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オウンリスククライミング


投稿するたびに『ケガ』の話をチクチクと出して居ます。
今日はケガは自己責任、つまり『オウンリスク』の概念をきちんと考えていきましょう。

近年では、クライミングジムのなかでもボルダリングジムがメインで多くなってきています。
そんな中で、『マットがあるから、ケガしない』なんて事を言っている人は少なくないでしょう。
果たしてそれは本当ですか。
もっと言うなら、背中から着地を推奨されたり、手をついて着地を推奨するようなこともあります。
それは、正しい事でしょうか。
タイトルの『オウンリスククライミング』とは、自己責任によるクライミングと、言う事です。
つまりは、ケガをしても自己責任ですが、接触してしまったり、ケガをさせてしまっても自己責任です。
それは、接触してしまった側にも、ケガをしてしまった側にも、もちろん適用されます。
もっと言うのであれば、『クライミングエリアに居る』段階で発生して居ると思ってもらう方が適切でしょう。
しかし、ボルダリングが流行り始めてから、はや10年以上が経過しその考えも薄れてきて居るように感じます。

では、なぜ着地後に背中をマットに着く、手をマットにつく事が『危険』だと感じるのでしょうか。
それは、背面に人や、物があった場合に、あなたが他人や、物に接触しない可能性が0%ではないからです。
マットの端に着地して、背中からマットの外に転落する場合も、もちろんあります。
手をついた瞬間に、過体重がかかれば手首は簡単に骨折、捻挫になるリスクは十分にあります。
数多くのクライマーが着地の失敗でケガをして居るのも事実です。
『でも、室内だからすぐに手当てできる』と、考える方も居るでしょう。
しかし、クライミングは本来は『アウトドア』で、行ってきたものです。
インドアであっても、その原則は忘れてはいけません。
なぜなら、外でケガした場合に『誰が手当て、処置してくれるんでんすか』と、言う部分です。
はっきり言いますと、きちんとした知識がある方でも、パニックになる事は多々あります。
それに加え、必ずその場に知識がある方が居るとは限りません。
ましてや、その後帰らないと行けない事を考えていますか。
まともに歩けないかもしれない、ふらつくかもしれない人を、山や、河川敷などの場所から運ぶのは容易なことではありません。
動けない場合には、救急の搬送がその場にくることになります。

『そんな大袈裟な話になることなんて、ほとんどないよ』

では、確率は0%でしょうか。
それは絶対に違います。数パーセントの可能性でも、可能性は存在します。
特にアウトドアで登る場合には、マットが一面にある事なんて稀です。
マットの下に岩があったり、木の根があったり、もしくは、崖ぎりぎりでその下は無いかもしれません。
だから、きちんと着地できないと、ケガのリスクにつながります。

ですが、『オウンリスク』と言う言葉で重要なのは、『自分のケガを防ぐ』と言う事だけが重要な訳ではありません。
『エリアの安全、存続を守る』事にも繋がります。
これは、マナーやルールのお話の際に、『危険な人が居たら注意しましょう。』と言うことに繋がります。
特に、アウトドアのクライミングができる場所は、本来地主さんや、市町村の方との話し合いで理解いただけたり、ルールを設けられた上で、クライミングをさせて頂いて居る状態です。
もし、あなたがそこの関係者だったとしましょう。
同じエリアでケガばかり続いたり、お手洗いの場所を守らない、駐車場も守らない、深夜に騒ぐなどされたらどう感じますか。
ゴミを持ち帰らない、禁止エリアで焚き火をする、許可した場所以外で登る。
関係者なら決して良い気分では無いと思います。
このような行動に、『自己責任』をもてますか。
あなたの行った事に、『責任が持てない』ような行動をしている段階で、『オウンリスク』ではありません。
これは、インドアクライミングのマナーと同じです。
『人に迷惑を掛ける』事は、クライミングをする上でもスポーツをする上でもしては行けない行為です。

この様な行為が増えていけば、自然と外で登れる場所は減って行くのは間違いないでしょう。
もちろん、外に限らず室内の施設でも同様です。
また、インドアの課題を登る際も、自身が着地位置や、落下ポジションの状態が把握できていないのに登るのは非常に危険です。
特にコーディネーションや、ランジの課題で着地場所がわからない状態で登り出すのは、接触自己の原因にもなります。

自分だけが楽しいのは、スポーツでも遊びでもありません。
『自身の責任が取れる範囲』を考えて、みんなで楽しく登りましょう。

参照(https://hime8kin.net/2014sankokiroku/140707own-risk.html)

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