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「仕事しんどい」と思ったら、仮病使ってでも休む社会になってくれと思った話

仕事がしんどくなったら、体調悪いんで休みます、でいいんじゃないかと思った話。

この前、プライベートの用事でどうしても会社を休まねばならず、体調が悪いので休みますと、仮病を使ってしまったことがありました。当初、かなりの罪悪感がありました。

ただ、その用事を優先しなかった場合、最終的に会社にも迷惑をかけてしまうことになるので休まざるを得なかった。のっぴきならない理由であります。

しかし、その私的な都合をいかにして会社に説明するかは、非常に悩ましいものがありました。やりようによっては、休まなくてもよかったかもしれないと、言えなくもないのです。

例えば、数日寝ないで頑張っていれば、会社を休まずに済んだかもしれないとか、休みの日に仕事をしていれば、平日休まなくて済んだかもしれないとかです。

つまり、体力と根性さえあれば、問題にならなかったかもしれない問題なのです。

いや、今時の言い方をするならば、
「生産性を考えて生活していれば問題にならなかった問題」
かもしれないのです。

私の勤める会社は、若手が多い会社ですが、非常に優秀な方が多くいます。中でも、経営陣は自分に厳しいストイックな方が多い。(情熱とか、プロフェッショナルとか、無駄を削ぎ落とせとか、そういうことをいう人が多い会社です)

そうした方がトップを務める会社で、私的な用事で休むことはなかなか言いづらいものです。

こういう場合、ふつうは有給休暇を使うでしょう。有休は会社員に与えられた休む権利であり、その使途を問うことは誰にもできません。事業主側も、休暇を取ることを拒否できません。

しかし、突発的な事態の場合、有休を使うのがためらわれる人も多いのではないかと思います。(そもそも有休の目的とは異なるのですが)

そういう時、会社に話せる類の話と、話しにくい類の話があると思います。

新婚旅行に行くから欠勤しますとか
飼い犬が病気で倒れてしまったのでお休みしますとか
なんとなく会社に行きたくないからお休みしたいとか

まぁ、事業主側からしたら、「ふざけんな〜!」だと思います。お前に主体性はないのか、とか最近の若者は根性がないとか、愚痴を言いたくなる気もします。

でも、
私はここで怒るのって、なんかおかしいんじゃないかなと思うんです。

ここからは、社員が休む理由について、とやかく言うこと意味がないと思う理由を説明します。

1. 人は自分の価値観でしか生きれない

第一に、相手は人間なわけですから、自分の生活の中で行動の優先度を決めるものです。自分の価値観しか見ていないわけです。

仕事よりも、新婚旅行が大切な人はもちろんいるでしょうし、
仕事よりも、ペットが大切な人もいるでしょう。
心がしんどいから休む、なんて自分の健康を優先する重要な考え方です。
(最後のは価値観ですらないかもしれませんね)

要は、価値観の問題なわけで、大切なものは大切だし、
嫌なもんは嫌なんでしょう。
いくら契約上、会社への誠実性を担保してもらうことになっていたとしても、価値観を縛り付けることまでは法律でもできないはずです。

結局、社員の価値観を把握できていないから、「あいつは急に仕事を放棄した!」という見方に陥ってしまうのです。
仕事を最優先に考える価値観も、その人に属する主観的なものなので、結局のところ水掛け論になってしまいます。

2. 休む理由が何かはぶっちゃけわからないし、
それがなんであれ、会社にほとんど影響がない

第二に、休む理由の妥当性を問うこと自体、全く意味がない行為だからです。

極論を言えば、休む理由をなんといったとしても、それが正しいというのは休む本人しかわからないです。

「新婚旅行なんで」と言われたとしても、それが本当に新婚旅行かもわからないですし、新婚旅行だからといって、会社に直接何か特殊な影響を与えるわけでもありません。純粋に、1人の1日分の生産活動が行われなかっただけです。

病欠ですら、それが病気だったかなんてわからないのです。
なぜなら、仮病であったとしても医者は診療してくれますし、診断書も書いてくれるからです。

一般的には「病欠は仕方がないけど、それ以外の理由で休むのはダメ!」という人事評価がされると思いますが、リスク管理の観点で、病欠をカウントしたり、病気の内容を把握したりすることには意味があると思いますが、そこを区別して牽制する意味はないと言えるでしょう。

大切なのは、休んだ人の穴をカバーできるか、です。
急に休まれてしまった場合、対応不可能な事態に陥らないよう社員の状態を日々把握できているか、
コミュニケーションを頻繁に取れているか、
そもそもの前提となる信頼関係を築けているかが重要です。
(急に休まれて怒っちゃう上司は、結局のところ信頼関係が築けていないのです)

