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プラクシラの捨てたもの / 古代ギリシャの旅路 (+おまけ:新曲preview)

 「アサシンクリード」というゲームが随所で語るキャラクターたちの人生観がすごい。というか全般に脚本が上級の映画かっていうぐらいすごい。今日は、その一節を紹介します。

 そのAAA級ゲーム(最高品質大予算で作られたゲーム)の一つとして不動の地位を得ているシリーズ、UBIソフトの「アサシンクリード」の「オデッセイ」(最新作「ヴァルハラ」の一つ前)を最近ちょくちょく遊んでいるので、ちょっと紹介しますね。アサクリとは、未来の技術でなんか、膨大な情報を再構築することによって、過去の世界にVRで没入でき、調査のため探訪する、というのが基本の話し。特に主人公は、その世界で生き残るために「アサシン(暗殺者)」となって(殺しまくり)。今回のミッションは古代ギリシャに飛び「レオニダスの槍」にまつわる秘宝の謎を解明しに冒険の旅に出ます。

 …というアサクリの基本の概説は、コチラが詳しいです。

 ちなみにXBOXのGAME PASS(毎月定額でたくさんのゲームが無料で遊べる。初月100円)加入してたら無料な。

ゲームで学べるギリシャ観光名所

 だけど、ボリュームが大きすぎて一向に終わらない。もう40時間は遊んでると思うけどまだ半分くらい?でも、面白くて続けられます。ストーリーは日本のRPGなんかと違って、ギャグやわちゃわちゃとかは全く無く、当時の歴史と世界情勢をベースにアレンジした、大真面目な内容。そして古代ギリシャが舞台とあって、ギリシャ中を旅できるんだけど、その映像の美しさに酔いしれるのはもちろん、ゲームとして遊んでいると、ギリシャ各地の歴史や観光名所がものすご〜く学べるんです。例えば「アルテミス神殿」が「ギリシャにある」ということは知ってるというか想像できると思うんですけど「ミコノス島」にある、とまで覚えられる。白と青のインスタ映えする街として有名なミコノス島にあるとか。首都アテネの古代名がアテナイで、アッティカ地方にあるとか。対抗するスパルタはその南西、ラコニアにあるとか。そのあたりがアテナイとスパルタの、ペロポネソス戦争の舞台だったとか。ソクラテスもその時代の人だとか。とかとかとか!

よし、ころな禍あけたらギリシャ行こう、決めた!( ´・ω・`)w

詩人のたて琴の行方

 プレイヤー、主人公のカサンドラはアテナイとスパルタの対立深まる古代ギリシャを探索しながら、アサシン、すなわち傭兵として成長しながら、ギリシャの中央部にある街に寄った先でのこと。

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 (ギリシャの一地方都市)ボイオティアで、有名な、街をあげての大きな詩の祭典が開かれるという。そこに人気のたて琴の詩人、プラクシラも来ていて、彼女に取り入りたいがために若い詩人オルキメデスが主人公カサンドラにある仕事を依頼する。しかしその後、その若者が悪党に捉えられてしまう。それを聞いたカサンドラは郊外の神殿におもむき救出する。無事救出したは良いものの、若者は思わぬことを口にする。実はプラクシラは母で、結婚の贈り物に父がたて琴を作って贈ったのだと。しかし彼女は家族よりたて琴を愛し、家族を顧みず詩作に没頭し、社会的に成功すると、自分と父を捨てたんだと。それを恨み、自分は見返すために同じく詩人になったが、到底及ばない。そこで彼女のたて琴を盗んだが、悪党に襲われる中で壊してしまったと。

 助けてもらったのは有り難いが、事の次第、盗んだ自分は実はあなたの息子であることとその言い訳を、自分でプラクシラに打ち明けるべきか、主人公に問う。選択肢が出るが、「自分で言うべきだ」と選んでみると、カサンドラ「もしかしたら本人もあんたたちを恋しく思いながら、帰る方法が分からなかっただけかもしれないぞ」と。優しい…( ´・ω・`)。息子くん、分かったようで、だが父のこと、母のこと、友のこと…、考える時間がほしいから、たて琴だけは先に貴女から返しておいてほしいと。息子くん、頼りないw

