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紀元前の地中海・黒海のアーリア人奴隷貿易(Ⅲ)ー ローマ人の食事

下記の私のnote記事で、このシリーズの本編、補足事項みたいなものが書いてありますので、よろしければお読みください。

奴隷商人(Ⅰ)
紀元前の地中海・黒海のアーリア人奴隷貿易(Ⅰ)ー 奴隷貿易は欧州承認の黒人奴隷貿易の専売特許じゃないんだ。イスラム商人のやった白人奴隷貿易だって相当なものだよ。
紀元前の地中海・黒海のアーリア人奴隷貿易(Ⅱ)
紀元前の地中海・黒海のアーリア人奴隷貿易(Ⅲ)ー ローマ人の食事
奴隷商人(Ⅰ)下書き

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★ ローマ人の食事

 紀元前前後の古代ローマの三食の呼び方は時代によって変わってきた。最初の頃、朝食は「イエンタクルム」、昼食は「ケーナ」、夕食は「ウェスベルナ」と言った。一番ヘヴィーなのが昼食だった。時代が進んで、昼食に「ブランディウム」というのが割り込んで、「ケーナ」は夕食、「ウェスベルナ」が夜食にずれこんだ。
 
 朝食はパンとチーズ、オリーブ、蜂蜜。それとワインかミルク。ワインは、甘く味付けして水やビネガーで割ったもの。或いは、パンとオリーブオイル、ビネガー、塩。シンプルです。貴族も庶民もそれほど変わりません。

 ローマの美食、というのは、ごくごく一部のローマ在住の貴族がしていたことです。質素、質実剛健というところ。アルプスの少女ハイジがおじいさんとしていたような食事です。

朝食1

 塩味のニンニクと水。果物やミルク、ナッツ、ワインも出ることがありました。

朝食2

 パンと言ってもイースト抜きのパン。ミルクは羊かヤギの乳。朝にたくさん食べるのは育ちが悪いと思われています。

昼食2

 しかし、庶民と違って、貴族や大商人ともなると、朝から来客が訪問してさっさと食べて、というわけにもいきません。貴族や大商人は、クリエンテスという「被保護者」の立場。貴族の農園に勤める農民や近隣の農民・漁民・猟師などはクリエンテスの庇護を求めるパトロヌスと呼ばれていました。これは奴隷商人のムラーが住むベイルート近郊でもローマでも似たりよったり。

 ムラーは、五時半くらいの日の出とともに起床して、洗顔などを済ませたあと、邸宅の玄関脇のベランダで朝食を取ります。パトロヌスが来るのでゆっくり食べます。パトロヌスがみんな一時にクリエンテスの家に押しかけても迷惑ですから、町内会の寄り合いみたいな場所でパトロヌスがクリエンテスの朝の挨拶をする順番を決めていました。

 パトロヌスは、ムラーに会う前にキッチンに行ってお土産の農産物とか海産物、猟で取れた鹿や野鳥の肉などをキッチン頭に渡します。キッチン頭は、パトロヌス用にスポルトゥラという小さな籠入りの食べ物を彼らにお土産として渡します。だいたい、パンやチーズ、果実が入っていますが、ムラーの家の手の混んだパンやチーズ、果実ですので、彼らの喜ばれるのです。たまに自家製のワインや蒸留酒の小瓶も入っていました。スポルトゥラは、すぐに食べてもいい、家族のために持ち帰ってもいい。町で誰かに売ったり交換してもいい。ムラー家のスポルトゥラは質がいいので高く売れます。

 その後、パトロヌスは、ムラーに朝の挨拶にベランダに行きます。たいがい、ムラーはパトロヌスに席をすすめ、一緒に朝食を食べるように彼らに言います。その朝食の席で、パトロヌスは自分の家の息子娘の結婚の話とか、近隣住民の噂話、今年の天候と作物の取れ高などを話します。

 クリエンテスのムラーは、耳に挟んだ他家の息子娘を紹介したり、村の有力者であれば仲人をかってでることもありました。それから、ローマ社会のさまざまな選挙、ベイルートの政務官選挙・民会議員選挙の票の取りまとめなどもお願いしました。

 また、パトロヌスの家がローマ市民権を持っていれば、その家で一人はローマ軍団に出仕しないとならない。しかし、跡取りの修行があったり、婚約直後であったりして、軍団に出仕が難しい男子の代わりに解放奴隷の他家の男子を出仕させて調整する、などということもクリエンテスはしなければなりません。

 そんなこんなで、パトロヌス数人と朝食をとっていると、すぐ一時間半くらい経ってしまう。だから、食事が終わるのは、七時半とか八時になる。

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 昼食のブランディウムは、パン、冷肉、魚、卵、果物、ワイン。煮豆やお粥、チーズ、オートミール。これもたいした食事ではありません。また、パトロヌスたちは、基本的に昼間は働きに出るため、食堂で食べる人もたくさんいました。昼食はそれほど来客がありません。

昼食1

 庶民の行く食堂はバール(今で言うバー)と呼ばれ、ファストフード店みたいなもの。かまどを数基並べて、そこで、こんなものを提供していました。

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● 豆入りプルス(小麦のかゆ)
● 豚のゆで肉
● 豚のもも肉や頭の串焼き
● ウナギ
● オリーブ
● イチジク
● ソーセージ
● 魚肉団子
● 肉団子
● サラダ
● 鶏肉
● 野菜のマリネ
● チーズ
● 卵
● オムレツ

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 ムラーは、ベランダやリビングなどでは、テーブルと椅子を使っていましたが、ローマ貴族などは、寝台を並べて寝そべって食べる習慣がありました。消化に悪そうですが。

トリクリウムー食事の寝台

 女性の集まりでは、こんな感じで腹ばいになって食べることも。フォークとかナイフはありませんので、基本的に手づかみ。しかし、お粥とかヨーグルトは手づかみとはいきません。スプーンみたいなものはありました。

トリクリウムー食事の寝台2


 夕食は日暮れ前の四時とか五時。お粥と豆を煮たスープ、乾燥肉、魚。豆類。オリーブ。蜂蜜。外食はタベルナでとります。ファストフード店、バール。小麦のお粥。豚肉の串焼き。魚肉団子。オムレツ。メニューはこんな感じでしょうか。

● 前菜。サラダ、カタツムリ三個、固茹で卵二個。お粥、焼きズッキーニのソース和え、野生の花の球根の酢漬け。アイス、果物。
● 前菜。オリーブ、塩漬けドグベリー、チコリのホースラディッシュ添え。チーズのモルタル、灰の中で火を通した焼き卵。茹で豚の腰肉、温野菜。木の実、イチジク、ナツメヤシの実(デーツ)、メロン、プラム、リンゴ、ブドウ、蜂の巣とワイン。スイカはアフリカ原産。
● 豆は、ルピナス、ひよこ豆、そら豆、レンズ豆。

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