マガジンのカバー画像

エルディ作品集

20
ナンセンス!シュール!スラプスティック! ちょっと奇天烈な読み物・音声の集合体。
運営しているクリエイター

#奇譚

自作の短編を自動翻訳にかけたら、ナンセンス度がアップし、少しサイバーパンク的になった

時代はグローバル化です。
野球選手がメジャーを目指すように、サッカー選手がヨーロッパを目指すように、物書きも世界を見据えないといけない。

と思ったわけではありませんが、自分のナンセンスな短編をGoogleの自動翻訳にかけたらどうなるだろう、さらにその英文をまた日本語に自動翻訳したらどうなるだろうと、ふと興味がわきました。
プロのクリエイターなら、「わが子同然の自作になんてことを!」って思うかもし

もっとみる

昔話奇譚『花咲くじいさん』

ある村のはずれの桜にまつわる話。口伝えの真偽のわからぬ話。

むかしむかし、お前のじいさんのじいさんが、まだじいさんじゃなかった頃。
村のはずれに独身老人がいた。息子を早くに亡くし、しばらくして妻にも先立たれた。それからはずっと独り。

独り身の寂しい老人なれど、村人は誰も助けようとしなかった。村の嫌われ者だった。
むしろじいさんのほうから村人を敬遠していたようだった。悪態をつく。欲張り。ときに暴

もっとみる
恋愛奇譚『この星の恋愛事情 ミチルの場合』

恋愛奇譚『この星の恋愛事情 ミチルの場合』

トイレに駆け込み、扉を閉めて思った。これじゃ嬉ションする犬だ。
「でも仕方ないよ、ミチル」
私はいつもそうするように自分に話しかける。「こんな幸せなこと信じられる? かっこよくて、身長が高くて、それでいてとびきりやさしい。しかも趣味も合う。 こんな理想的な人から告白されて、しかもプロポーズされるなんてありえる?」
三ヶ月前から付き合っている彼に喫茶店に呼び出された。マイナス思考の私は別れ話も覚悟し

もっとみる
恋愛奇譚『ホットケーキで逢いましょう 』

恋愛奇譚『ホットケーキで逢いましょう 』

彼女は変わっている。
食べ物から声が聞こえるという。こんなパターン初めてだ。
ぼくは笑顔で受け止めようと思うようにしている。しかし目には現れているようだ。彼女は、ぼくの怪訝な目つきを見逃さない。そして、いつもではない、ときどきだ、と彼女は自分は変人ではないのだと弁明する。
いやいや、問題は回数ではないのだけど……。

今日は、その「ときどき」らしかった。
街の古い喫茶店。テーブルには焼きたてのホッ

もっとみる