210日 210 days

 夏目漱石の作品に『二百十日』があります。漱石作品の中では超マイナーですが(台風時期ということで)一読をおすすめします。主な登場人物は阿蘇山に登ろうとする、圭さんと碌さんの二人。ビールはないが恵比寿がある、という女中さんとの会話は、案外、有名かもしれません。二人は悪天候(台風?)のせいで登れませんが。
 作品のとしての評価はともかく、漱石の同時代批判が随所に見られる作品です。特に圭さんの口から語られる、上流社会や金持ちに対する辛辣な批判は、現代にも通じます。
 『二百十日』には作品の出来を超えた漱石の苛立ち、憤懣を感じます。その思いを消化できずに、作品にぶつけているようにも感じます。『二百十日』は作品小説というよりも、単なる漱石の主張かもしれません。

追伸

 全国の皆さん、特に九州沖縄の皆さん、台風にお気を付けください。


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