見出し画像

最優秀ベストトレーナーが教える、トレーナーとしての極意

1.はじめに


コロナの影響で、会社ではコミュニケーションもオンライン上でとることが多くなり、
より一層“人との接点”の希薄さが浮き彫りになってきています。
また、“ゆとり世代”などと評された世代が社会人として入社してくる令和時代。
こんなことを思っている方々が多くなっているのではないかと思います。

「最近の新人との接し方がわからない」
「どうやって後輩の育成をすればいいのか」

これは本当にその通りで、育成方法なんてものは誰も教えてくれません。
そして、育成方法に正解はないと思います。
ではどうやって育成し、なにを意識しながら後輩を育てていけばいいのか。
勤めている大手広告代理店における2020年度の全社表彰において、
“最優秀ベストトレーナー賞”を受賞させていただいた筆者が、
マネジメント層の方々というよりは、一番身近で後輩を見守る存在、
いわゆる“トレーナー”と呼ばれる立ち位置で奮闘されている同世代の方々に贈ります。

2.「最近の若者は…」


メディアでもよく報じられる「最近の若者は…」というネガティブな表現。
はい、本当にすみません。筆者自身も95年生まれ世代のTheゆとり教育です。
何かあればすぐに“パワハラだ”“モラハラだ”なんだと揶揄される時代。
そんな時代も我々ゆとりが生み出した産物なのかなと。

そんな我々の若者の最近の特徴は、大きく2つあると思います。

① スマートに物事をこなす
② 失敗すること、怒られることを恐れる

え、①なんてむしろ素晴らしいじゃん。なんて思うかもしれません。
確かに最近の若者は頭が良く、スマートに物事をこなすな、という印象があります。
もちろんスマートに物事をこなせるということは一種の能力です。しかしながら、
裏を返せば“泥臭さ”“アツさ”を失っているとも言えると思います。

今では絵にかいたような“赤い炎”系人材である筆者も、
アルバイトとして入社した6年前はクールを装ってうまく物事をこなそうとしていました。
要するに、全て自己解決しようとするんですよね。
トレーナーの皆さん、こんな経験はありませんか?

“後輩が資料を作ってきたけど、内容が酷くて自分が打ち合わせ前に作り直した。”

これもその一種で、20%、40%という形で段階的にトレーナーに確認してもらえればいいものを、自分の中での100%で作ってきてしまうんです。

同様に②も、ゆとり世代だからこそ怒られ慣れていなく、怒られると本当に気持ちが暗くなる子が多いですし、失敗をしないために一歩踏み出すことを躊躇う子が多いなと感じます。

激動の時代を過ごしてきた先輩方から見たら、
「最近の若者は…」と言いたくなる気持ちも分かります。
それでも時代は変わります。これからも様々な価値観・考え方の若者が出てくるでしょう。
そんなこれからの後輩を育てていくためには、後輩を支える立場である我々トレーナーの成長が欠かせません。
次の章で、“最優秀ベストトレーナー”が意識した接し方をご紹介します。

3.“心を燃やせ”。トレーナーがアツさの連鎖を創る。

完全に今話題の映画から一部拝借させていただきましたが、
人間は誰しも皆、心に炎を抱えていると思います。その色が何色だろうと、
人間であれば“心を燃やす”こと自体は本来皆できることなんです。
結論から先に申し上げると、
“ココロのアツさを連鎖させることで後輩は育つ。”と思います。

今年筆者のもとに来てくれた後輩(トレーニー)は、
筆者とは異なり、“青い炎”系かつ“プライベートを大切にしたい”タイプの子でした。
そんな真逆のタイプの後輩の心を燃やすために意識したポイントは、

❶目線
❷対話
❸自己犠牲精神


大きく3つです。それぞれを解説させていただきます。

❶目線
「なんでそんなこともできないの?」
そんな会話をたまに目にします。僕も言いたくなることもあります。
そんなときは必ずこう自分に問いかけるんです、
“おいおい、お前だってついこの前までできなかったことじゃん”
人って不思議なもので、ひとたび自分が上位に立つと、
自分より下の立場の人に自分と同等のレベルを押し付けるようになる気がします。

でも、新卒なんてできなくて当たり前なんです。
トレーナーのみなさん、器を広く持ちましょう。
なんでできないの?ではなく、どこで躓いているか、を明確にしてあげてください。
この“目線を合わせる”ことがとても大事です。
とにかく後輩の目線で、物事を捉える。
そして、捉え方のヒントを与えてあげてください。すべてを教えなくても、
最近の若者はスマートなので、必ず自ら活路を見出してくれます。
そこは後輩を信じましょう。
そして、“共感”してあげてください。自分もそこで躓いたことがあった、と。
目線を合わせることで“共感”が生まれ、信頼関係が深まります。

❷対話
トレーナーの皆さん、日々のお仕事、とても忙しいですよね。
そんな時に後輩に構ってられない、人のことを考えている余裕なんてない、ですよね。
いやいやいや、トレーナー!しっかりしてください!
トレーニーはあなたとの会話、その中で生まれる“褒め”“叱り”を心から待っているんです。

筆者が特に注力しているのがこの“対話”です。
尚、筆者の2020年度のトレーニーとの対話量は日本一を誇ると思います。
そこまでやれとは言いません。但し、次のことを必ず意識してください。

