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掃除とプレゼント

 毎日働いていると、知らず知らずのうちに心が汚れていく。いろんな人の言うことに翻弄されて、混乱する。状況をうまく飲み込めなくて、頭がショートする。その繰り返しで、徐々にストレス状態に置かれていく。

 ストレスが溜まると、人の悪いところが目についたり、些細なことでイライラしたり。挙げ句の果てにすべて諦めて開き直ったり。とにかく無茶苦茶になる。

 そして、自分が正しいと思うことを正しいと思えなくなるときもある。できないながらに精一杯頑張っていること、自分にできることを一生懸命やること、効率が悪いと言われても自分のルールを守ること、たとえ馬鹿だと言われても真っ直ぐ素直に生きること。

 どれか一つでも否定してしまったら、私はまた私を失ってしまう。だから、自由時間である休日は、自分を肯定するためのことしかしない。

 本を読むこと、映画を見ること、激しい音楽を聴くこと、文章を書くこと、スーパーで買い物をすること、料理をすること、洗濯をすること、掃除をすること。これらすべては、私が私であるために必要なことなのだ。

 本や映画で、いろいろな世界と出会い、ちっぽけでも一生懸命生きることが大切だということを学び、再確認する。

 激しい音楽を聴いて、人には誰しも負の感情があって、それをぶっ放していいことを学び、再確認する。

 文章を書くことで、今自分自身が考えていることを可視化して、自分の心を知り、学び、再確認する。

 家事・炊事をすることで、生きるために食べることの大切さを学び、再確認する。掃除をすることで、整えることの大切さを学び、再確認する。

 これらの一連の行動は、私自身の心を綺麗にするためにやることだ。心の中も掃除と同じように、汚れたらまた綺麗にしてやらないといけない。綺麗にすれば、また私の好きな私になれる。

 3ヶ月過ぎ働いてようやく気づいた。働いていて心が汚れていくことを嘆いていても仕方ないのかもしれない。だから、汚れたら、その度にまた綺麗に洗ってあげればいいことを。綺麗にしたら、また少し、きっと頑張れる。

 入って間もないころ、「趣味はあるの?」という先輩の質問にちゃんとした答えが出なかった。それからずっと、趣味とか、好きなことについて考え続けた。おかげで、少し心が軽くなった。

 あの先輩は、きっとそんな意図で言ったわけじゃないと思うけれど、私なりに、その言葉を真っ直ぐに受け取りました。素敵なことを教えてくれてありがとうございました。

 夏の夕暮れ、少しだけ涼しい風を肌に感じながら。




 

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