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#78_【読書】三行で撃つ・百冊で耕す/近藤康太郎(CCCメディアハウス)

ライターみたいな仕事をするようになり、なんだかんだで6年半が過ぎました。

お仕事をいただいているので新聞を取るようになりましたが、年度の頭に契約して半年くらい経った頃からでしょうか、「アロハで※◎▼■×してみました」という連載に出くわしました。

○日新聞も、ずいぶんイカれたライター雇っちゃったなぁと思いながら、面白い筆致の文章にグイグイ引き込まれ、冬から春限定の連載でしたので、次の掲載が楽しみになっていました。
実はプロパーの記者である(しかも、現在は編集委員)ことを、あとから知ることになりますが(苦笑)。

その方は、近藤康太郎さん。

ご出身は東京渋谷で、赴任先はほぼ首都圏(いっとき、ニューヨーク)、しかしどこで間違いが起きたのか、現在は九州で田を耕し、狩猟もされています(「も」というのは、まだ新聞記者でもある、ということ)。
そのへんの経緯は「おいしい資本主義」という著書に記されていて、これもまた大変面白い本なのですが、今日は「三行で撃つ」「百冊で耕す」をご紹介します。

【「おいしい資本主義」と文庫化された「アロハで田植え、はじめました」】

「三行で撃つ」に、本を1日に5冊同時に読んでいらっしゃる(「課題図書」4冊×15分+「好きな本」を1時間)ことが書いてあり、凡人には想像できない境地に達した方なのかと想像してしまいましたが、ご本人曰く、読書の速度は15分で15ページ程度と、素人の私と変わらないレベルだそう。
そして、同時に読むと言っても、「課題図書」は通勤や手待ちなどのすき間時間に読めばいいし、残りの1時間はベストセラーでも漫画でも、仕事で読まねばならない書類でもいい、とのこと。
とはいえ、マネジメント能力が欠ける私には、なかなか実現できずにいます。しかし、みんなができないことをしなければ、自身の価値が磨かれていきません。「いいわけを考えていると、短い人生は一瞬で終わる」。
「ヒィィィィ、耳が痛い…」という感じですが、今月からひとまず年末まで、月に15本以上を目標にnoteに記事を書きたいと思います。

「百冊で耕す」の巻末に載っている読書リストには、古典や長編小説ばかりで圧倒されてしまいますが、ご本人も全てが理解できると思って読んでいるわけでもなく、ろくに言葉も分からないのに辞書を片手に読み進めることもあるとのこと。とはいえ、村上春樹をスペイン語で読むとか、かなりチャレンジングなこともされています。
そのような姿勢で読書に取り組むからこそ、普通の読書術にはないことも記されています。

たとえば、

「読書は人を自由にする」

たしかに、書く人はある思いがあって文章を書いているので、私自身、最近までそれをきっちり読み取らねばならない、と思っていました。
しかし、ライターの仕事をしていると、たまに取材相手から「私が意識していなかったことを引き出してくれて、ありがとうございます」と言われることがあります。そして、そういう時ほど反響が大きいと感じていましたが、百戦錬磨の著者ですら「読者が読んでいるように読まれるべきものだった」と反省させられることが、たびたびあるとか。
文章もひとつの表現作品ですから、書き手からしますと「自分の文章は、作者の所有物だ」と言いたくなる気持ちも分かりますが、他人の解釈を受け容れる謙虚さを持つことで、相乗効果による新たなイノベーションが生まれるほうがもっとおもしろいのではないか、と思いました。

インプットとアウトプットは両輪の関係にありますし、相乗効果によって自分だけの力では生み出せないものが生まれるのは、単純にワクワクしますので、もっと自分からその機会を増やしていきたいと思います。

文筆に限らず、言葉による表現に関わる方、この2冊は必読ですo(^-^)。

さいごに余談ですが、近藤さんは、以前新聞のコラムで、「巨人の星の歌を聞きながら「重いコンダラ」ってなんだろうか・・・」と書かれた方でもあります。

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