「フォレストシャッフル:アルプス」のレビュー(Forest Shuffle Alpine Expansion Review)
本記事は、Anthony Faber氏が2024年3月9日にBGG上に投稿した「Forest Shuffle Alpine Expansion Review」の翻訳である。
題名のとおり、「フォレストシャッフル」の拡張である「フォレストシャッフル:アルプス」に関するレビューの記事である。少し前に翻訳した記事では、「フォレストシャッフル」は拡張でもっと化けるかもしれないとの評価がされていたが、そのフォローアップ的な短い記事となる。
また、「Wyrmspan」と「Blitzkrieg!: World War Two in 20 Minutes」に関する簡単なコメントも記載されている。意義は小さいが、続きものではあるので翻訳している。
元記事は以下のリンク先を参照されたい。ヘッダー画像は、BGGから引用させていただいた(クレジット: Sabine Lau)。
2023年の私のベストゲームに関する数週間前のブログ記事を読んでいるのであれば、私がハンドマネジメントゲームのヒット作「フォレストシャッフル」の評価には苦労したことを知っているだろう。一方で、大好きな部分がたくさんある。捨て札が集まる共通カード市場があらゆる種類のインタラクションと困難な意思決定を生み出してくれる。厄介なコンボ構築の選択がある。プッシュ・ユア・ラック形式のカードがマッチすることによるボーナスシステムは、最も効果的なプレイを待つために敢えて自分の手札を詰まらせる。素晴らしいカードのアートがある。経験豊かなプレイヤーと新規プレイヤーのどちらとっても全てがこのゲームに揃っている。
けど、カードバランスの問題がある。概ね同程度の腕前のプレイヤーにとってみれば、もし、あるプレイヤーが著しい高得点を叩き出す鹿や狼を多く引いたのであれば、そのプレイヤーが勝利すると気づくのに時間はかからない。不安的に思われるコンボはこれ1つだけではない。カードの強さはピンキリのように思われ、一部のカードはプレイする価値がないように見える。
この記事は、「フォレストシャッフル:アルプス」が最近届いたという環境において書かれたものである。もっと正確に言うと、この拡張は、最近、物理的な製品が届く数か月前にBoard Game Arena(以下「BGA」という。)で実装された。このいつもと異なる販売戦略についてとやかく言うつもりはないが、この拡張がこのゲームを修正したり改善したりしたかについて掘り下げようと思う。
せっかちで全部読めない人のための要約(TLDR)。この拡張は両方とも行なっている。以前は、蝶がこのゲームにおいて弱めの種類の1つだった。蝶はコストなくプレイできるが、得点はわずかだった。蝶類から得られる得点は異なる固有のセットに左右されるので、特に、同じ蝶類を複数回プレイしてしまうと、得点がわずかとなってしまった。2つの新しい強力なカードにより、蝶が活用できる道筋となった。1つのカードは、プレイヤーがプレイした全ての蝶カードにつき3ポイントが与えられ、かつ、同じ手番でコストなしで蝶をプレイすることができるようになる。これは、従前の蝶を増強させる既存カードであるハリネズミを凌駕するものである。ハリネズミはコストが必要であるし、蝶をプレイすることなんてできなかった。
もう1つのカードは、昆虫(蝶と推定される)ごとに2ポイントが与えられ、かつ、色が一致していた場合には、コストなしでアルプスカードと昆虫カードをプレイすることができるようになる。ハリネズミとこの2つの追加カードによって、今では蝶の得点は非常に競争の激しいものとなったことを意味する。同様に、樹木の上部が側部や下部と同じくらい効果的になり得るので、完成した樹木1つについて得点を与えるムナジロテン(Beech Marten)カードを強化する。
