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地域の『気になる』を知れて地域の人とつながれる交流会

「気になる会」と題して、地域の気になる人や活動を知り、交流を通してさらに理解を深められるイベントを開催しました。

以下の2点を意識して行いました。

  1. 上北地域に住んではいるけど地域の活動をよく知らない方、知っていて気にはなるけどこれまでつながりの無かった方、逆に活動をしてるけどもっと多くの人に知ってもらいたいという方それぞれが互いに交流して地域のことを知ることで、地域への愛着を育てながら人同士の関係性を作る機会づくり。

  2. 今回は県外から十和田市に滞在していた方々にも参加していただき、地域のことを知ってもらい、人ととのつながりを持つことで、継続的な関係性の構築。

今回の気になる会は

今回は3つの気になることにフォーカスしました。

地域の気になる人
「地域にいる気になる人」をゲストに招き、活動に至るストーリーや思想などの根源から今後の展望までお話を伺いました。地域で活動している方とその活動を深く知ることで参加者が感情移入し、その後も深い関わりを継続できる関係性を作るとともに、ゲストの思いに共感して地域を語れる環境を作りました。

地域が気になる人
移住体験やワーケーションで十和田市を訪れている方も参加されたので、この機会を通して馴染めるよう、「地域のことが気になっている人」としてご紹介させていただき、交流を通してお互いの得意分野における情報交換を行うことで密な関係を築き、継続的な関係の構築を行いました。

地域の気になる活動
参加者の方には地域で行われている活動を知ってもらえるよう「地域の気になる活動」についてご紹介させていただき、地域に対して関心がある方々に知っていただくことで、地域全体で活動に関わっていけるような環境になるきっかけづくりを行いました。

地域の気になる方の紹介

関口 綾さん(絵本とサンポ)

小さな絵本屋さん「絵本とサンポ」経営。十和田市に移住し、予約者による貸切りを優先とした絵本屋さん「絵本とサンポ」を開業。子育て世代が親子でくつろげる空間提供を中心とした絵本屋さんです。
Instagram:https://www.instagram.com/ehontosanpo2022/
ホームページ:https://www.ehontosanpo.com/

以下、関口さんよりーーー

十和田市には(2022年12月現在で)移住して1年4ヶ月になります。
趣味はビバップダンスとフラダンスにハマっています。また、旅行が好きで3週間かけて子供3人と北海道一周車中泊の旅もしたりもしました。旅のお話を聞いて旅気分を味わうことも好きです。

絵本屋さんとしてご要望に応じて絵本を選んだり、保育施設におすすめの絵本をお届けしたり、地域の小学生を対象とした絵本の読み聞かせもしています。
店舗は基本的に予約を優先の1組限定の貸切にしており、ノンカフェインを中心としたドリンクメニューもあります。
店内は本を陳列している他、トンネル等もありお子様が体を動かして楽しめるようにもなっています。

これからやってみたいこととして、
新規事業としては、自家栽培の野菜や果物を使ったドリンクなどの新メニューの開発、親族の空き家の有効利用、自習塾をやりたいと思っています。
また、夫が主となりますがお子様連れで安全に楽しめるDIYワークショップや船釣りなどのファミリー向けサービスも検討しています。
コラボ企画としては、店舗の空間を利用した相談を頂くこともよくあるので、木のぬくもりを感じれて絵本に囲まれたこの程よい広さを活用して可能性を広げていきたいと思います。
街に仕掛けることとしては、大人が絵本を開いて興味を持っているときの反応を見ることが好きなので、街中に絵本を置いて大人にも絵本に興味を持ってもらえる仕掛けを作りたいです。こんなところに置いたら面白そうなどのアイディアを募集しています。


関口さんにお話を伺ってみました

Q:この活動や事業をやろうと思ったきっかけはありますか?
移住を機に何か新しいことに取り組んでみたいと思いました。そこで、やるなら今まで自分が困っていたことをサービスにしようと思い、自分が絵本に助けられた経験と合わせて、絵本をテーマにした子育て世代が落ち着ける空間を作ろうと思いました。思いの根源には自分が助けられた経験を次に自分が助けられるような空間を作りたいというのがあります。

Q:絵本に助けられた経験は子育て中でしょうか?それともその前からあったのでしょうか?
絵本屋さんに直接的につながったきっかけとしては、長女と図書館に行ったときに職員さんから「お子さんは見てるからお母さんは好きな絵本を探してきていいよ」と言ってもらえたことで、安心感と優しさを感じたことです。
絵本に助けられた経験で言うと、過去に介護の仕事をしていたときにコミュニケーションととるのが得意ではなかったけど絵本を通して上手にできたことや、人生に躓いたときに絵本から解決のヒントをもらったことがあります。

