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『Beep21』セガ・アーケード メモリーズby 元『ゲーメスト』編集長 石井ぜんじ-memory05-秀逸なアレンジが大ヒットにつながった「テトリス」

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石井ぜんじ氏のコラム第5回は「テトリス」

『Beep21』のコラムとして
元『ゲーメスト』編集長
が連載してくれている
このシリーズも5回目。

今回は「テトリス」について語ります。

▼第1回「ハングオン」

▼第2回「ファンタジーゾーン」

▼第3回「アウトラン」

第4回「ゲイングランド」

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石井ぜんじ:1964年生まれ。元『ゲーメスト』編集長。現在はフリーのゲームライター。ゲーム制作の仕事にも関わる。主な著書は、『ゲームセンタークロニクル』『石井ぜんじを右に!』『セガ・アーケードヒストリー』『シュタインズ・ゲート公式資料集』など。ゲーム関連ほか、SF、ミステリ、アニメなどエンタメ全般に興味あり。

 ライターの石井ぜんじです。ここでは、昔のセガのアーケードゲームを中心に、作品の魅力や発売された当時の状況、個人的な思い入れなどを書いていきたいと思う。

 5回目となる連載で取り上げるのは、セガが1988年12月にリリースしたアーケード版「テトリス」である。「テトリス」はロシア生まれのパズルゲームだ。PCから始まり、アーケード、ファミコン、ゲームボーイなどに移植され、日本では'80年代末に大ヒットを記録した。その後、現在まで「テトリス」の人気は国内外で持続している。

 派生作品を含めれば、「テトリス」は非常に多くのタイトルが世に出ている。権利関係も複雑で、過去には裁判となった例もある。しかしここではそこに深く踏み込むことはしない。取り上げるのは基本的にセガがシステム16基板で開発した、アーケード版「テトリス」(以下、AC版「テトリス」)とする。

©SEGA Tetris ® & © 1985~2023 Tetris Holding.

ヒットしたタイトルがほとんどなかった
1980年代アーケードのパズルゲーム

 それでは最初に、AC版「テトリス」が登場する前の1980年代アーケードにおける、パズルゲームの状況について紹介していこう。

 パズル要素のあるアーケードゲームは古くから存在するが、ヒットしたタイトルはかなり少ない。その中で高い人気を得て、後にシリーズ化されたのがアイレムの「ロードランナー」(1984年)である。またACアーケード版「テトリス」が稼働する少し前には、「上海」(サクセス / サン電子・1988年)が発売され、ロングヒットしている。しかしこれらの例外を除くと、AC版「テトリス」が発売される'80年代の末までは、「アーケードでパズルゲームは売れない」というのがほぼ定説になっていた

 そんな中で、突然出てきたのがAC版「テトリス」である。1988年の12月に発売されたAC版「テトリス」は、発売されるやいなや、全国のゲームセンターで人気となり、一大ブームを巻き起こした。

 当時筆者はアーケード専門誌『ゲーメスト』でライターをしており、本作の取材にも行っていた。しかし最初に見たときには面白いゲームだと思ったものの、ここまでヒットするかどうかは判断ができなかった。それは前述したように、アーケードではパズルゲームでヒットした例が非常に少なかったからである。ちなみに当時聞いた話では、本稼働前に行われるロケテストでもインカムは高かったようだ。

10年に一度の大ヒットとなった
セガのAC版「テトリス」

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