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D2Cの良し悪しと、少し未来。【2024時点】

こちらに書かれる文章は、自社メンバーはもちろん外部の方にも「弊社をより知って貰う為」に書き始めた、オープンスタイルの社内報です。

自社Notionより

WEB販売のみのワンピース専門店を営む私たちは、D2C(direct-to-consumer)」と言う言葉が世間的に認知される以前、私たち自身がそれに属することを知らなかった頃の創業時から、これまで実店舗を一切持たずに女性服の販売を行ってきました。

「D2C」それを端的に訳すと「消費者に直接販売すること」
そしてその特徴と言えば…
(※個人事業~小規模事業に絞ります)

「D2C」=「消費者に直接販売すること」

D2Cのメリット

  1. 初期投資を抑えられる ⇒ 他に予算を回せる

  2. 中間マージンが無い ⇒ 価格を抑えられる

  3. 顧客データが全てある ⇒ 戦略が練り易い

  4. 顧客と直接繋がる ⇒ 迅速なフィードバック

  5. 在庫が目の前にある ⇒ 過剰在庫の抑制

  6. ブランディングが自由 ⇒ 世界観を構築し易い

  7. 商品企画が自由 ⇒ ニーズに対しての早い反映

  8. 販路拡大が自由 ⇒ スピーディーに開拓

こう書いてしまうとメリットばかりで夢のような商法ですが、メリットそれぞれに裏返しのデメリットが潜んでいます。なんならデメリットの方がたくさん書けます。

D2Cのデメリット

  1. 初期投資を抑えられる

    1. 結局、コストと労力がサイトの魅力に比例する

    2. だからと言って、かければ成功する訳でもない

  2. 中間マージンが無い

    1. 中間業者がいれば頼める業務を自分たちで行う

    2. 中間業者負うリスクがすべて自己責任

  3. 顧客データが全てある

    1. 膨大にあるデータを活かすも殺すも自分次第

    2. 日々の業務に追われてデータを見る暇もない

  4. 顧客と直接繋がる

    1. 対応に追われて本来の業務に支障をきたす

    2. 対応を誤るとクレームに発展する

  5. 在庫が目の前にある

    1. 倉庫を確保しなければならない

    2. 入出庫や検品など在庫管理業務に追われがち

  6. ブランディングが自由

    1. 市場の激化で高度なマーケティング知識が必要

    2. 商才が無いと凡庸にも過剰ニッチにも成り得る

  7. 商品企画が自由

    1. 差別化や独自性を保つのが難しい

    2. 売りたい商品とニーズが一致するとは限らない

  8. 販路拡大が自由

    1. 拡大することでブランディングがブレがち

    2. 販売チャネル毎に購買体験がバラつきがち

冗長にならないよう各2項目しか挙げていませんが、まだまだありますデメリット。要は、自由と苦労は1セットと言うこところです。

未来の結果はすべて自己責任

参入はし易くなったD2C

例えば5年前と比較すると、インフルエンサーの隆盛、ノーコードツールや生成AIの発展、EC関連の技術者やクラウドワーカーの増加などのお陰さまで、D2Cブランドを立ち上げること自体は容易にはなったものの、そのビジネスを継続させることの難易度は上昇していると思います。

当たり前の事ながら、それら容易に始められるツールや要因は皆平等に与えられている訳ですし、企業に限らずインフルエンサーさんであれば、フォロワーが万人単位でエンゲージも高い方なら極論、誰でも自分ブランドを立ち上げることが出来ます。ゆえに、参入障壁が低くなるほど競争が激化するのは当然です。

私たちは幸い、創業から17年を迎えられたものの、まだまだ理想とする企業文化や企業規模には遠く及んではいないので、まだまだ試行錯誤の毎日ですが、WEB販売だけをしていれば良い時代の終焉も間近だと感じています。

疑似体験の増加で増す、実体験の価値

やはり人は体験を求めるもので、いくらWEB上で詳細を書かれていても、バーチャル・ツールで擬似的なフィッティング体験をしても、眼の前で見て・触れて・感じることには代え難いものがあります。

むしろ、WEBでの購買体験者が増加する程、リアルな体験が価値を増していくとも思っています。だからと言って、実店舗での消費が増える訳でも無いとも思っています。

未来の百貨店や路面店はショールーミング化するとも言われていますが、明確にそうなるとは思っていません。

ライブコマースが日本でも当たり前になったとしても、店舗に来る人が激減することは無いと思っています。

徐々にグラデーションのように、実店舗とオンラインストアの境界線が溶けていき、お客さんはシームレスにオンライン・オフラインそれぞれでの体験を受け、その時々の状況や目的で購入先や送り先を決めるでしょう。

手にショッパーを持って帰路を楽しみたい日もあれば、手ぶらで帰りたいから自宅へ送って欲しい日もある。百貨店やモールに限らず、いずれどの店舗もその要求に応えなければならない時代がやってきます。

本当に未来の百貨店はショールーミング化?

取り込み合う、オンラインとオフライン

オンラインはリアルな体験に近づけようとし、実店舗はオンラインストアの特徴、例えば行動解析から顧客に合わせたお勧め(パーソナライズやセグメンテーション)をするなど、お互いの良さを取り込み合います。

それは今のところOMO(オンラインとオフラインの統合)と呼ばれていますが、いずれ境界線を感じないほどに溶け合えば、D2Cも含めその言葉は意味を無くし、過去の単語になっていきます。

そんな、少しだけ先の未来に思いを馳せることが、私たちの次の行動への原動力にもなる訳です。

長きに渡りWEBでのみ販売をしていた私たちが、今年から急に百貨店でポップアップストアを始めたり、公式アンバサダーを募集し始めたのは、それらの思いが根底にあるからです。

販売者としては、一個人の発信者から上場企業に至るまで、販売物としてはアパレルや機器などのプロダクトに限らず物質である総てに、同様の機会とリスクが孕むD2Cは、「自由」で「危うく」そして黎明期からずっと変革の只中にある、魅力的な商法なんです。

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