Q:大人も楽しめる絵本もあると伺いましたが、大人1人でも入れますか?
大人の方が楽しめる絵本もあります。男性1人でもご来店いただけますので、お気軽にご来店ください。

Q:お店は基本は予約制ですか?
予約制というか予約優先のようになっています。貸し切りでお子様連れがゆっくりできる空間にしています。ホームページのカレンダーから予約ができて予約は入っていない時間を確認できるので、その時間は飛び込みでも入れることが多いです。

Q:何かに挑戦しようと思ったタイミングがたまたま移住だったんですね?
移住によって環境が変わるタイミングが大きく変わるチャンスだと思いました。十和田市に来る前は仙台市で子育てをしていましたが、その中で社会との関わりは薄くなり、生き方がこれでいいのか考えるようになり、移住をきっかけに楽しいことをしてみようと思いました。

Q:今やっている事業は、絵本を売って普及していくか、絵本をツールとして自分が思う世界観を作っていくかだとどっちが近いですか?
絵本を使って絵本に助けられながら、自分のスキルや付加価値を上げていきたいと思います。そもそも十和田市の0歳〜12歳のお子様一人ひとりに絵本を売っても収益的に生活がなり立たないので、絵本を売りさばくという気持ちよりは、絵本を身近に感じてもらって絵本から感じる感覚的な楽しさを伝えられるよう仕掛けていきたいです。

Q:実際に1年絵本やさんをやってみて、絵本の持つ力を感じたことはありましたか?
絵本の可能性を考えられている方が来店くださることもよくあり、お話をすると様々な発想をいただけて絵本も奥が深く果てしないと思わされることがあります。

Q:関口さんが本を選ぶときの基準はありますか?
基本的には自分が良いと思った絵本をおきますが、お客様がお好きな絵本をお聞きしてニーズを確認しながら選んでいます。人におすすめするときは、地域のどんな人がこの絵本を読んでいたり子供に読み聞かせているかも伝えながらおすすめしたりもします。

Q:絵本にも流行りだったりベストセラーのようなものはありますか?
例としてハリーポッターの映画が流行った時期は絵本でも流行ったり、新しいタイプの絵本が出てきて話題になることもあるので流行りはあると思います。

Q:子供が遊べる複合施設の運営をしていて、定期的に入れ替えしつつ絵本を置いて代理販売等ができたら良いと考えているのですがいかがでしょうか?
まさに私もそういった形で街に繰り出したいと思っているので、ご相談は大歓迎です。後ほどしっかり話ができたらと思います。


米澤 雅貴さん(三戸町地域おこし協力隊)

三戸町地域おこし協力隊。地域おこし協力隊として三戸町へ移住し、ミッションである三戸町内で生産が途絶えていたホップの栽培の復活に取り組んでいる。
Instagram:https://www.instagram.com/0620_ym/

以下、米澤さんよりーーー

十和田市の隣の隣の隣街にある三戸町から山を2つ越えて来ました。
お酒を飲むことが好きで、お酒を原料から作りたいと思って活動しています。

青森県弘前市に生まれ、高校を卒業してフランスに渡り絵画の額縁を作る仕事を9年しました。日本に帰国後は東京でエンジニアを経験して独立し、現在の仕事である地域おこし協力隊に着任し三戸町に移住しました。
2019年に独立したタイミングで新型コロナウイルス感染症が流行りだしたことで、移住を考えました。東京で開かれた青森の移住イベントに参加したことがきっかけで三戸町のホップ生産者が途絶えたことを知り、自分がそれを担おうと決めました。

米澤さんの畑で育ったホップ
米澤さんの畑で育っているジュニパーベリーの木

畑ではビールの原料になるホップと実がジンの原料になるジュニパーベリーの木を育てています。これらからビールとジンを作ろうと活動しているところです。

ホップは手作業で収穫なので、収穫期になるとこのようにたくさんの人たちと収穫をしています。
現在(2022年12月)今年収穫したホップを使ってビールを作っていまして年明けに出来上がる予定です。

地域を誰もが醸せる町にしたいと思っています。
ホップは味が苦くて他の農産物に比べるとの利用価値が低く認知度も低いです。
お酒にしか使えないこの作物の価値を上げていくために、まずはホップの消費量を上げられるよう「自家醸造の制限を取り払う」ことに取り組み、お酒造りに関する制限(法律)を変えていくことで誰もがお酒造りをできるようにしたいです。
そして、一度は無くなってしまった三戸町産ホップを復活させ、ホップとお酒を造る仕組みを地域に残していくことで、今後次世代が取り組みやすいようにして、創ることの楽しさを伝えていきたいと思います。

これからは、今より畑の面積を5倍にしてホップの生産量を増やし、醸造所を作るために必要なブルワー研修の受講および、クラウドファンディングの検討や出資会社等との資金調達の調整、圃場管理のIT化による生産効率の向上に取り組んでいきたいです。

