。解る。そこは僕も一度通った道だから。
 僕も負けじと「『白ノ娘』は当時流行ってた「弱音ハク」っていうミクの派生キャラでね・・・」などと当時の様子を解説したり。時々「親子で盛り上がるネタがボカロか」という気持ちも起こってきますが、そこは「我に帰ったら負けだ」と自分に言い聞かせて。

 まさか親子の世代を繋ぐ話題がボカロになろうとは・・・、というお話でした。

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