「死ぬことで生きられる」というテンプレをなぞらない物語。【「君の膵臓をたべたい」感想】

流行りの恋愛映画ってだいたい紆余曲折あって最後に結ばれるみたいなストーリーに飽きてしまうから、キミスイも今まで一度も観てなかったんですが、あまりにいい映画だとよく聞くからやっと観ました。観てよかった。。
恋愛映画だと思って観たけど、そうやってひと括りにできないものを感じます。

⚠キミスイのほかに、映画「タイヨウのうた」、「DEATH NOTE」の一部ネタバレあり。







「タイヨウのうた」のテンプレをなぞらないストーリー

さくらが通り魔に刺された、ってところから最後までずっと泣いてしまった。。人前で本音を吐かないさくらが、病室で春樹を思って1日でも長く生きたいって本心を言った直後にいなくなってしまうなんて。「タイヨウのうた」を何周かしてる私は、病気のヒロインは最期だと知っているからこそヒーローと幸せな思い出をつくるシーンを劇中でもらって、それで死ぬものだと思ってました。映画版DEATH NOTEでは、Lが自分の名前をDEATH NOTEに書くという戦い方で、「死ぬ」ことで「生きられる」時間をもらっていましたね。
福岡旅行が結構しっかり描かれていたのは、次の北海道が行けなくなるからかもとは思ってましたが、桜も楽しめずに、退院後いきなりいなくなってしまうなんて。

さくらを想うと残酷な仕打ちで可哀想だけど、物語の仕掛けとしてはメッセージ性が強まったと思います。
余命宣告を受けたさくらも、そうではない春樹も、流れる時間には同じ価値がある。誰もいつ死ぬかなんて分からないし、明日死んでしまうかもしれない。さくらは余命宣告を受けたことで、病気が進行するまでは生きていられると思い込む視聴者を作者は裏切りました。

映画のラストは結婚式。いつも通り明るく話しかけるさくらの遺書は、あたたかい気持ちで物語を終わらせてくれました。ただ亡くなって終わり、じゃないのは遺された人々や視聴者にとっては救いです。

浜辺美波かわいい

ストーリー以外にもう一つ特筆したいことは、浜辺美波ちゃん。
それほど好きでもなかったんです、浜辺美波。清楚系の女優さんとは知ってたけどあまり出演作を観てこなかったし。
キミスイで一気に心を奪われちゃった。笑
春樹を「キミ」「仲良し君」と呼び、事あるごとにちょっかいをかける、2次元的で理想のクラスメートみたいな言動を痛くなく魅力的に演じきってました。笑顔が多かった分、1人のときふと見せる表情や1人で泣いていたことも心に残ってます。



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