【3DCG】PS5やPCゲームで求められるハイエンドなキャラクターモデル制作を行う上で必要な思考法&テクニック【Tech】
お久しぶりです。
株式会社Black Beard Design Studioクリエイティブディビジョン
アートディレクターの中村です。
今回は【Tech】カテゴリの記事第2弾になります!
【Tech】では、ツールや自習内容など技術に関する情報をお届けさせていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
今回は騎士の制作を通して『今すぐ使えるゲーム、CG制作 思考法&テクニック』情報をお伝え出来ればと思います。
▼今回の完成イメージ
●デザインや想定
今回のオリジナル作品を作るにあたり、社長からのオーダーとして「騎士」というお題をもらいました。
そこで「騎士」というイメージを膨らませ、どこか無骨さを感じるようなデザインやアイデアを取り込みたいと考えました。
その際に下記を大枠のコンセプトとし、進めることにしました。
・デザインに関しては過度にファンタジー過ぎず、どこか生活感や実存感のあるような雰囲気にしたい
・しかし完成像としてはフォトリアルというよりもゲーム映え、CG映え重視の方針
・リアルタイムゲームモデル想定、騎士本体ポリゴン数10万~15万想定
※完成イメージは想定モデルの広告版として一部調整したものとなります。
【全体のフロー想定】
①着手の前に方針を固める(資料も集める)
②mayaにてラフ制作
③ZBrushにてディテール制作
④mayaにてリトポロジー制作
⑤Substance Painter、Marmosetにて質感&レンダリング制作
※上記、各工程のツールに関してはそれほど重要ではないので、普段使い慣れているツールにて代替可能かと思います。
●maya工程
maya工程にておおよその全体像を制作していきます。
完成した際に全体が単一の質感にならないよう、
金属・革・布の配分や取れ高のようなもの、全体のバランスを意識して構成していきます。
また、各素材分布と並行して
実存感をなるべく高めるために、ラフモデル段階から装備の多層的構造や可動に関しても意識して制作を進めていきます。
(上辺の見た目だけではなく中身や重なり、構造などを意識します)
この時点では特に鎧がカタイ印象(プレート感)を感じますので
ZBrush工程にて形状を更に詰めていく算段をつけておきます。
●ZBrush工程
ZBrush工程では、mayaよりも更に絵を描くようなニュアンスの調整が可能となります。
maya工程にて課題であった鎧のプレート感などは、
Dynamesh機能(トポロジーにとらわれない機能)を使用して
思い通りの形状になるようにスカルプトを行います。
定番のClayBuildupブラシなどでラフにデザインを決めていき、Geometry→ClayPolishを使用し綺麗に整えます。
※プロダクト的なオブジェクトに対して、
Dynameshは抵抗感や敷居の高さを感じられる方は
こちらの記事のようなZBrushを使用したメカ制作を経験しておくと良いと思います。
また、Zbrushやmayaに限らずモデリングをしていて形状に何か物足りなさを感じるケースもあるかと思います。
そのような際は見える面を増やすこと(面取り、傾斜を設ける等)によって見栄えや印象が異なってきますので
物足りなさを感じた場合は、下記を是非試してみてください。
続いてディテール周りに関してですが、
ディテールは後工程の方が細かな調整を行えますし、
ZBrush工程で入れてしまうとベイク時に邪魔になるケースもあるものの
仮でも良いので、この段階で素材感を乗せてみると
造形や情報不足の箇所に気付けたり
今後のイメージを固めやすかったりもするので、個人的にはオススメしたい工程となります。
(ディテールは後からオフにも出来るようにレイヤーを設けておく方が安全となります)
表面のディテールの際に非常に役に立つ機能としてSurface機能があります。
Surface→Noiseにてディテールやニュアンスを自動で加える事が可能です。
また既にUV展開がされているオブジェクトの場合は
Surface→Noise→Alpha On/Offから
革や傷は勿論、自作パターン等も反映させる事が可能です。
このようにディテールを加え、雰囲気をある程度テストしておくと良いかと思います。
●リトポロジー工程
なるべく簡易的に済ませたいと思う工程ですが
自動リトポロジーで思い通りの結果にすることが難しい場合は
maya等にて丁寧に制作をしていきます。
作業のコツとしては、まずアウトラインと装飾部分のみ最初に面を張ってしまうことです。
後は間を埋めていけば完成となります。
※ポリゴン数制限により装飾部分を立体ではなく平面として制作する案件も多いので注意が必要となります。
うまくベイクが出来ないという方は
ローモデルの中にハイモデルがすっぽり収まるようなイメージで制作をすると上手にベイクが出来ます。
またポリゴンはなるべくシルエットに影響がある箇所に割くようにします。
ベイクの際はハイモデルと比較して、印象がなるべく変わっていないかを確認しておきます。
●Substance PainterやMarmoset工程(テクスチャ、質感、ライティングについて)
テクスチャや質感工程に関しては、細かなテクニックや機能も大切ですが
・ある効果や自身の加筆が具体的にどのような結果に影響を及ぼしているのか?
・場合によっては悪影響や、複雑になり過ぎていないか?
などの管理やコントロールを重視するべきと感じております。
とはいえ細かなテクニックのようなものが数多くあることも事実かと思います。
例えば、テクスチャや質感の情報量を手早く増やしたい際は、主にカラーマップへ
・色味の追加
・ノイズや雑味の追加
をすると良いかと思います。
色味に関しては予想外な色情報があると、よりリッチな印象になります。
※完全なフォトリアルテイストの場合は、こちらの方法ではなく実物リファレンスを重視してください。
(綺麗めが求められる案件ではノイズも注意が必要となります)
ライティングも同様に、使用意図が不明なライトはなるべく避け
影響を把握しているライトにて構成することを意識していきます。
(個別のHDRIなどの環境光を完全把握するのは不可能ですが、特色や傾向は掴んでおきましょう)
またメタルネスが高い質感(鏡面材質)は『直接光』や『映り込み』に注意が必要となりますので
下記2つの実験を元に解説をさせていただきます。
以上の事から鏡面材質の表情を司るのは直接光というよりも映り込みの要素が大きい事が分かりました。
(明るくしたい箇所に直接ライトを照らしても良いのですが、映り込みの方をより意識すると良いと思います)
また、映り込ませる画像(グラデーションやボケ具合など)によっては
ラフネス値まで変更したかのように思えるケースもありますので注意が必要です。
ポートレート制作ではHDRIベースにてライティングを進め
レンダリングの結果から調整を行っていくことが多いですが、その際は上記を意識していただければと思います。
今回もHDRIベースでのライティングとなります。
目指す方向性に応じてHDRIを使い分けていきましょう。
●総括
その他、各パート共通で重要なこととしましては
長時間作業をしておりますと正確なジャッジが難しくなりますので
引いてみたり、少し席を外してみたり、
次の日やそれ以上に期間を設けて確認をしてみると良いと思います!
いかがでしたでしょうか。
どこかでお聞きした事があるような内容も多かったのではないでしょうか
そう思うと『基本的な積み重ねや、知識のみならず数多く実際に経験してみること』が一番重要な気がしてまいりました。
(また今回説明しきれなかった箇所、テクニック等は次回以降、改めて別題材にてお伝えさせていただく予定となります)
それではまた次回お会いしましょう~!
▼おまけ
▼前回の【Tech】記事はこちら
最後に・お知らせ
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