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 主人公、街にいるプラクシラのもとへ戻る。プラクシラ、盗まれたたて琴が返ってきたことに安堵するが、壊れたたて琴を修理するために、街一番の工芸士のもとまで護衛について来て欲しいという。ずけずけと、遠慮なく要望してくる、偉そうな偉大な詩人、プラクシラにちょっと辟易するでしょw

 けど、その道中、町中を老芸術家と走りながらの会話が面白い。

(プラクシラ、以下P):
ここには思い出がある。港が街になり、友人との小さな集いが大きな祭典に成長するのを見てきた。ふるさと以上の場所よ。

(カサンドラ、以下K):
愛するものは竪琴で、故郷は詩の祭典か?どこかに落ち着こうと思ったことは一度もないのか?

P:可愛いことを言うのね!私の人生はあなたが思うほど単純じゃ無い。
セピュロスのように、一所に留まってはいられないの。痛い目を見て学んで来たのよ。

K:自分のことだけ考えているようだ。

P:他人のために生きることに、何の意味があるの?まるで奴隷…、良くて飼い殺しの獣ね。

K:辛辣だな

P:期待されるような、家に篭る人生を歩んでいたら、わたしの心は早々に死んだでしょうね。
肉体が生きいているだけなんて、そんなの意味あるのかしら。自分に必要なものは分かっているわ。


K:…ここの祭典は、今まで見てきたものよりも、だいぶくだけているようだな。

P:そうね、ディオニソスはアポロンに供物を捧げさせて、熱狂をもたらした。

K:ギリシャ中から人が集まってくる理由がわかる。

P:誤解しないでちょうだい。快楽主義の一面は確かにあるわ。でも禁欲的に音楽や詩に身を投じる人も大勢いるのよ。

 カサンドラ、言いたいことをここぞとばかりに言うが、プラクシラの徹底した自由主義に、最強の傭兵・カサンドラ反論できず、けっきょく話題を変えるのが可愛い…w( ´・ω・`)

 ちなみに工芸士、ティミチャの元に無事何事もなく到着すると…

P:ティミチャ!どこにいるの?

ティミチャ(以下T):
うるさく騒ぎ立てているのはどこの誰だい?

P:海の素敵な香りであなたの匂いが分からなかったわ。

T:プラクシラ!お前に投げつけてやるための果物をずっと集めてたんだ。

P:光栄だわ。ねぇ、頼みがあるの。アカイコス(たて琴)がどこかの馬鹿に悪さをされて、あなたの手が必要になったのよ。

T:この馬鹿がか?

…オィ💢ティミチャぼっこぼこにしてやろうペコか?w

 カサンドラ、選択肢…
 A「誰が馬鹿だって?」
 B「いや、別の馬鹿だ」

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…Bを選択すると( ´・ω・`)

K:残念だが、この件には大勢の馬鹿が関わっている


めっちゃ面白い…w( ´・ω・`)

プラクシラの捨てたもの

 その後ミッションをコンプリートして無事祭典は開かれたあと、彼女の語る芸術論を聞くのも心地よい。

 しかし、プラクシラの生き方と、家族との関係には考えさせられるものがある。

 究極の自由を選んで生きる人生、芸術に明け暮れる人生、とてもあこがれるものだが、周囲のみならず家族との軋轢も耐えない。本人は全く気にしていなくても、周囲はとても気にしている。彼女のことをとても心配している。

 母だから。

 家族だから。

 愛しているから。

 一緒に幸せになることが人生だと思っているから。

 それを辛い縛りだと思うか、思わないか、その思想は、あなたの自由である。

おまけ。新曲 "Innocent Love" プレビュー。

(完成できるかな…💧)

betalayertale 2021年9月7日

2900文字


追記:

専門家の、本物との比較レビュー。面白いです


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