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べてるの家のオンラインマガジン「ホップステップだうん!」 Vol.275



・「うっちゃん」

浦河教会でべてるメンバーのうっちゃんにばったりとお会いしたときの会話を少し紹介します。

江連「お久しぶりです。体調気分いかがですか?」

うっちゃん「いいです。普通で何よりです。」

江連「何歳になられたのですか?」

うっちゃん「年齢はさほど言いがたい年齢です。」

江連「幻聴さんもお元気ですか?」

うっちゃん「幻聴さんはテレビ見ててもラジオでも電話してもこう言ってる」

「(ちょっと低い声で)うす、うす、うす、うす、うす」

江連「幻聴さんお元気そうですね。」

うっちゃん「録音したカセット聞いてる時もうす、うす、言ってる。」

「変な幻聴さんだから変聴さん!ハハハハ!」

おしゃべりした後、浦河教会で写真を撮らせていただきました。

文/写真:江連麻紀

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・「北のバラバラな日々」(28)
 笹渕乃梨

今さらですがわたしは片付けがとても苦手です。今もぐちゃぐちゃなダイニングテーブルにパソコンを乗せてこれを書いています。
年初に片付けてたキッチンとダイニングも、半年経てばほぼもとどおり。そんな自分を「まあいっか」と軽やかに諦めることもできず、「なぜだ…」と頭を抱える今日このごろ。

わたしの片付けられなさが遺伝のせいだったとしたら、これは間違いなく父親の影響と思われます。思い返せば父の部屋は常に足の踏み場がないような状態。食べ物や食器こそないものの、趣味の本や雑誌、仕事関係の資料、釣りの道具、思い出の品々、脱いだパジャマ、先週着てたネルシャツなどが散乱し混沌としていたのでした。
失くした際に用意したのか、失くす前提であらかじめ用意したのか、同じモノをいくつか持っていたりもしました。
でも、父親のそれがわたしに受け継がれているのなら、この片付けられなさも愛おしく思えるような気もしなくもないです。

この片付けられない癖、じつは娘も持っているようで、彼女もわたしに輪をかけて片付けられません。大事なものもゴミもいっしょくた。なにしろ、一緒に暮らしている大人がわたししかいないんだから、片付けられるロールモデルを知らないわけだし、気の毒だけど諦めるしかないのかもしれません。

そんな娘、新学期が始まった先週、さっそく帽子をふたつ失くしました。家の中にも、出入りしていた友人宅にも、児童館にも、クルマの中にもない。
失くした帽子のうちのひとつは私のものだったので、わたしはここんところけっこうイヤミをぶつけています。「もう少し意識してモノを置いたりしなよね」とか。彼女に吐くセリフすべてが完全にブーメランなのに。

「みどりって乃梨ちゃんと違ってしっかりしてるよね〜」
というようなことは、娘が幼稚園にあがったころがらまわりから耳にタコができるほど言われてきたし、わたし自身もそう思って彼女と接してきたけれど、どうやらそうじゃないみたい。
彼女はたしかにある意味でとてもしっかりしているし、その洞察力は母もびっくり!みたいなところもある。だけど片付けや失くしものは「毎日なにかしら」レベル。
今までわたしに大きな被害がなかったから忘れてましたが、彼女はそう、サラブレットだったのです。
期待の種類とベクトルの方向の検討が必要そうです。

父、わたし、そして娘…。
これはもしかすると祖父とか曽祖父とかから脈々と受け継がれていることなのかもしないと思えてきます。ご先祖のみなさんも同じような苦労をしていたのかも。

だとしたら、これも悪くないかもしれぬ。ご先祖みんながこんなだったんなら、(少しは)こんな自分を嫌がらずにいられそう。娘との二人暮らし、どうにか機嫌よくいられる方法を探したいもんです。とほほ。


笹渕乃梨(ささき・のり) 
自己病名は『境界線ぐちゃぐちゃ症候群サトラレ型変化球言葉タイプ(現在は枯れている)』北海道で小学生の娘と二人暮らしをしている。趣味はゆるめの野遊び、スキー、工作、手芸など。精神科のお医者につけてもらった病名はうつ病とADHD。現在は無脳薬で約3年。「子ども当事者研究」、「子育て当事者研究」、「なさ親」などで活動中。22年4月より「nasaLAB(なさラボ)」のWebラジオ「つまり、きりがないラジオ」パーソナリティ。「nasaLAB(なさラボ)」の登録はこちら↓

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・続「技法以前」 220 「新たな実験」 向谷地生良

「特殊な世界」で生きることを余儀なくされている人たちとの関りは、その世界を生きている人たちが持つ、独特の生活リズム、生活感に馴染むことからはじまります。「対話とはダンスである」(ヤーコ・セイックラ―)にも通じるものです。

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