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ドイツの子育て-多国籍事情-

★ベルリンの多国籍事情

ドイツには様々な国籍・出身の人たちが暮らす。それを感じる瞬間が、家具や電化製品を買ったときの取扱説明書だ。
ドイツ語、英語のみならず、ポーランド語、スロベニア語、ハンガリー語など、異なる言語のものが10冊くらいついてくる。5-6ユーロの小さな置時計を買ったときにもどっさりと取説がついてきて、驚いたのを覚えている。日本でも今は、中国語、韓国語くらいはついているだろうか。

ドイツで実際に多い外国人(国籍はドイツという場合もあるだろうが、出身または背景という意味で)は、トルコ人、イタリア人、ギリシャ人など。これはドイツにくるとすぐに実感することができる。なぜなら、トルコのケバブを売るスタンドや、イタリアのピザスタンドやレストラン、ギリシャレストランをいたるところで見かけるからだ。
歴史的にも、この3か国とは西ドイツが60年代に二国間協定を結び、外国人労働者、いわゆる「ガストアルバイター」を呼び寄せたという経緯がある。

その他は、近隣諸国となるポーランドロシアなども多い。

さて、私の住む首都ベルリンももちろん、いろんな国籍、いろんな背景の人たちが暮らしている。そうした人たちがまとまって暮らしていることで有名な地区もある。
例えば、クロイツベルクやウェディングという地区にはトルコ人やアラブ人が多く住む。
また、東西分割時の東ドイツが同じ共産国であるベトナムから外国人労働者を呼び寄せたことから、ベルリンの東地区にはベトナム人が多い。ベトナム料理やもたくさんあるし、花屋ネイルサロンはたいてい、ベトナム人経営だ。

それ以外、住民なのか観光客なのかはわからないが、街を歩いていると、いろんな言語が耳に入ってくる。英語はもちろん、スペイン語、イタリア語、フランス語、判断はできないが、クロアチアとかチェコとかハンガリーとか、東欧系っぽい響きの言葉なども聞こえてくる。本当に、多国籍だ。


★保育園-多国籍事情-

当然ながら、保育園にも街の多国籍事情が反映されている。

私たちはベルリンの東地区に住んでいるから、明らかに一目見てわかる外国人では、アジア人だとベトナム人が多く、トルコ系・アラブ系・アフリカ系はベルリン全土の中では比較的少ない。

トルコやアラブ系の人たちは確かに、私が住む地区でも、ケバブ屋や、携帯の部品や中古を扱っているお店、シュペーティー(Späti)と呼ばれる、アルコールを含む飲み物類とタバコ、スナック類、ロットーや雑誌類を主に扱う駅のキオスクを大きくしたようなお店の店員さんでよく見かける。が、住民はあまり多くないようだ。というのは、子どもと一緒に近所の公園に行っても、イスラムのいわゆるスカーフをかぶっているママさんたちをあまり見かけないからだ。
これは、先日クロイツベルクの公園に行ったときにその違いを実感した。クロイツベルクでは、トルコ系の子どもとママがほとんどだった。

ということで、例えば、うちの子どもの保育園のクラスの集合写真を見てみよう。
22人の子どものうち、アジア系はうちの子をいれて3人(うち1人はベトナム。もう一人は確認できていないがおそらくベトナム)。トルコ系が1人。アフリカ系が1人だ。

それ以外はドイツ人か、といえば、もちろんそれもそうとは言えない。
というのは、パパ・ママのどちらかがドイツ以外の西欧ないし東欧出身の人であるケースが少なくないからだ。

例えば、私が仲良くなった数少ない保育園のママ友には、フランス出身とポーランド出身の人がいる。フランス出身の彼女はドイツ語が問題なくできるものの、基本的に子どもと英語でやりとりしていることから、その様子を見れば、彼女が「外国人」であることがわかる。
ポーランド出身の彼女は、子どもとも流暢なドイツ語でやりとりしているから、すぐには「外国人」であることがわからない。
また、いずれの場合でも、子どもたちは要するにドイツ・ハーフであり、ヨーロッパの顔をしているから、国籍が何かということを抜きにしても、ドイツで暮らしていて何の違和感もない。

これは両親ともにドイツ以外の西欧・東欧出身の人である場合も同じだ。

さて、何がいいたいかというと、見かけで「外国人」とわかるアジア・ハーフの子を持つ私としては、保育園で子どもがそれを理由にいじめられるのではないか嫌な思いをすることがあるのではないか、と多少不安に思っていた、ということだ。

けれど、すでに述べたように、私の住む地区にはベトナム人が多い。そのため、住民たちもアジア人の見かけに慣れているかんじがある。
保育園にも全体の2割ほどはアジア系の子どもだし、特にうちの子が目立ってしまうということはない。目立たない・珍しがられない、というのは、からかいやいじめの対象にならないという意味で、とても重要だ

うちの子の一番初めの親友は、ベトナムの子だった。ああ、見かけが似ていると共感しやすいのかなーと思ったものだ。が、せっかく仲良くなったと思いきや、その子はすぐに3歳以上のクラスにあがってしまった。建物内の階が変わってしまうから、園庭では一緒になるものの、それきりになってしまったようだ。

そのあとできた親友は、先ほどのフランス出身ママの子で、金髪・青い目のザ・ヨーロッパの子だった。見かけが似ているほうが仲良くなりやすい、というのは単に私の偏見だったか、と思った。

3番目の親友は、現在進行形だが、ドイツ&ドイツ・アフリカハーフの親を持つ子。よくみればその子もアフリカの血が流れていることがわかる。

いずれにしても、多国籍な環境の中で、子ども同士、何の偏見もなく、遊び、仲良くなっていることがわかる。

こういう保育園の多国籍ぶりは、ハーフの子を持つ親からすると安心する。日本では、外国人やハーフの子が増えているとはいえ、まだまだ「異なる」ものに対する反応は過剰で、すぐに「いじめ」につながったり、必要以上に「ちやほや」されたりする。
でも、私はうちの子に自分が普通で当たり前の存在だと思って生きていってほしい。その中で、努力することで何かの分野だったり、誰かにとっての特別な存在になってほしい、と思う。
今の環境は、その意味で最適だと思う。

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