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カレーの隠し味

 カレーの隠し味といったらどんなものがあるだろう。よく聞くのがコーヒー、はちみつ、赤ワイン、ヨーグルト、チョコレートなどであろうか。スパイスがベースのカレーではコクや旨味を増したいと思う人も多いのであろう。味噌や醤油、オイスターソースなどを入れる人もいる。

 インド料理でも様々な隠し味がある。それぞれの家庭やシェフによっても違うのであろう。ガラムマサラやカシューナッツは定番の隠し味なのかもしれない。ヨーグルトやアチャール、チャツネなどもカレーに入れたりする。スパイスを煎ったりしてより深みをましたものをカレーに加えたりする。テンパリングという油にスパイスや玉ねぎ、ニンニクなどを炒めて、その油ごと加えるという手法も隠し味の一つなのかもしれない。チキンカレーなどにカルダモンの種だけを取り除き、仕上げに加えて煮込む。それだけで他ではないような味になるのでこれも隠し味なのであろう。

 「隠し味」というとどこか魅力的な響きに聞こえる。美味しいけど、何が美味しくさせているのかわからないのが良いのかもしれない。あまりあからさまに「隠し味」を強調するとよくないような気がする。隠し味は隠れていてこそ魅力的である。

 夏野菜がたっぷり入った豆と野菜のカレーを作るときにたまに使う隠し味が醤油である。入れすぎてしまうと味がしつこくなってしまうので、4、5人前のカレーに小さじ1杯くらいの醤油を入れて軽く煮込む。そうすると味がぐっと引き締まるような気がする。同じように色々な料理にレモン汁やビネガーを使うことが多い。これらも入れすぎりとしつこくなってしまい、味の主役を薄めてしまうかもしれない。そのほかにはスパイスに加えて砂糖を少し入れることもある。西インドでは砂糖の生産量も多いことから隠しきれないほどの砂糖が入っていることが多い。南インドの油に香りをつけるテンパリングやホールスパイスを煎って香りを引き立ててから作るサンバルパウダー。豆を煮込んだり、煎ったり、炒めたりしてナッツぽさやとろみ、香ばしさを出してくれるのも魅力的である。東インドのマスタードのペーストやカスンディと呼ばれるものを加えるとツンとしたしげくが加わり、グレービーを美味しくしてくれる。西インドのポークヴィンダルーに見られるようなビネガー使い。北インドのナッツやヨーグルトの使い方。

様々な料理に隠れている技術や素材を知っていくと私の「隠し味」のバリエーションが増えていくような気がする。

先日作ったカレーうどんにはトゥールダールのペーストやサンバルパウダーを活用した。

そうそう、ヒングも忘れてはいけない隠し味だ。

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