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キャプテン翼世代か?転スラ世代か?

子供の頃に読んだ漫画は何ですか?

僕は漫画が大好きでした。短時間に他人の人生に没入できる爽快感。ある時はサッカー選手に、ある時は正義超人に、またあるときは聖闘士になったものです。
実際に漫画きっかけで入る部活が変わる友達も多く、タッチなど野球漫画は当然のこと、80年代当時はまだマイナーだったサッカーをキャプテン翼きっかけで始める友人や、スラムダンク、柔道部物語など「素人からすごく努力をして頑張る」系の漫画からスポーツを始めていました。

ジャンプがもたらした努力・友情・勝利の構造

実際に多くの漫画の内容が、ジャンプのスローガンとして有名な「努力・友情・勝利」でした。努力・友情・勝利!→さらに強大なライバル出現→努力・友情・勝利!の、連載終了までの無限ループでした。(こち亀除く)
そんな漫画に自分を投影していた思い出があります。体育の授業中に絶対できないスカイラブハリケーンの練習をしたのも良い思い出です。

最近の漫画がやたら転生している理由

最近の漫画には転生ものがやたらに多くないですか?車に轢かれて気づいたらファンタジー系の世界に紛れ込んでおり、知らない間に、そのままの自分で「俺すげえー」になっているやつですね。
細かいシチュエーションは数あれど、基本形は知らない間に強くなるアレですね。派生系では「推しの子」なども冴えないおじさんがアイドルの子供としてアイドルに転生する。これも同じ種類ですね。
何も持っていなかった所念が、ヒーローの能力を受け継ぐシリーズも好評です。努力はするけど、基本の能力がそもそも不足している不満や不安がこのような漫画が多く受け入れられている事情だと思います。
今時の漫画の悪影響で若者が!などという気は更々無いですが、この漫画のパターンが受けている根底には「努力だけじゃ超えられない壁をサクッと超えられたら気持ちいいよなあ」という憧れがあると思います。昔より超えられそうな高さの壁が減ったのか、壁の種類が多いのか、超えるのが面倒なのか?根本的な不安や不満、その一方でサクッと打開して「俺すげー」と言われたい承認欲求の現れです。しかし一方で宇宙兄弟やキングダムなどの挫折+努力系も多くあるので異論は認めます。数の問題ですけどね。

ポイントは「突然に強い能力+ちょっと努力」

転生したり、ゴムゴムの実を食べたり、ループしたり、漫画家の皆さんは以下にして一足飛びに状況を打開できる方法があるのかを模索して大変だなと思います。お役目ご苦労様でございます。
最近言われる「親ガチャ」なんてそうですよね、そんな閉塞感をぶっ飛ばしてくれるのがいわゆる転生系なんでしょう。
しかし、一方でやっぱり努力しなくちゃなーという思いもあるので、ポイントは「ちょっと努力」が入ってくる点です。きっかけは「転生」なんですけど、アイドルも、海賊王も、ヒーローも、スライムもみんな修行したり努力したりというのは定番です。

説教をしたがるおじさんたち

なぜか大人になると、今時の若者はーと言いたがりますけど、多分僕らが若い頃の方が傍若無人で努力しなかったと思います。正確には人と比べる術を持っていなかったので、何が起こっているのかよくわかっていなかっただけです。今はSNS全盛で、誰が何をやっているのか嫌でも見えてしまうので、ちゃんとしなきゃいけないし、卑屈になるし、不安になるんですよね。
人間なんてほんの数十年で根本が変わるなんてことは絶対にありません。

今時の若者は…ソクラテスよりずっと前から一緒

偉人の言葉として残っているのは2400年以上前のソクラテスの書簡です。
「今時の子供は、暴君と同じだ。部屋に年長者が入ってきても、起立もしない。」などという記録が残っています。
それより以前にはピラミッドの天井にも「今時の」系落書きが残っているようです。5000年以上前ですよ。
ごく最近の世代では「新人類」という定義があります。

しん‐じんるい【新人類】
従来なかった考え方や感じ方をする若い世代を、新しく現れた人類とみなしていう語。昭和60年ごろから広まった。 (出典:小学館 デジタル大辞泉)

そうなんです。その人たちの年齢は今なら61歳以上(2024年現在)会社で威張っていた、もしくは現役で威張っているおじさんたちはみんな新人類なんですよ。
上司から説教されてめんどくさいなあと思っていても、その上司も「今時の若者は」と言われていたのです。これこそ無限ループですよね。

結論:ソクラテスから見たらみんな一緒。

どんなに憂いても、嘆いてもそれは過去の自分を美化して若者に説教したい年長者の愚痴でしかありません。
そんなおじさんたちも、ピラミッドの時代からずっと「今時の若者」でした。結論としては今も昔も大して変わっていないと思います。

漫画の流行も一緒です。漫画という文化が出てからまだ100年足らずですがさまざまな流行があり、変化があり、ブームがありましたが大きな思考で考えたら大きな違いはありません。キャプ翼も、スライムも、海賊王もみんな普段の抑圧した自分を解放できる憧れを叶えるヒーローなのです。

大人になれば、若者に文句を言いたいし、そんなくだらない漫画を読むなと思い、旧ジャニーズのグループの誰が誰だかわからなくなります。
疲れたが口癖になって、同じ話を何回も繰り返したり、レジで待たされると舌打ちをするようになります。これは予言ではありません。未来は決まっているのです。まだ若いあなたもきっと、不健康自慢で盛り上がる日が来ます。絶対です。
そんな上司に説教されてイラッとくることも、下の世代にイラッとすることもあると思いますが、ソクラテスから見たらみんな一緒です。多分これから先も何万年も同じことが繰り返されますが、寛大な心で過ごしましょうね。
しかし、今時の若者は文章も読まなくなって…(以下無限ループ)

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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