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世界最古のスムージー「ラッシー」

おまけのレシピというのを料理教室では度々やることが多い。決まったレシピなどでカレーを2種類くらい作ると少し余ってしまう食材などがある。スパイスや調味料は保存がきくのである程度は困らないが、野菜などが余った際はスパイスと一緒にサブジのような炒め物にしたり物によってはスパイスと和えてカチュンバルのようなものを作ったりする。そのほかにもよく余りがちなのがココナッツミルク、生クリーム、牛乳そしてヨーグルトである。ココナッツミルクが余った時はその時の食材とスパイスで南インドのオーランのようなものを即席で作ることが多い。牛乳はチャイなどを作ることが多い。ヨーグルトは野菜やフルーツと合わせてライタを作ったり、ラッシーを作ったりする。もちろん冷蔵庫や冷凍庫などで保管するもの良いが使い切りにレシピを何個か紹介することによってスパイスの自由さや気軽さがもっと伝わるのではないか思っている。

 先日はヨーグルトとトマトそしてミントが少し余った。ヨーグルトとトマトをミキサーでジュース状にして塩を少し加え水で伸ばす、ローストしてブラックペッパーとクミンシードをすり鉢で軽く潰し注いだトマトヨーグルトジュースに振りかけてあげる。ミントを添え軽くレモンを絞れば即席のトマトラッシーの完成である。暑かったせいもあり、そこにいた皆の喉を美味しく潤してくれた。
 夏になると冷たくて美味しいラッシーが飲みたくなる。私が夏に飲みたいラッシーは「ナムキンラッシー」と言うヨーグルトを水または牛乳で混ぜ合わせたもにに少し塩を入れたソルトラッシーとも呼ばれているものである。

 ヨーグルトを伸ばして甘みや塩味、スパイスやフルーツなどを入れて作るラッシーは世界最古のスムージーとも呼ばれている。インドの北部パンジャーブ州で紀元前1000年には飲まれていたと言われている。暑い日差しの中、農民たちがヨーグルトとミルクを混ぜ合わせ、土器で作ったコップの中で冷やし砂糖を加え木の棒でよく混ぜてから飲んでいたそうで、冷蔵庫がなかった時代は体を冷やすのにとても役に立ったそうである。メソポタミアで紀元前5000年前に誕生したと言われているヨーグルトがインダスの人々と交流を持つのが紀元前1000年くらいだとしたらヨーグルトもその頃に伝わりラッシーが生まれたのであろう。アーユルヴェーダの考えなども加わりスパイスやハーブなどを入れることによって体を落ちつかわえたり、消化を助けたり、ヨーグルトとスパイスの融合によって冷やすだけではない様々な良さも広がっていった。

 メソポタミアから広まったヨーグルトはインドではラッシーになったがバルカン半島ではアイラン(Ayran)、南ヨーロッパやギリシャではタラトールというスープでありドリンクになったり、アルメニアではケフィール、アフガニスタンではドーフ(doogh)といった飲み物が誕生していった。ラッシーの兄弟みたいなものである。

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