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学生インターン 記事まとめ

地点では12・2月のイェリネク戯曲連続上演を機に、「公演の運営・プロモーション」を活動目的として学生インターンを募り、9月からオンラインでの定期的なミーティングを重ねてきました。地点も京都での活動を20年近く続けてきて、年々学生との距離が(というより年齢が)遠のいていくことを感じ、デジタルネイティブ・SNSネイティブである彼らがどのように演劇の情報を得、劇場に足を運ぶのか、直接聞いてみたいという下心もあっての募集でした。

が、しかし、「どこに作品を(演劇を)必要としてくれている人がいるのかわからない」「作品という商品がどんな感じになるのか皆目見当がつかないのにそれについて宣伝するのは難しい」などなどと語る彼らの言葉を聞き、時代やツールは違っても、ある意味普遍的な演劇の宣伝の難しさについて再確認したのでした。ところで、長年この困難とつきあってきた身として、広報宣伝は劇団がつくる舞台作品とはまた別の表現行為だなということが、最近ようやく腑に落ちてきたように思います。これまで私は、どちらかと言えば、劇団の表現行為は舞台作品に収斂されるという考えでしたが、演劇の魅力はそのプロセスやその界隈にもたくさんあって、そのこと自体を伝えなければならないなと思うようになってきました。

なにか直接的なきっかけがあったわけではないのですが、なんとなく、既存メディアに頼ることができない/頼らなくても大丈夫、という発見をしたのだと思います。広報宣伝をやらなければならないタスクというよりも、クリエイティビティの発揮できる場所と考えて、映像や音声やチラシやウェブサイトをつくることを楽しみ、新しいことにもどんどん挑戦していく必要があると感じていたのです。

そこで今回、学生インターンには、得意分野でひとつ「表現」をしてもらうことになりました。学生のみなさんには苛酷な要求だったかもしれませんが「課題」が課されたのです。テキストでも音声でも映像でもいいので、地点について、作品について、演劇について、自ら表現してみよう、という呼びかけでした。ここに公開するのはそのような経緯から集まった地点の学生インターンによるアウトプットです。広報宣伝を自らの表現として行なっていく、作品や演劇について語っていく、というチャレンジです。

《ビヨンドチテン》で公開するにあたって「観客」というマガジンを選びました。広報宣伝に携わるのは、多くの場合は制作(プロデューサー)という立場の人ですが、この人は第一の観客なのではないか、また、観客が観客に手渡すというかたちが、演劇の広報宣伝の一番理想的なかたちなのではないかと思い、このマガジンに納めることにしました。ぜひお楽しみいただければ幸いです。

地点 制作・田嶋結菜


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