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劇団のまちづくり

TCアルプの下地です。

わたしの住む松本市は、カフェが多い。水が美味しい街だからだと思います。
松本の市街地の地下には山々からの伏流水が豊富に流れていて、湧き水や井戸が20ヶ所以上あります。カフェや蕎麦屋などの食事処、酒蔵など、湧き水を利用しているお店は多いようです。地元の人が汲んでいる姿もあちこちで見られます。わたしもよく汲みます。
もちろん水道水も美味しく飲めますが、天然の湧き水はちょっと特別。
個人経営の飲食店がとても多い街でもあるので「今日はどこに行こうかな」と歩きながら考えるのも楽しい時間です。

さて。
先月の記事でも少し触れましたが、4月末にTCアルプの新体制を発表しました。
ざっくりいうと、人数が倍近く増えました。

13人体制になりました。写真の上段メンバーは既存のメンバー。下段が新メンバーです。
集合写真が撮れなかったため、組写真を作成して発表しました。

新メンバーといっても過去の公演で共演した俳優たちなので、芝居を観続けてくださっているお客様にとっては馴染みのある面々だと思います。
ただの共演者ではなく、昨年秋に初めて開催した演劇的フェスティバル『FESTA松本2021』を共に立ち上げてくれた心強い仲間たちでもあります。

『FESTA松本』ってなぁに? って方は、先月と同じ展開ですが、昨年この企画で連載をしていたパイセン近藤隼の記事をご一読ください。

先月も書いた通り「これからTCアルプはどうなっていくの?」というタイミングにも関わらず、新メンバーはよく入団を決めてくれたと思います。
『FESTA松本』に関わったのが大きな決め手の一つだとは思いますが、数年単位で付き合いがある人たちばかりなので、TCアルプの演劇の作り方を信頼してもらえたのだと思うと、めげずにやってきた甲斐があったなと思います。

TCアルプの過去15年の歴史の中で、13人は過去最多人数。
これまでもいろんな変動がありました。
わたしが入団した2012年当時は、俳優とスタッフ合わせて12人いたのですが、いろいろあって旗揚げメンバーとわたしだけになった時期が4年ほどありました。

2015年9月19日の地元紙「松本平タウン情報」(元MGプレス)の新聞記事。
主宰の串田さんと、若手が4人しかいなかった頃のインタビュー記事です。

紆余曲折を経ましたが、ここまで仲間が増えてくれて嬉しいです。
個人的な想いとしては、女性がわたし1人だけだったから女の子が増えてとても嬉しい!
このへんの話をすると長くなりそうだから、次回あたりに書いてみようと思います。


そんなわけで、13人で新しいスタートを切ったTCアルプ。
今回の新体制の発表では、嬉しい反響をたくさんいただきました。

前述の新聞記事の画像は、長年応援してくださっているお客様が「こんな時期もありましたね」とメッセージと一緒に大切に保管していた記事を撮って送ってくださったもの(新聞社さんにも掲載許可いただきました)。
他にも、過去の演目のチラシの写真を添えて喜んでくださるお客様の投稿、新メンバーに対しての思い入れを話してくださるお客様、お祝いの言葉の数々。
直接でもウェブ上でも予想以上に反響があって、ちょっぴり泣きそうになりました。

お客様のツイートで気づいたのですが、
2018年の自主公演『土砂降りボードビル』の出演者は今や全員TCアルプのメンバーになりました。

今回のことに限らず、街の人の演劇に対しての関心は非常に高く、公演の最中や終わった後は飲食店で出くわしたお客様が感想を伝えてくれたり、芝居について語り合ったりしてくれる。
新メンバーの発表前も「あの役者さんは入るの?」と聞いてくれる人や「次に芸術監督が来るならあの人がいいな」とか話してくれる人もたくさんいます。
初めて松本に来た時も、学生ながらこの環境は東京ではなかなか無いと気づくことができたから、松本で演劇をやろうと決めることができたのだと思います。
この街で演劇をつくることは、作品単体だけじゃなくて、劇場の周りにいる人たちを巻き込んでの「まちづくり」なんだと思います。わたしはそれに加担したくて、松本で演劇をやることを選んだのでした。

3月中旬、TCアルプの新体制が決定した会議終わりの写真。
内部向けの試演会もあったりして、良い時間でした。

新しいメンバーも、街の人たちも、いろんなことを期待してくれていると思います。期待に応えられるように、しっかりやらなきゃ!と責任も感じますが、何よりTCアルプらしい演劇のつくり方を模索して楽しんでいけたらいいなと思います。


それでは、また6月に。

2022年5月17日 下地尚子



下地尚子の記事はこちらから。https://note.com/beyond_it_all/m/m1cb913220d43


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