3. 休む理由を深く尋ねることがむしろデメリットに

第三に、休む理由を尋ねる際、感情=解釈が混入することによって、社員のエンゲージメントを低下させてしまう可能性があるためです。

人は、事実と解釈をなかなか分けられない生き物です。
特殊な訓練を重ねない限り、主観的な解釈の世界で生きています。

大抵の人は無意識のうちに、「○○さんは〜〜なやつだ」とラベリングをしています。

もし仮に、仕事を最優先に考えている上司Aさんが、部下であるBさんに「ペットが病気になったので休みます」と言われたとします。

Aさんは「はぁ〜?ペット??まぁ人それぞれだしいいけど、それにしてもペットで仕事休むんかいな」と思ってしまった場合、「ペットで仕事を休むような人」というラベルをBさんに対して無意識に貼ってしまっていることになります。

こういう解釈を、人間関係に挟まないのが大人である、という言い方はできるでしょう。しかし、こういう「べき論」を振りかざしている人は、往往にして上記のような解釈に基づいたラベリングを行なっています。

こうした解釈は、ほぼ100%行動に現れます。
そして、相手に対するラベリングは、相手をそのような生き方に誘導する力を持っています。心理学でいうピグマリオン効果とゴーレム効果です。

元々は教育心理学の概念であり、教師期待効果とも呼びます。
以下のような実験が元になっています。

ある小学校のクラスを対象に、知能テストを行う実験をしました。学級担任には「このテストによって今後成績が伸びる生徒が分かる」と説明しましたが、実際にはそのような効果はない一般的な知能テストでした。テスト後、結果に関係なく無作為に生徒を選び出し、「今後成績が伸びるのは、この生徒たちだ」と伝えました。担任教師はこれを信じて選ばれた生徒たちに期待して指導をしました。すると、本当にその生徒たちの成績が向上したのです。
この実験で、成績が向上した要因として考えられるのは、担任が選ばれた生徒たちに期待を示し、子供達は期待されていることを意識してそれに応えようとしたことが挙げられます。(https://bizhint.jp/keyword/63808)

これは、適度な期待が相手のやる気を引き出し、その結果として期待に応える成果を上げることを示唆しています。これは教育だけでなく、ビジネスにも応用されてきました。

つまり、上司が部下をどう思っているかは、期待として部下にちゃんと伝わりますし、それによってその部下のパフォーマンスが変化するのです。

そもそも、休む理由をあれこれ詳しく聞かれると、「え、なんか私疑われてる……?先輩って私のこと、そんなやつだと思ってたんだ」と悲しく思ってしまうことでしょう。それは反応として、自然なことだと思います。

終わりに

ここまでで、休む理由を問うたところで、会社にとって1円にもならないことを説明してきました。

現状、ほとんどの日本人は、「会社には毎日行かないといけない」とか
「ちゃんと働かないといけない」とか真面目に考えているのだと思います。
そう言うところが日本人の美徳でもあり、誠実なところでもあります。

しかし、そんな真面目さが時にプレッシャーとなって、
ストレスや生きづらさを感じてしまう人は少なくないはずです。

そんな時は、仮病を使ってでも休みましょう。
正直には言えないことも、世の中にはたくさんあると思います。

一つだけ、守ってほしいこととしては、
自分が任されているタスクで、周りに任せれば事故らなくて済むような類のものについては、できるだけ分配しておくこと。

それも、上司から要求されたら、でいいと思います。

いわゆるマネージャーという立場の人は、社員が突然休むなどした場合にこそ、頑張らないといけないのです。

manageは、もともとは「管理する」と言う意味ではなく、「(どうにかならなそうなことでも)うまくやりくりする」という意味の言葉です。

常に完璧にするのではなく、突然の対応に迫られた時にうまいこと問題を処理すること。それがマネージャーとしての仕事です。(いいマネージャーがいないから、部下が精神的に辛い思いをするのです。)

なんとなく辛いなと思ったら、仮病を使ってでも休める社会になればいい。
そしたら、そもそも休む理由を聞く意味ねぇなと、ストイックで頭の固い上層部も理解するはずです。

「休むんじゃねぇ!」という会社よりも、
「休むのは個人の自由だから」と咎めない、人間的な信頼を基盤とした会社がこれからの時代にあっているし、自然体系的だし、居心地が良いコミュニティだと思います。

もちろん、休む日数が多ければ、それが人事評価に繋がるのは仕方のないことです。

しかし、休んだ理由をとやかく言うのは、やっぱりおかしいと思い、この記事を書きました。

会社に行くことが辛いなと感じている人や、
自分に自信をなくしている人、
転職しようかなと悩んでばかりいる人が、
この記事を読んで、ちょっぴりでも楽になってくれたらいいなと思います。

最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。

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