【英語学習のスパイス #2】
Evine(恵比須大輔)
第2回:自然な英単語の学び方
Hi、皆さん、Evineこと恵比須です。
前回は英語学習にお勧めの洋書3選のご紹介でしたが、今回は、学生以外の一般の方向けに英単語の学習方法について一言書きたいと思います。
まず、英検やTOEIC、高校・大学入試などの試験対策のための単語は素直に試験対策用の単語帳を使って、過去問データーを頭に入れるのが一番効率的です。迷うことなく単語帳に向かった暗記をするといいでしょう。
覚えられるまで目と口と耳で続けます。書いて覚えるというのは、実はあまりオススメできません。学習効率が高くありませんので、聞いたり、話したり、見たりなどして単語と触れる時間を増やすことが大切です。
では、本題に入ります。
単語帳は使わない!どうやって語彙を鍛える?
社会人の生徒さんや教員の方から、「Evine先生はどんな単語帳を使ってこれまで勉強してこられましたか?」と尋ねられることがよくあります。
正直に言えば、個人的には単語帳で学習した経験がありません。
持論ですが、大人にとって、英単語は英単語帳で覚えるものじゃないと思っています。
日本語を日本人以上に操る私の外国人スタッフに、日本語の単語をどう学習したのか、やはり日本語帳的なものがあってそれを仕上げたのかを聞いてみたのですが、答えはNOです。好きな日本の音楽やドラマなどを聞きながら気づけば習得していたようです。
英単語は、他の英語活動をしていれば自然としかも自分にフィットする単語力が培われます。
ただし、1単語だけを切り抜いてではなく、使われている場面やどんな単語と一緒に使われているのかカタマリ(フレーズ)の意識で興味を持つことと、私は「音」「リズム」も常に大切にしてきました。
また、英単語の知識を活かすには英文法の知識は必要不可欠ですから、英文法演習やReading素材の中で、「ついでに」英単語の知識を増やしていくことをお勧めします。
拙著『Mr.Evineの英語塾 コア英文法』は英文法と英単語の知識をバランスよく学べる教材としてお手頃な1冊です。英文法演習で使用している英文はすべて日常会話でそのまま使える実用を重視していますので、演習例文を音声なども一緒に復習することで自然と基本語彙は習得できます。
英語は勉強ではなく、ツールです。
英語によって得られる他国の考え方や文化を味わう道具です。
そこに好奇心を持って経験する中で、自然と自分に必要な語彙が備わってくるはずです。
とにかくたくさん英文に触れていきましょう。情報を英語で介して得るような環境にし、ご自身の興味のある分野で構いません。
学習書以外に、使って語いを増やす方法として1つご紹介します。
「自分の行動に英語でナレーションをつける」、つまり自分の日々の行動をすべて英語で呟いていく練習です。
もう20年以上前になりますが、私は、オーストラリアのMt. Springbrookという観光地にあるレストランで住込みで働いていたことがあります。
たいして英語が話せない状態で初海外だったものですから、妙な緊張感でドキドキでした。飛行機の機内食が有料だと勘違いしていたほどです(笑)。
地元のオージー人たちとレストランの厨房で働きながら、ある日思いつきで、自分の行動をすべて英語で表現することを始めました。
「にんじんを切ってます」
→ I’m cutting carrots.
「食洗機にお皿を入れているところです」
→ I am putting dishes in the dishwasher.
「外の冷蔵庫から何個かトマトを取ってくるよ」
→ I'll get some tomatoes from the fridge outside.
「キャンプファイヤーの準備をしてくるよ」
→ I'm going to go get ready for the campfire.
