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恋は幻、絶頂は頂

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書は丹田にありとの言葉を残したことで有名な私の師匠でしたが、女性関係にはとても厳しかったのです。
先ず、書道で大事なことは手首で描くのではなく躰全体で書くこと…#丹田 とはおへそのあたりにあるのですが…そこに力を込めるとどっしりと体幹が落ち着き…まさに小手先だけではなく…書に安定感が生まれます…

この丹田というものは躰に性のエネルギーを溜め込むので夜遊びをすると途端に書に力がなくなります…
私も若かりし頃は日本に出稼ぎに来ていたマレーシア の女性と実らぬ恋に落ち…一晩中 遊んでからそのまま筆をとって創作に向かうことも多くそんな日が続くこともありました。
しかし…先生の目はごまかせません…
今日はもう書くのをやめなさい…君の書には腰が入っていない…その状態で結果を出そうとすればするほど空回りだ…とおっしゃいました。
そして続けて…夜遊びをするなとは言わない…人生はバランスをとること…丹田に性的エネルギーが溜まりすぎても筆は暴走してしまう…

恋なんて幻なんだマレーシアとの恋の後に何が残る??
何も残らない…でも絶頂は頂きだ…同じように頂きも実体なんてないと思うだろう…
しかし頂の先には書が残る…頂きこそが書であり書こそ頂きなのだよ…

と…そうおっしゃいました…
私はハッとして我に返りました…ああ…私は大切なことを忘れていた…私は書を残すために生きると決めたじゃないか…
それから私は彼女との交際を断ち…書に…絶頂に生きると誓ったのでした…

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