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弁護士であろうが、仕事っていうのはつまらなくて地味なものである

学生や司法修習生と話していて、仕事のこと分かってないなぁと思うことがよくある。しかし、非難しているわけではない。弁護士業務を経験したことがないのだから、仕事のことを分かっていないのは当然である。

問題であるのは、弁護士としての仕事を始めれば、すぐさま所属事務所のボスや先輩、クライアント(お客さん)から、君は優秀だと絶賛され、面白くてたまらない仕事ばかり割り当てられると信じていることである。このnoteを読んで下さっている社会人のみなさまは、そんな新人弁護士がいるのかとあきれるかもしれないが、学生のときに勉強ができた新人ほど残念な傾向が強い。

勉強ができる=最初から弁護士として優秀、ではない。手先が器用=最初から人間国宝級の茶碗が焼ける、ではないのと同じである。

学生時代に優秀な成績を残していたり、若くして司法試験に合格したりした人が、弁護士として成功していないのを見ると、本当に残念な気持ちになる。私が思うに、弁護士業務というのは、一種の職人技である。本を見て分かることもあるけれども、先輩から教えてもらって、自分自身でも試行錯誤しながら、ノウハウを身に着けていくものであると感じている。

常に称賛されるなどあり得ない。業務内容の多くは、つまらなくて地味だ。裁判官や検察官が意味不明な発言を繰り出すこともあるし、相手や相手の弁護士からわけの分からない非難をされて、やたらと腹が立つこともあるし、とてつもなく長い契約書を目の前に溜息をつくこともあるし、所属事務所のボスや先輩からの指示が理解不能なときもあるし、クライアントの窓口担当者から要領を得ない依頼を投げつけられることもあるし、寝るなと言わんばかりに納期を急かされることもある。

それでも、弁護士になって、良かったなと思う瞬間がある。

クライアント(お客さん)から感謝されることを喜びにしている人もいると思う。私自身は、感謝されることももちろん嬉しいのだけれども、その分野について分かるようになった、昨日はできなかったことが今日はできるようになったと感じることが嬉しい。私の職人としての経験と技術が高まったことに喜びを感じているのかもしれない。

基本的に、私は自分軸だ。このnoteを書いていて、気が付いた。

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