(42)愛を知ることの苦しみ

夜中の2時前後に帰宅する夫の行動が目立つようになり、さすがに私の中での虚無感の周期が早すぎて自分の中の処理がおいつかず、夫と再び話し合うことにした。
夫もそろそろこういう時間が来ると思っていたらしい。

話し合いは毎度の如く、息子を寝かしつけてからリビングに行き、私から切り出す形。
私は、寝かしつけながら、話し合いのイメージをあれこれ膨らませる。
注意するのは、感情的にならないこと、批判にならないこと、押し付けにならないこと、私の苦しみも伝えるが、何よりも夫の声を引き出すこと。

まずは、色々挑戦したり、改善の兆しが見えて来てるようにも思っていたけど、ここに来て急に、裏切り行動がやたら目立つようになり、今、どういう心境なのか、どういう状況なのか聞いてみた。

夫は、息子や私のことは心から大切に思っていて、特に息子には、自分が感じた苦しみは味わせてはいけないし、家族への暴力や暴言、横柄で威圧的な態度、ましてや浮気現場などは絶対見せてはいけないと思っているらしい。
これには心底ホッとした。

とはいえ、家庭という枠におさまることへの反発や、自分はこれで終わるのかという疑問はどんどん大きくなり、アンガーマネージメントやら瞑想やら挑戦してるものの、なかなか新しい様々な挑戦のパーツが噛み合わないからうまくいかず、私に不倫がバレてることも実は気づいていて、相当な心労をかけている罪悪感もあるらしい。
でも自分でもどうしようもできないから、せめて経済的には絶対に苦労をかけないというのが、今の夫のできることという判断でいるとのこと。

夫にとって、彼女はどういう存在なのか聞いてみた。
夫は、彼女と将来どうこうしたいとかいうわけでもなく、ただ単に今という瞬間を過ごす相手であり、夫の中の男性性やら刺激を求める欲求やら自暴自棄な思いを埋める、言い方は悪いが都合の良い相手らしい。
だからもし、彼女が急に将来を要求してきたら、夫曰く「今までみたく切るだけ」とのこと。
夫らしいな。。

夫は、話し合いの機会を待っていたかの如く、色々吐き出し、涙声になったなと思ったら、最終的には涙を流した。
こっちだって極限だよと内心思いつつ、肩に手を置き、なだめた。

夫は、無茶苦茶で酷いことばかり繰り返す自分みたいな奴は死んだ方が良いし、今までみたく金銭請求されて終わるのが当然なのに、私が寝ずに待っていたり、ご飯を作っていたり、愛してるって言ってくれることが、心苦しくてどうしようもないらしい。

恐らく、夫にとっては、私から離婚を切り出した方が楽なんだろう。
こんな自分だから仕方ないし、今までもずっとそうやってやってきたから、夫にとってはこれで離婚になるのは、当然の方程式のようなもの。
でも、私はその方程式通りにならないから、夫の中では疑問や戸惑い、喜びや罪悪感、複雑な感情が交差し、苦しんでいる。
もしかしたら、だからこそ、これでもか!と言わんばかりに、分かりやすい外出をして私を試しているのかなと思った。
もし私が離婚を切り出したら、今までの自分の価値観は間違ってなかったと、自分が正しいと思うことができるから。

そういえば以前、夫が真実の愛を知った時、苦しむだろうなって思ったけど、今がその時なのかも。
不倫されたから不倫でやり返すのではなく、私は愛を伝えることで夫に仕返しをしている。
これが良いのか悪いのか分からない。
話し合いをした翌日早々、日中から外出し、2時頃帰宅されると、試されてるんだと思いつつも、凄まじい虚無感に襲われる。
でも、息子にも夫にも、愛を知って欲しいなって思うし、息子には、何よりも愛にあふれた子に育って欲しいなって思う。

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