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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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2023年2月の記事一覧

春に酔う

春に酔う

 これは、初老の男が、春の満月の日に一人で酒を飲むだけの話である。

 月に一度来る満月の夜には、必ず酒を飲むと決めている。春の月は特別だ。
 夜。春の花たちの間に男は座り、深呼吸をして、春の陽気を肺へ、体の隅々にまで送り込んだ。ふぅと吐く息に、冬の間に溜まっていた寂しさを乗せて、体の外へと解き放つ。自由となった想いは春風に溶けて、前向きな想いに変わるだろう。
 心を整え終わった男は、さあ酒だ!酒

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バレンタインのお別れ

バレンタインのお別れ

 今日であなたともお別れですね。今日はバレンタインデーということで、まずチョコレートをお渡しします。遠慮なく受け取ってください。バレンタインデーチョコでもあり、別れ際のプレゼントです。残っていたものを詰め込んだものなので、あまり期待しないでください。
 あなたとのお話、とても楽しかったです。たくさん話したいが時間は無く、会った回数は三四回程。そんな中でとても仲良くなれたことがまるで奇跡のようでした

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たくさんの黒

 底へと落ちて、墜ちて、堕ちて、救いの手は未だ無し。闇へと落ちて、墜ちて、堕ちて、救いの道は未だ無し。歩けども歩けども、何も見えぬまま。私が早足で先に行き、後から私が追いかける。二つの足音が、三にも四にもなっていき、どれが私の足音なのか分からなくなっていった。

「ここで、いつまでも」

 そう聴こえた声はどこからのものか、誰からのものか分からなかったが、昔に聴いたことのある声だった。私は尋ねた。

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