最後に好きなクラフトビール屋さんの名言ですが、「ビール = サラダ」ということで、ビールはホップ(野菜)からできているので健康に良いという説もありますので、これは覚えて帰ってください。
人生バキバキになる大変な経験もあると思いますが、楽しくやっていればなんとかなると思いますので、楽しくやっていきましょう。


米澤さんにお話を伺ってみました

Q:この活動や事業をやろうと思ったきっかけはありますか?
青森の移住フェアでたまたま三戸町のブースで話を聞いたところ、三戸町産ホップを復活させたいという話を聞いて、青森でビールの原料を作っていることを初めて知り、生産に興味が湧きやってみてその先がどうなるのか見てみたいと思いました。

Q:三戸町ではもともとホップの生産をしていたのですか?
もともとは青森県と岩手県の県境の街(青森県の田子町、三戸町、岩手県の軽米町、二戸町)で、サッポロビールに卸すために生産されていましたが、生産者の高齢化や後継者不足により最終的に生産者が田子町に1人だけとなってしまっていました。

Q:ホップの生産をやめてしまう人はどんな経緯でやめてしまうのですか?収益的な問題ではなかった?
収益ではなく年齢の問題ですね。生産においては最大で5.5mの高さで作業になり危険性が高いこと、またその場合は高所作業車を使って3人1組になるので、1人でも脱落してしまうと作業できなくなってしまうことから、連鎖的にやめてしまう場合が多いです。

Q:先程の収穫している写真にいるたくさんの方々はどうやって集まった方なのでしょうか?
自ら声がけをした地元の方々と生産に関する出資元の香料会社の方々です。生産に関しては香料会社のバックアップも受けて取り組んでいます。

Q:ホップ栽培やお酒造りその先は何か考えていることはありますか?
お酒造りまでできたら次はそれをコンテンツ化して、自分に会いに来てもらったりお酒造りの見学や体験にすることで、これをきっかけに色々な方が三戸町や周辺地域を訪れてくれたら良いと思います。

Q:ホップ生産が途絶えてしまう前に地域住民ができることがあったのでしょうか?
課題としては農家さんは個人事業でやっているため、横のつながりが無く助け合うような仕組みはなかった。また、生産していた本人が費用対効果を考えて自分の子供には職業としておすすめしなかったということもあるので、そのあたりを仕組みで解決するような動きがあったら良かったのかもしれません。

Q:来年は畑を拡張するのでしょうか?
来年は30アールまで拡張を予定していて、将来的には50アール(苗で言うとだいたい1200株)にして1人が1年間生活できる規模にしたいと思っています。

Q:畑の拡大に備えて追加で地域おこし協力隊を募集しているんだとか?
はい、三戸町役場から1人募集しています。

Q:クラフトビールはどういったものを言うのか?また、魅力はどんなところにあるのでしょうか?
諸説ありますが一説によると大手のビール以外の小さなブルワリーで作っているビールのことを言うようです。なので、地ビールもクラフトビールになります。
魅力は同じ材料でもレシピや醸造工程の微妙な違いから違った味や香りを生み出せることだと思います。ビールには製造方法からいくつかの種類に分けられるのですが、同じ種類でもレシピによって味も香りも全然違ってくるので自分の好みを見つける楽しさがあると思います。また、果物等の副原料を使って楽しむこともできます。

Q:立地的に十和田市でも生産は可能なのでしょうか?
できます。ホップは暑さに弱いので北の地域のほうが向いていると言われています。寒さには強くて土の中で冬を越えるので、土の状態が良ければ植えてから20年くらいは栽培できると言われています。そして、平地が良いとされているので、三戸町よりも十和田市のほうが平地が多くて向いているのかもしれません。

Q:ホップの生産も無農薬とかあったりするんですか?
農薬の有無はどちらもありますが、だいたいは大規模に栽培をしてるため農薬を使っています。他の農作物に比べて丈夫ですが指定された農薬でより安全に育てたりしています。


地域のことが気になっている方の紹介

お試しとわだ暮らしという移住体験の企画で十和田市に滞在している、3名の方のご紹介させていただきました。

お試しとわだ暮らしとは、県外の方が一定期間リモートワークを軸に十和田市に滞在し、地域の人と交流しながら暮らしを体験する企画です。

野田 一輝さん

UNIEL ltd.代表
東京都出身(拠点も東京)
クリエイティブスタジオのブランディングやディレクションを通してモノづくりのサポートを行ったり、各国から輸入した雑貨の販売のお店とギャラリーを兼ね備えたスペースの運営を行っている。数々のアワードを受賞しており、AWWWARDS、CSS Design Awardsの審査員等も務めている。
UNIEL ltd. HP:https://uniel.jp/
ポートフォリオ:https://kazukinoda.com/

