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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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#初心者

『青梅』

『青梅』

 僕は死んだんだ。
 梅雨の時期。久しぶりに晴れた日の夕暮れ時だった。散歩中に梅の木を見つけた。よく見ると、生き生きとした新緑の中に、沢山の青い実が成っていた。僕はその中から程良い実を三四個採り、ポケットに詰めて、家路についた。

「ただいま」
 僕は床に座り込み、持ち帰った実を一つポケットから取り出して、じっと見た。時折、てのひらの内で転がして、その大きさと重さをしっかりと確かめた。
「毒か……

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『愛を綴る』

『愛を綴る』

 拝啓

 小春日和に喜びを感じ、また紅葉が鮮やかさを増す霜秋の侯。お風邪など召されていませんか。
 この手紙で君への愛を綴りたいと思うのですが、その愛は青い海の底よりも更に深く夏の日差しよりも更に熱いものと心得ていますので、この便箋がそんな愛を綴る筆に耐えられるかどうかが不安で、気持ちを抑えて書いています。しかし、どうしても、紙面以上の気持ちが溢れ、筆を動かす手は止まらず、別紙にて妄想たくましく

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『古今患者の残穢』

 二○二一年十一月十七日。精神病院に入院した。退院目標は、手元不如意のために、一週間、長くても二週間に設定した。
 私は個室で過ごすことになった。
 ベッドと机、クローゼット、洗面台が備え付けられており、風呂とトイレは共同となっている。個室の窓から見える外の景色といえば、向かいの患者達の窓群と、職員と来客のための駐車場、それから少し離れた所に体育館のような建物があり、そのずっと奥に薄く靄のかかった

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