2つの新しい樹木カードも強力だ。1つのカードは、プレイヤーがゲーム中にコストなしで色の一致するアルプスカードを手に入れることができるようになる。もう1枚のカードは、保有しているアルプスカード1枚につきゲーム終了時に1点をもたらす。この2つの樹木があることで、プレイヤーは自分の気に入った数枚のカードをつまみ食いするというよりも、全体として拡張に重きを置くようになる。プレイするのに3枚のカードを消費することとなるシロイワヤギもいるが、10点やフリーの手番が与えられるものや、保有する特定の色のカード1枚につき3点が与えられるヤギがいる。
こうした新しいカードはゲームを壊すものではないが、全てのカードが非常に頼りになるもので、蝶が強くなるのと同時に、どのカードをプレイすべきかに関する面白い選択が非常に増えることとなる。私が言及してないが、なお有用なアルプス拡張のカードは他にある。まだ基本ゲームのカードには使えないものが残っているが、特に、このゲームに占める割合がかなり低まった拡張を入れた環境下では、単なる通貨としてほとんど使用されることになっても問題ない。実際に、プレイヤーは、良いカードで他の良いカードを支払わなければならず、対戦相手が欲しがるカードをさらすこととなるといったハンドマネジメントの問題に遭遇することが頻繁になる。このことに、他の樹木と同じく、他のプレイヤーが獲得すべきカードを生み出すこととなる新しい強力な樹木を組み合わせると、場のカードの整理がもっと面白くてダイナミックになり、樹木に重きを置く戦略がもっと魅力的になるように思われる。そして、最終的に、鹿/狼の優位性はなお存在するのものの、拡張が追加されたことでカード枚数が全体的に少なくなったために、その優位性は弱まった。
「フォレストシャッフル」が好きだが、もっと多くの要素を覚えたくはないという理由でこの拡張を試してない人は、BGAでプレイすることを強くお勧めするよ。このゲームは、今まで以上に面白くて自由度が高くなったように思える。そして、まだプレイしたことがなくて、私が話していることを不思議に思う人には、このゲームを非常に勧めるよ。このゲームは、私の不明瞭な専門用語によって思わせる以上に親しみやすいものだ。また、アートは愛らしくて、「フォレストシャッフル:アルプス」では更に素晴らしくなっている。
「Wyrmspan」に関する注記
私の前回の投稿で「Wyrmspan」の初回プレイを楽しんだことに言及していた。その後、2回プレイしたけど、基本となる「ウイングスパン」よりも鋭くて面白いという認識のままでいるということが話せて嬉しい。昨夜、私の友人であるChrisとプレイした。Chrisがあれこれとコンボを決めて至る所に洞窟とドラゴンを攻撃してきたので、私は惨めなスタートを切った。私は、悲しい気持ちで四苦八苦していたけれども、Chrisのプレイは全てラウンド終了時の目標に合致しているように思えた。私は攻撃を受けるたびに激しく不服を述べ、ある時点で譲歩するのが最善なゲームもあると険悪に示唆したことすらあった。
ゲーム終了時に、私は、ギリギリなんとか3匹のゲーム終了時得点となるドラゴンをしばき倒した。ひと段落すると、私は、112点対111点でなんとかして勝利を収めた。この1点差は、"勝者(winner)"と"泣き言を吐く奴(whiner)"が1文字の違いしかないことを物語っていた。勝利と敗北の鍵は、Chrisがコンボ祭りを繰り広げる中で、彼が私にそれぞれ11点分の価値がある2箇所にギルドマーカーを置くことを許してしまったことだった。彼がどちらか一方を求めていたのであれば、彼は簡単に勝利しただろうさ。私は、ゲームをプレイしている間に、不服を述べるのを少なくするときまりが悪そうに誓ったが、続けてPaolo Moriの「Blitzkrieg!: World War Two in 20 Minutes」を私が初めて遊んだため、私は、約30分後にその誓いを破ったのだった。Chrisが負ける寸前に、彼は、100万点の勝利点を獲得するデウス・エクス・マキナたる核爆弾のチットを取り出した。誓いなんて忘却の彼方になって、そんなに強力なタイルがこのゲームに存在してはならないとめそめそと愚痴を述べたよ。そして、家路について、BGGにログインして低評価をつけてやろうと思ったさ。
以上
※Anthony Faber氏の記事としては、ほかに以下のものがある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?