1. 自己開示をたくさんする
2. 小さいことでも毎日褒める
3. あえてお互いにダメなところを言い合う

自己開示は言わずもがな、ですが、人って不思議なもので、会話するときに必ず“共通点”を見つけ出そうとするんです。
共通点が見つかってはじめて心が開かれると思います。
だからこそ、日常のコミュニケーションは仕事の話だけ、にはしないでください。
毎日5分でもいいです。自ら休日何をしたか、最近何にハマっているか等、後輩に伝えてあげてください。
そうすると自然に話が広がります。
兄弟のような関係を築ける理由がここにあると思います。

2つ目に、必ず毎日褒めてあげてください。小さいことでもいいです。
怒られ慣れてないからこそ、彼らの意見を引き出すには“褒め”が大切です。
褒めることで委縮せず伸び伸びと行動してくれるようになります。

一方で、絶対に外してはいけないことは必ず叱ってあげてください
褒めが多いからこそ、叱りがとても効いてくるんです。
そして、トレーニー自身も叱られることを実は待っていたりします。
例えば、筆者自身
“お客様から預かっているご予算は何よりも大切に扱う”
という精神で仕事をしているので、
お金が関わる仕事において少しでも甘さが見えると、必ず叱ります。
そうすることで、社会人として絶対に忘れてはいけないことは必ず徹底するようになるんです。
結果、今では新卒の中で誰よりもお金の流れを理解し、丁寧に扱える、と自信を持って言えるほどになりました。
褒めと叱りのバランスは難しいですが、日々の対話で無意味なことを叱ってないか胸に手を当てて考えてみてください。
叱る内容=自分が大切にしていること、それであれば正解です。
そしてそれができるようになったら、必ず褒めてあげましょう。
結果いきつくのは、“褒め”なんです。

最後に、あえてお互いのダメなところを言い合ってください。
我々も自分のダメなところって先輩に聞いたり、指摘いただいたりすることってあるじゃないですか。でも、後輩からダメなところ指摘されることって、あんまりないですよね。
それは先輩としてのプライドや、自分が正しいと思う節があるからこそ、だと思うんです。
それでも、我々は人間です。猿も木から落ちるように、僕らだって間違えるんです。
自分の価値観を押し付けすぎないでください。それを防ぐために、あえて後輩から自分のダメなところを言ってもらうようにしましょう。
良い事例がありました。
今年でトレーナー歴3年目の筆者は、ある意味自信を持ってトレーニーに接していました。
でもあるときこう言われたんです。

「対話量が減りました。僕はもっと自分を見て欲しいですし、今は自分を真っ直ぐ見てくれていないと思います」

ハッとしました。一番大切にしている対話の観点で、トレーニーから見たら不十分なところがあったんだな、と。
その時初めて、

「じゃあ俺は何をしたらいいかな?」

と、トレーニーに答えを求めてしまったのです。
でも、それでいいんです。あえてはっきりダメなところを言ってもらい、何をしてほしいかを引き出す。これが、我々トレーナーにとっての一番の成長剤だと思います。
そこからはお互いに連携がうまくとれるようになり、アツさを連鎖させることができるようになりました。
トレーナーも成長が必要なんです。
そのためには、必ず自分が正と思わず、トレーニーから自分自身の改善点を引き出してみてください。トレーナーとして、2倍も3倍も、器がデカくなります。

❸自己犠牲精神
これを持つ持たないは人の性格によるので、押し付けません。
参考程度にしてください。
筆者もまだまだ大したことのない人間ですが、自己犠牲精神こそ、
トレーニーに信頼され、背中で見せ、後輩が育つ鍵だと思います。

例えばこんなことはありませんか?

・今日はトレーニーが彼女との記念日。でも資料が終わっていない。
 本当は一緒に作らなきゃいけない資料がまだ残っている。

もちろん状況と場合によりますが、こんな時はひとこと、
「俺に任せろ、いってこい」
と快く送り出してあげてください。
後輩を守れるのは我々トレーナーです。
そして、彼らを幸せにできるのも我々トレーナーです。
大事な時は、自らを犠牲にしてでも後輩のモチベーションとなりうるものを優先させてあげてください。
これは甘えではないです。大きな“背中”を見せているんです。
特に新卒は、モチベーションが仕事に大きく影響します。
社会人になっていきなり重責を背負い、自分を律する力がまだないからです。

だからこそ、トレーナーの出番です。
かっこいいところを見せてください。
そうすると、トレーニーが感謝と尊敬を覚えます。
その感謝と尊敬はやがて彼ら自身の自己犠牲精神につながってきます。
この人のために、このチームのために、と、結果的に目線が上がり、強力な“恩返し”という感情にいたります。
“義理人情”。個人的にはこの言葉がとても好きなのですが、恩返しという感情は、何よりも強いんです。
なぜなら恩を返すまでその人のために頑張ろうとするから。
そういったアツい気持ちの連鎖は、自己犠牲精神から創り出されます。
そう簡単にできることではないかもしれませんが、人生give-and-take。
誰かのために頑張れる人こそ、本当に強い人だと思います。


長くなってしまいましたが、
今までなかなか言語化をしてこなかったトレーナーとしての接し方の極意を書き出してみました。
冒頭でも述べさせていただきましたが、
筆者は❶~❸のポイントを特に意識して、心を燃やすコミュニケーションをとることによって、アツさを連鎖させ、結果的にトレーニーも、自分自身も成長してきたと思っています。

十人十色という言葉がありますが、
トレーナーとしての育成方法は、昔もこれからも、やっぱり正解はありません。
それでも、いつの時代も、人は心に炎を抱えています。
アツさの連鎖を創れるのは、我々トレーナーだけです。
一緒に最強のトレーナーになるために努力を続けていきましょう!
いつかあなたの背中を誰かが追いかける存在になりますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?