#18 ゆれうごく
こんにちわ。id_butterです。
人生で最高に不幸な時に恋に落ちた話 の18話目です。
今回は離婚間際の日常にゆらゆらした話です。
離婚というのは結構、めんどくさいんだな。
最初はこれくらいだった。
離婚届を出すだけだと思っていたのだが、離婚届に必要なものでいくつかすぐに調達できないものがあったのだ。
・戸籍謄本…本籍地から取り寄せる。住民票と同じ場合は不要
・証人2名分のサイン
うちの場合、本籍地が遠方であるため、取り寄せるのには一週間以上かかるようだった。予定に間に合うだろうか。
少し焦り始めた。
証人2人、固まってしまった。
離婚届にサインを書いてもらう場合の適切な人ってどんな人なのかわかりますか?
両親、は却下。わたしはまだ両親に離婚のことを言っていなかったし、夫の父親はなくなっている上、母親は遠方だから、時間的にも厳しい。
友だち?、、、そんなこと頼まれたことないから、頼まれた場合の気持ちが想像できない。まあ仲のいい友だちなら書くけど、わたしの友だちでわたしに頼んでくる人はいないような気がする。
会社の人、といえば上司だが、わたしの好きな人は上司なので、絶対に嫌だ。
考えてもよくわからないので、証人代行サービスをネットで見つけ頼むことにした。
行政書士の免許とご本人の写真がホームページに載せてあって、納期も書いてあって、なるべく近くに住んでいる人。
ありがたい。
急いでいるのを伝えた上、指定された料金よりちょっと多く振り込んだ。
やることだけ済ませたら、気持ちが重くなってくるのがわかった。
ただ、本当に間に合うのか?ギリギリだ。
考えはじめたら、不安な気持ちに捕まった。
夫の転居先もまだ、決まっていなかった。
離婚届を出すときに住所が変わっていなかったら、ひとり親に関する支援の申請が進められない。
書類と夫をジリジリ待つだけの1週間。
毎日毎日郵便受けを開けた。
わたしは疲れてしまっていた。
悪い方に思考が回り始める。
本当に生活していけるのかな。
子どもは新しい生活を受け入れてくれるかな。
つい、上司との個人面談の際にそれがもれてしまった。
わたし:「離婚したって、別に何か手に入るわけじゃないのにとか考えてて、そしたらすぐ眠くなっちゃうんですよ。」
上司:「平穏な生活が手に入るじゃん。」
わたし:「家にいるのがつらい。〇〇さん(上司のこと)に会いたい……ふつうの人としゃべりたい。」
上司:「…あーそういうことか。」
かまって欲しい、とふと思ってしまい、漏れた。
八つ当たりみたいに、本音をぶつけてしまった。
甘えてしまった、はずかしい。
我に返って、ごまかした。
しんどかった。
いや、しんどいのは本当の気持ちをごまかしたことだった。
でもだって、言えなかった。
家には他の男の人がいるのに、会いたいって言ってしまうとは。
後ろ暗いことは何もないし、何もしてない。
でも、好きな気持ちを自分で汚してるみたいな気分になる。
自分の役割は汚水処理場だなと思ったことがある。
家の中の空気が泥水みたいになっている。
例えば、怒る必要がないのに八つ当たりで子どもに夫が怒鳴り散らしているとき、とかだ。
わたしは、深呼吸して割って入る。
「そこまで言うことないでしょ。」
4歳の次女は泣くのを必死でこらえている。
隣の部屋に連れて行って、言い聞かせる。
「〇〇はわるくないよ、ママは知ってるよ。だいじょうぶだよ。」
胸の中でシクシクと声をおさえて泣いているのが切ない。
子どもが寝て、話をしようとしても夫はいびきをかいている。
わたしの中はさっきの泥水でいっぱいになっているけど、必死で浄化する。
次の朝子どもを取り巻く空気が綺麗になっていることを願いながら、わたしは息を吸って吐く。
ついこの前まで簡単にやっていたこういうことが、離婚しようと思った瞬間からもうできなくなってしまった。
それに好きな人まで、巻き込んでしまった。
わたし:「闇落ちしてるみたいです。ごめんなさい。しかもプライベートなことばかり喋ってしまった。」
上司:「いや、いいんじゃない?それくらいで。よかった。寝れば治るからねなよ(笑)」
別の世界に行って、思いっきり汚い自分になって汚いことをしたい、とか考えながらふと思ったこと。
そういえば最後の「よかった」の前に入る言葉って、なんだったのかな。
(話してくれて)よかった、(思ったよりだいじょうぶそうで)よかった、、、、???
そんなことをぐるぐる考えて、闇もとい眠りに落っこちた一週間。
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