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【コラム】ノンバンク審査担当者のつれづれなる話

人生において金融機関に融資申込みをする経験は一度はあるのではないでしょうか。。通常、何らかの理由で資金を必要としているため、融資を受けようとするものです。
しかし、残念ながら、大体の金融機関はお金持ちに融資したがる傾向にあります。お金持ちは融資を必要としないと思われがちですが、自己資金を減らさないためや、資産が現金ではない人などは、金融機関に融資を申込みます。
もちろん、経営者の場合、法人で借入しますので、頻度も額面も多くなりがちです。
 今回、資金がない会社・個人で言えば貧困層が何故金融機関から融資を受けられないのかを金融機関目線で述べさせて頂きます。
正直、個人レベルでも会社レベルでも融資審査の基本は変わりません。毎月返済できるのか、最悪を想定した時、元本は回収できるのかという基本的な要素をチェックします。
 このような要素は世界共通であるため、極端に分かりやすい事例を述べたいと思います。
 

貧富の格差の新興国と発展途上国での金融ビジネス


 インドやアフリカのような貧困の地域格差が大きい国などでは金融ビジネスがあまり、機能しません。そもそも、国民の多くが銀行口座を持っていないためです。
そんな人々がビジネス資金や生活資金を得ようと思えば、高利貸しから借りざるを得ないため、利息返済がままならず、状況が好転しない状態が続いています。
 なぜ、このような発展途上国の金融機関はこのブルーオーシャンとも言える、市場を狙わないのでしょうか。
目端の利く、銀行・ノンバンクは高利貸しより、ほんの少し金利を下げるだけで、沢山の顧客が獲得できるはずです。必要な所に必要なもの・サービスを提供するのはビジネスの基本です。
当然、お金を貸して欲しい所にはお金を貸すというビジネスは単純にして社会経済に貢献できるはずです。
しかし、このような発展途上国の人々は、銀行はおろか、ノンバンクにも、資金を借りていない現状です。
彼らは何故、金融機関から資金を借りていないのか又、借りられないのか、疑問が出ることでしょう。
 

金融機関の習性


実は、答えは単純で、金融機関は貧困層を拒絶し、富裕層に近づく習性・習慣があるためです。
そして、多く人々はそれを知っているため、高利貸しに流れてしまうのです。
 
先進国・発展途上国問わず、何故、金融機関は資金的に裕福な層をターゲットにしているのか。これを明らかにしたいと思います。
金融機関が最も注目する点が回収コストです。
日本でも発展途上国でも同様な原理原則ですが、資産に乏しい人や貧乏な人ほど高金利で借入を行う傾向にあります。
 標準的な説明方法では債務不履行の確率が高いからです。単純な計算の問題で、100万の融資ごとにコスト込みで平均で110万を回収しなくてはならないのなら、債務者不履行がなければ、金利10%ですむことになります。
しかし、借り手の半分が債務不履行に陥ったら、返済可能者から最低でも220万返済してもらわなければ、ならないのです。
つまり、120%の利率となってしまいます。簡単な計算でそうなる見込みが高いのであれば、超高金利で貸す(120%)か、先進国のように法定金利内で収まらない場合は融資しないという判断が合理的になっていきます。(日本では100万以上の法定金利は15%)
しかしながら、どれだけ高金利ででも貸倒れ率は結構低くなるという研究調査結果もあります。
貸倒れ率が10%以下であることが多いようです。例えば、70%以上の金利で借りているパキスタン人の統計では貸倒れ率は2%という結果が確認されています。
 
深堀してこの理由を調べると調査結果ほど簡単なものではないことが分かりました。
実はこの貸倒れ率は放っておいて、達成するものではなく、貸し手が高い労力とコストをかけてやっと達成することができていることが判明しました。
借り手は貸し手に対して対等であれば、基本的には返さなくても問題ないという誘惑に駆られます。従って、貸し手である金融機関は担保を取る方法や強制的に回収できるような手段を持ち、有利な立場で貸付を行わなくてなりません。
 金融機関は借り手がお金を返さないという判断や結果に対して、同額の罰を与えられるような相手のみ貸していくということなるでしょう。
お金を借りている人が他人に知られたくない場合、家のドアまで言って回収していくと払ってくれる確率が高いとインドの金融機関担当者が言っているという話もあります。
 
 
ここまで理解出来れば、金融機関がお金持ちに、貸付したくなる理由がわかると思います。
借り手が差し出すことができるものが多いほど、融資可能性が高まり、資金難や失うものがほとんどない人ほど、借りることが出来ないのです。
何故なら、借り手の資産状況や性格・家族構成、人となり、生活態度など、債務者となる人の全て調査することはコスト面や労力などを考慮するととても割に合わないからです。
1憶円の融資も10万の融資も同等のコストがかかります。
ならば、少額しか貸せず、回収も難しい先には貸して貰えないのは頷けます。もし、そういった費用をカバーしようと思うと天文学的な金利になるはずです。しかし、日本には法定金利がありますので、結局、貧乏な人・会社ほど金融機関にそっぽ向かれることになります。
 
 

金融機関から借入時


もし、銀行・ノンバンクなどから借入を行う際、担当者が信頼出来そうだ・悪い会社ではないと判断できたのなら、何か金融機関に差し出せるものを提示してあげるとよいでしょう。
少なくて、無担保・無保証よりかは格段に審査通過率が高まるでしょう。


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