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どうしてAmazonは中国で苦戦するの?続編

土曜日ですが「Amazonは中国で苦戦」の続きをアップします!前編を読んでからだとより楽しめると思います。

前編はこちら「どうしてAmazonは中国で苦戦するの?

Amazonの苦戦とJDとタオバオの躍進

2013年、中国で4Gが商業サービスを開始し、モバイルインターネット環境が劇的に向上します。ここでいち早く行動したのがタオバオです。タオバオの母体のアリババが中国SNS大手のWeiboに出資し(18%の持ち株)ECとSNSの提携を強化しました。

その結果
「阿里巴巴集团2014财年(2013年4月1日-2014年3月31日)总收入约525亿元人民币,同比增长52.1%,净利润约234亿元,同比增长170.6%。」
アリババはの2014年の収入は525億元、前年比170.6%増!

↑すみません中国語のいい感じの推移の図が見つけられなかった。2013年くらいからの伸び半端ないですね、もう誰にも止められない

ちなみにこの年、AmazonがKindleを中国で正式リリース。これは今やAmazon中国の一番の成功となるのですが、このときはまだそんなことは予想もできなかった。

さすがのAmazonも中国での失敗を認める

2014年、Amazonが上海自由貿易地域で国際貿易本部を設立し、越境ECや越境貿易、越境金融などの事業に力を入れ始めます、が中国国内のECでは相変わらず苦戦。当時のAmazon中国総裁はブルームバーグの取材に対し「Amazonは長い年月でようやく理解しました。Amazonアメリカと同様のやり方は中国では通用しない」と語りました。あんたたち、もう中国で始めて10年経ってますけど...

そんなAmazonを横目に、JDとアリババはこの年に上場し、数百億規模の融資を獲得。ここから尋常ではないスピードで成長していくことになります。

このころスマホはPCに代わって最も使われるインターネット端末となりました。人々はウェブページを開くより、アプリケーションを立ち上げることによってインターネットにアクセスします。そして、この頃のスマホの容量がそこまで大きくなかったこと、また中国人は面倒くさがりってこともあり、使われるアプリは限定されました。JDとタオバオが中心となり、大手がさらに大きくなり、シェア争いの闘いに敗れた中小とAmazonはますます苦しくなります。

動画無しには売れない時代に

2016年、中国では「ネット生中継元年」と言われていて、ありとあらゆる内容を提供するたくさんの生中継プラットフォームが現れます。
(中国の生中継動画の話はこちらを御覧ください。)
当然のように、生中継で売ることがトレンドになります。参考にどんな感じなのかの動画を添付しますね。中国語ですが雰囲気伝わるかと。

どうですか?笑

わかりやすく言えば、スマホやPCでテレビショッピングの番組が何十万、何百万と同時に生放送されていて、24時間続いていると思ってください。電話をかけることも必要なく、コメントすればMCと双方向の交流ができ、アプリの中のボタンクリックでそのまま購入可能です。レビューも動画です。もはやAmazonが提供できるサービスではありません

中国Amazonは消費者のニーズを満足させようと思ってビジネスしているように見えます。しかし中国のECサイトは消費者のニーズを作ろうとしています。このビジネスのスタンスの違いが決定的な差を生んでしまいました

さらに恐ろしいことに、消費者はみんな中国式の売り方に慣れてしまいました。年配の方などは、もはやインフルエンサーの動画解説を見ること無しに商品を購入する方が珍しいくらいです。

配送やUIUXでも遅れをとるAmazon

そして話は現代にワープしますが、私たちの研究チーム内に昔Amazon中国のヘビーユーザーだった者がいます。どの段階で、どんな原因でAmazon離れになったかを聞いたら、2016年からあまり使わなくなったとのこと。その理由は、無料配達可能な最低金額(これ以上買うと送料無料だよってやつ)がどんどん上がっていったのに、配達のスピートが落ちたことと、価格競争力が弱いからだそうです。

数年前のことで記憶が曖昧とのことですが、一時期は29元(約480円)の買い物をすれば無料配達できますが、その金額はだんだん49元、59元、79元になりました(商品の種類にもよります)。そして配達は午前中に注文すれば夕方には届く だったのに、2日後、3日後になっていきました。すぐに読みたい本とか、すぐに使いたいものを買ったのに、サービスの基準がコストコントロールによってだんだん落ちてしまった。

そしてアプリがマジで使えない。通勤時間に使いたいんですけど、使えないし機能が全然足りないよ。ちなみに日本語のアプリもイマイチですよね、一回タオバオとか美团(meituan)使ってみればその圧倒的な差がわかるよ。いまだに白人のおっさんがUIUXやってんじゃないですか?

中国のECビジネスは過酷、今後も目が離せない

今中国でネットショッピングはJDとアリババがTOPにいます。日本の皆さんは日本での限られた報道を聞きながら、「この2社が圧倒的な立場で、見たこと無い額の収益を上げてる、だから誰も勝てないよね」と理解してるかと思います。しかし彼らですら全く安泰ではありません。最近は拼多多(pinduoduo)めっちゃ頑張ってますし、みんな虎視眈々とチャンスを狙ってます

↑2018年の中国での市場シェア アリババ強し、Amazon苦戦

2019年4月15日、JDのCEOである劉強東氏が社内向けのメールでこう言いました。「JD物流は2018年の欠損が23億元を超えました。そして連続12年の赤字でした。このままだと、JD物流が融資で獲得した資金はあと2年で無くなります。

JDはAmazonにかなり近いビジネスを行っていて、物流が強みです。速く正確に届くんです。しかし配達の質を維持するためにはコストがかかります。今はAmazonに勝ってるように見えますが、JDはどこまで行けるだろうか。

終わりに

Amazon中国は、いろんな理由から(まあ簡単に言うと中国を舐めてましたね。)ECサイトにあるあるの悪循環に入ってしまいました。捨て身で挑まれる闘いに怯み、ユーザーが少なくなり、利益を出すために儲けが出ない商品が削られる。そして販売数が少なくなって、卸業者から競争力のある価格がなかなか貰えない。その結果またユーザーが少なくなる。

結果として、今回の事業整理が行われました。今後巻き返すことができるのか?それとも流通業は諦めてKindleやAWSサービスの提供だけになってしまうのか。

そして僕は今日もJDで買い物をするのです、だって一番便利だからね😁


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