『Beep21』特別寄稿・内藤寬「追悼 玉木美孝」
追悼 玉木美孝 『タマキチ』と初めて会ったのは1990年4月だった。挨拶もそこそこに、事務所を開設したばかりの僕は、エアコンの無い仮眠室に段ボールを使って送風ダクトを作ることに熱中していた。ゲームプログラムと同じように、設計図や仕様書なんて作ることなどせず、試行錯誤しながら作っていると、タマキチは自分で持っていたナイフをおもむろに取り出し、無言で段ボールを切り出した。そのナイフさばきは実に見事で、僕のグニャグニャした切り口とは全然クオリティが違った。「手先起用でしょ」「え