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奴隷商人 Ⅱ 第11章 ●奴隷商人9、紀元前47年

奴隷商人 Ⅱ
第11章 ●奴隷商人9、紀元前47年

 午前の燦々とした陽光が窓から入ってきて、空気は澄んで心地が良い。ムラーとエミーがセックスし終わったばかりなので、私/エミーのあそこもジンジンして良い余韻はある、

 だけどなあ、窓ガラスがないもんなあ。窓には葦の茎で作ったスダレが垂れているだけ。エミーがアンアンすすり泣くのが外に聞こえたでしょうね。プライバシーをこの古代ローマに求めちゃいけないの?窓ガラスを作って欲しい!

 おまけに、朝飯後のこういうセックスは、この時代では普通らしい。アンアン声が聞こえたって、みんな気にしやしない。

 奴隷の家じゃあ雑魚寝だから、藁葺き小屋の一間の部屋の隣で十数人の子供がいる横で両親がアンアンしている。その子供だって、15歳とかで結婚したら、両親の横でアンアンするのだ。

 少なくともムラーの家は、個室があって、壁は大理石貼り、ドアはある。タペストリーで音が筒抜けってことではない。

 しかしだ、癪に障るのだ!

「そうでしょ?理不尽でしょ!どうしてくれるのよ!ムラー/知性体!どうオチをつけるのよ?」
「おいおい、キミとセックスしたばかりで・・・」
「私とじゃないです!エミーです!この小娘とです!」
「いやまあ、エミーとセックスして、その余韻に浸っているのに、文句を言うんじゃない、絵美」
「知性体が余韻なんて!」
「キミだって、レベルは低いが知性体で、アンアン言うじゃないか!」
「まあ、転移した人体の属性なんだから仕方ないわね、感じちゃうのは・・・」

「キミの質問に答えてあげよう。オチをどうするの!という質問だ。言ったように、俺たちは、エミーの部族のところにまず行く。それから中央アジア、前漢、朝鮮を経由して日本に行く」
「それで、日本に行って、最後はどうなるの?日本で私はこの体のまま、死んじゃうの?何千キロも旅するのよ!途中で死んじゃうかもしれないじゃない!」
「日本に行って、調査するって言ったじゃないか。それで、俺はこの体を抜けられるんだ」
「俺は、って、私は?私もエミーの体から抜けられるの?」
「俺は単なるプローブユニットなんで、機能限定、絵美をエミーの体から知性体として取り出すのは俺の本体しかできない。本体が戻るのを待つしかない」
「いつあなたの本体が戻ってくるのよ!」
「それはわからん。第4に行くとか、もしかすると、この第2の違う時代に行っているとか、俺にはわからん。俺の本体だから、気まぐれだ」

「冗談じゃないわよ!この時代の寿命は40年よ!後生きられても20年くらいでしょ?その間に本体が戻ってこないとどうするのよ?この体に入ったまま私は死ぬの?」
「寿命に関して言えば、基本的に紀元前の人類と20世紀の人類のDNAは違わない。違うのは、知識だ。この時代の人間は栄養素なんて知りゃしない。だから、長寿命になるような食事も取らず、不潔な環境で生きるから40歳代で死んでしまう。俺と絵美が気をつけて、食事に気を使い、病気にならなければ、20世紀の人間と同じような寿命になる。それから、俺がエミーの体の成長ホルモンと細胞老化因子を抑制した。体が無事であれば、誰だっけ?キミの言うクロエ・グレース・モレッツの姿のまま、理論的には120歳まで生きられるんだ」

「こら!エミー!わーい、とか喜ぶんじゃない!・・・ムラー、病気になったらどうせ死ぬでしょ?20世紀並の医者も病院もないんだから!」
「ガァガァ、叫ぶな!ま、これから、薬とか医療器具を作ろう。ペニシリンなどの抗生物質なら、この時代の器具でもできるだろう。医療器具も耐熱ガラス作りから初めて、作っていく。石鹸やシャンプーも欲しいんだろう?香水や化粧品も?」
「・・・まあ、今、ないものは仕方ないわね。ゴメン。でも、耐熱ガラスの前に、普通のガラスで窓を塞いで欲しいわ」
「キミの想像する薄い板ガラスは圧延機がないから無理だけど、小さい板ガラスを作らせて、ステンドグラスみたいなものは製造できる。防犯上問題だから、それはすぐにやろう」

 ムラーはサイドテーブルの上に置いてあったアヌビスの脳から取り出したガラス球を取り上げた。「しかし、これは、高度の工業製品の製造工場がないとできないものだ」


A piece of rum raisin - 単品集


ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編1

ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編2

ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編3

挿入話第7話 絵美と洋子、1983年1月15日/1983年2月12日


登場人物

宮部明彦 :理系大学物理学科の2年生、美術部
小森雅子 :理系大学化学科の3年生、美術部。京都出身、実家は和紙問屋
田中美佐子:外資系サラリーマンの妻。哲学科出身

加藤恵美 :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、心理学科専攻
杉田真理子:明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、哲学専攻

森絵美  :文系大学心理学科の2年生
島津洋子 :新潟出身の弁護士


シリーズ「A piece of rum raisin - 第1ユニバース」

第1話 メグミの覚醒1、1978年5月4日(火)、飯田橋
第2話 メグミの覚醒2、1978年5月5日(水)
第3話 メグミの覚醒3、1978年5月7日~1978年12月23日
第4話 洋子の不覚醒1、1978年12月24日、25日
第5話 絵美の覚醒1、1979年2月17日(土)
第6話 洋子の覚醒2、1979年6月13日(水)
第7話 スーパー・スターフィッシュ・プライム計画
第8話 第二ユニバース
第9話 絵美の殺害1、第2ユニバース
第10話 絵美の殺害2、第2ユニバース
第11話 絵美の殺害3、第2ユニバース

シリーズ「フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)-第4ユニバース

第一話 清美 Ⅰ、1978年2月24日(金)
第一話 清美 Ⅱ、"1978年2月24日(金)1978年2月27日(月)
第二話 メグミ Ⅰ、1978年5月4日(火)
第三話 メグミ Ⅱ、1978年10月25日(水)
第四話 メグミ Ⅲ、1978年10月27日(金)
第五話 真理子、1978年12月5日(火)
第六話 洋子 Ⅰ、1978年12月24日(土)

 ●クリスマスイブのホテル・バー
 ●女性弁護士
第七話 絵美 Ⅰ、1979年2月17日(土)
 ●森絵美の家
 ●御茶ノ水、明治大学
 ●明大の講堂
 ●山の上ホテル
第八話 絵美 Ⅱ、1979年2月21日(水)
第九話 絵美 Ⅲ、1979年2月22日(木)
第十話 絵美 Ⅳ、1979年3月19日(月)1979年3月25日(日)
第十一話 洋子 Ⅱ、1979年6月13日(水)

メグミちゃんの「ガンマ線バースト」の解説

マルチバース、記憶転移、陽電子、ガンマ線バースト


シリーズ「雨の日の美術館」


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シリーズ「アニータ少尉のオキナワ作戦」

シリーズ「エレーナ少佐のサドガシマ作戦」

A piece of rum raisin - 第3ユニバース

シリーズ「フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス-雅子編」

フランク・ロイドの随筆 Essay、バックデータ

弥呼と邪馬臺國、前史(BC19,000~BC.4C)


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