こんなようなことをブツブツ話しながら作業していたのが懐かしいです。
ネイティブたちも特に発音などを訂正してくれるようになり、随分と表現力が向上したのを覚えています。
人通りが少ない道を歩いている時は、ずっと独り言で英語を話してました。相手がいないので、テーマは自由ですし、好きなようにテーマを変更できるので気も使わず楽です。
周囲の状況描写や自分の予定、夢なんかもつぶやいていました。
今ではtwitterもありますので他の人に見える形で発信してもいいかもしれませんが、やはり好き勝手話す方がストレスもなく楽でしょうね。
自分の行動描写や独り言英会話、ぜひやってみてください。
自分の頭にある知識の運用力向上にもなりますし、言えなかったことを発見し、それをあとで調べることで語彙力もUPします。オススメです。
大人のためのおすすめ英語学習材料
「ナレーション英語」だけでなく、生きた英単語を表現の中で学習できる有益なサイトも1つご紹介します。
『アニメ おさるのジョージ』です。
NHK Eテレで、放送されています。公式HPに番組情報がチェックできます。
「アニメ おさるのジョージ - NHKオンライン」
英語のタイトルは、"Curious George(好奇心旺盛なジョージ)"です。
YouTubeの公式チャンネルでも英語字幕付きで番組を楽しむことができます。
Curious George Official
「えっ、幼児番組?」という声が聞こえてきそうですが、侮るなかれです。
確かにテーマや内容的にはネイティブの子供向けですが、語彙の学習として十分です。
参考までに、ネイティブの語彙レベルですが、4歳〜8歳で5,000語〜10,000語レベル、つまり英検準2級(TOEIC 500)レベルから英検1級やTOEIC 900レベルの10,000語以上に相当するという調査結果もあります。
https://www.economist.com/johnson/2013/05/29/lexical-facts
参照:Lexical facts | The Economist
試しにCurious George Season 2 Episode 14 “Bag Monkey”からのクイズです。
Q. 日本語の意味になるように( )に入る自然な英語を考えてみましょう。
では、答え合わせをしましょう。
(1) 現在完了形の疑問文〈have you+過去分詞 … yet?〉「もう…しましたか」の過去分詞に、「get+モノ+過去分詞」(モノを〜の状態にさせる)の表現を用いたものです。*put away(片付ける)
(2)「fit+モノ+in ~」(モノを〜にはめ込む)*エピソードの中ではクローゼットの中にしまう様子を表しています。*give away(手放す、譲る)
(3) make roomで「場所を作る」「スペースをあける」という意味。不可算名詞roomには「場所」「空間」「余地」などの意味があります。これに「目的」を表す〈不定詞to+動詞の原形〉(〜するために)を用いたモノです。
(4) 「help+人+動詞の原形」(〜が…するのに役立つ、手伝う)。get organizedで「整理整頓をする」という意味の表現になります。〈get+形容詞〉「〜の状態になる」に当てはめたもの。*形容詞organized(整理された)
(6) 〈not sure if SV〉「Sが〜であるか確かではない、自信がない」。この接続詞ifは「〜かどうか」という意味です。 *自動詞help(役に立つ)
(7) 〈the fact that SV〉「Sが〜という事実」。that(〜という)は接続詞で、the factはこのthatでセットが基本。factは「事実」という意味で、日本語にすると堅苦しく聞こえてしまうのですが、ライティングだけではなくスピーキング用にも使えます。「〜だという話、〜ということ」程度の解釈でもこの場面はOKです。
(8) 〈smell like+名詞〉(〜のようなにおいがする)の過去形。
いかがでしょうか。この2つのスクリプトだけでも学習ネタが盛りだくさんでしたね。
難しい語彙がわんさかと番組の中で登場するわけではありません。中学レベルの語彙、文法、構文があくまでもベースです。色、数字、動物など、幼児が学ぶ身の回りの初級レベルの英単語はもちろん、黄色い帽子のおじさんとナレーターさんの英語で、日常生活の色んな場面に合わせた行動表現が学べます。私の息子が小さい時によく一緒に英語音声で観ていましたが、感覚として日本人学習者にちょうど良いバランスでした。また、1話が10分〜15分程度の短さなので、細切れの時間で集中して英語学習に取り組めるのもgoodですね。
ぜひ一度ご覧ください。
最後におまけです。
皆さんの語彙力を測ってくれる無料のウェブサービスがあります。「Test your vocab」です。使い方はとてもシンプルで、意味が1つでもわかる英単語にチェックマークを入れていきます。意味がハッキリしない曖昧な英単語にはチェックしないで、最後に「continue」ボタンを押すだけです。これを2回繰り返せば「●● words」のように表示がされます。1回目の力量で2回目の内容も変化するようです。ぜひお試しください。
Test your English vocabulary
結果はあくまでも参考程度になりますが、1つの目安にはなるかと思います。
ではまた次回の記事でお会いしましょう。
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