浅井 有由さん

合同会社Hikigane代表
静岡県出身(現在の拠点は東京)
WEBデザイナーを中心としたフリーランスとしても活動し、月に1回は国内外を問わずワーケーションをして旅をするように働くを実践している。コミュニティマネージャーや営業プロデューサーも行っている。
HP:https://yuyuasai.com/
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100000208297924

中野 智恵梨さん

フリーランス
北海道出身(現在の拠点は東京)
フリーランスのイラストレーター・WEBデザイナー。日本各地・世界各国を働きながら旅をして、様々なものを見て言語に触れることで価値観を広げて精神的に自由になることを目指している。
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100002635544603
Instagram:https://www.instagram.com/chieri_nk/


地域の気になる活動の紹介

地域で動いている活動についても知らない方、知っていても詳しく知らない方がいると思いますので、様々な活動の中から3つピックアップして紹介させていただきました。
この機会に理解を深めていただき、興味がある方には活動に加わったり、協力関係になる等して地域が一体となって活動していけるきっかけ作りを行いました。


地域課題解決インターン

2022年に行われた地域課題解決型インターンについて紹介しました。
三沢市と十和田市にある3企業で大学生5人が2週間滞在し、ミッション化された企業のやりたいことや課題解決に取り組んだ活動です。
この会の中では詳しい活動内容や一部の実績についてもお話しました。
詳細が知りたい方は下記のURLからご覧ください。
note:https://note.com/tiiki_lab/m/m4c1746c7be63


地域の場づくりラボ

地域の活動者が集まり様々な活動をしている団体を紹介しました。
「聞ける・語れる機会をつくる」をコンセプトに掲げ定期的にイベントを開催し、実際に実行しながら学んだことや実施に至るまでのストーリー等を記録して地域に共有している団体です。
詳しく知りたい方は以下のURLをご覧ください。
note:https://note.com/tiiki_lab
youtube ①:https://youtu.be/4AkZwAjp0dE
youtube ②:https://youtu.be/I_Nkvtuef9E


シャベリバ屋台

地域とゆるいつながりを作れる定期イベントを紹介しました。
十和田市の商店街にある松本茶舗さん前で定期的に開催される夜会です。
参加者が食べ物や飲み物を持ち寄り、屋台を囲んで和気あいあいと交流を楽しんでいます。
移住者を中心に様々な職種や活動をしている方が集まっています。
Facebook:https://www.facebook.com/chaho.matumoto
参考記事:https://motokurashi.com/aomori-towada-matsumoto-chaho/20170714


まとめ

今回は職種も年齢層も別々な約30名の方に参加していただき、様々な方に地域の人や活動を深く知ってもらえる機会になりました。
活動しているお二人からは地域そのものの可能性を感じましたし、お二人にとっても自分の活動を広く知ってもらうことで自分の活動を見つめ直すきっかけとなったことと思います。また、県外からの参加者の方をはじめ、様々な方とのつながりが生まれました。

関口さんと米澤さんからお話を伺い、活動を始めるきっかけは違えど自分の好きなことや興味のあることを活動にした結果、地域課題解決になっていることが良い構図だと思いました。
そもそもどんな事業でも何かの課題解決になっていると思いますが、自分の身近なところで起きている課題と結びつけて考えることで、この地域だからできることや戦略があることを再認識し地域の可能性を感じました。

参加者からは様々な角度の質問が飛び交い、お二人にとっては改めて活動を見つめるきっかけになり、参加者にとっては対話を通して活動への理解を深められる機会になりました。

県外から参加された3人も交流の時間にはすっかり馴染んで、互いに情報交換を行うなどして親睦を深めていました。
こちらの3人はこの地域においてはあまり関わる機会がない業種だったり働き方だったりするので、そういった面で有効な情報を共有していただき、逆に地域の人からはローカルな情報を提供できる互いに有益となる関係性の構築ができました。

今回このイベントで、地域内外問わず交流を通して地域への理解と愛着を深めながら、人と人とのつながりを構築する機会をつくることができました。
これがきっかけで、もっと十和田を知りたい、また十和田に来たいと思ってもらえると嬉しいです。

さらに可能性として、今後この会で得た情報から新しく挑戦したい方が現れるとさらに良いと思いました。そして、そのときにこの会でできたつながりから地域全体で応援できる環境を作っていくことも役割としてあると感じました。

ゲストのお二人、参加者の皆様のお陰様で有意義なイベントにすることができ、感謝申し上げます。

次回のゲストはあなたかもしれません!お楽しみに!


ライター
(株)ビーコーズ|佐藤 佑志(さとう ゆうし)
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