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ピッチデザイン:自分の球質を理解する

近年RapsodoTrackmanが野球界に普及し始めたことで投球したボールの特徴が数値的に知る事ができる様になりました。ですがその数値…知っているだけでは意味を成しません。実際に自分の球質を理解して戦略を立てるにはその数値から、自分のボールはどの様な特徴を持っているのか理解する事で練習内容や方針、また実戦での戦略を立てる事が可能になります。

1. 『投手革命!』ピッチデザインとは?

今回はピッチデザインとは…? 

"ピッチデザインとは、データ分析と高速ビデオ キャプチャを組み合わせて最先端のテクノロジを使用し、ピッチャーがピッチングの配信と動きのパターンを開発できるようにすることです。"

(Pitch Design Basics &Bull; RPP Baseball, 2019)

例として

Slider Comparison: Wrist position & spin axis are nearly identical. The SL on the right "pulls down" on the seams...

Posted by Driveline Baseball on Wednesday, December 20, 2017

この様なリリースの瞬間をスーパースローカメラにて追ってどんなリリースの仕方をしているのか?またどんな指のかかり方をしているのか理解する事で自身にあった握りを模索します。

Rapsodo画面

またRapsodoなど最先端機器を使用して実際の投球したボールをライブで数値化してその特徴を確認する事ができます。

4シームのピッチデザイン参考例

スーパースローカメラ:指先のかかり方とリリースのパターンの理解
Rapsodo:投球の特徴の理解

2. 『Rapsodoのデータの理解編』データの見方

Rapsodoでは複数のデータが表示されます。中でも重要なデータとその見方を簡単に解説します。


  • 球速(Velocity)

  • 回転数、回転効率(Total spin, Spin efficiency)

  • 回転方向(Spin direction)

  • 変化量(Vertical and Horizontal Break)

  • リリースデータ(Release angle, height, side, Horizontal angle)


球速(Velocity): 自身の投球の速度を表す。
回転数(Total spin): 1分間当たりの回転数
回転数が高ければ高いほどボールの縫い目による空気抵抗の恩恵を受けやすくなりよりボール軌道に変化を受けやすくなる

ボールの空気抵抗の受け方(The Tactics of Pitching)P13より

回転効率(Spin efficiency): 球種に対して変化をもたらすための回転効率。回転効率が高いほど回転数によるボールの軌道の変化の恩恵を受けやすくなる。


回転方向(Spin direction): 自身の投球の回転軸を表す
(0:綺麗なバックスピン~90:ジャイロ回転)

変化量(Vertical and Horizontal Break): ボールがリリースされてからどれだけの変化があるのか。

  1. 縦方向の変化(Vertical Break): ボールがリリースされてから縦方向の変化量

  2. 横方向の変化(Horizontal Break):ボールがリリースされてから横方向の変化量

リリースデータ(Release angle, height, side, Height angle): ボールリリース時の空間的場所のデータ

  1. リリース角度(Release angle): リリースされた瞬間の角度

  2. リリース高さ(Release height): リリースされた瞬間の高さ(地上から)

  3. リリース幅(Release side): 投手プレートの中心から見た時のリリースの横幅

  4. ボールの角度(Horizontal angle): 右投手(+)左投手(-)でボールの軌道を表す。(例,0:直線的軌道 〜 数値が大きい湾曲的軌道)

3. 『投手必見! ピッチデザイン実践!』 ピッチデザインの進め方

分析をしていくにあたって幾つか大切な過程があります。それは…


  1. 自分の属しているレベルで自分がどんなレベルなのかの把握

  2. 計測

  3. データを基に自分のボールの特徴、長所、短所を理解する


まず初めに「自分の属しているレベルで自分がどんなレベルなのかの把握
例えば、高校で野球をやっている場合、一般的に良い投手と呼ばれる選手たちの球速と一般的な投手の平均球速と自分の球速の比較する。

ーーーーーーストレートーーーーーー
投手A(高校球児):130 km/h MAXの場合
全国区で良い投手達: 140中盤 km/h MAX
一般的な投手達:130 ~ 135 km/h MAX

この場合投手Aの球速は一般的な投手の球速のレベルである事がわかります。そして一般的な打者目線で考えた場合、最も対戦する率の高い球速な為、打者は130 km/h台の球速に慣れてると予測できます。その為、長期的な目標では球速の向上が考えられます。次に「計測」に移ります。

ーーーーーー「計測」部分省略ーーーーーー

計測が終わったら「データを基に自分のボールの特徴、長所、短所を理解する」ことに進みます。

投球の軸となるストレートの球速、回転角度、回転数を把握する事で投手Aのストレートの特徴が見えてきます。

ストレートの特徴は『ピッチデザイン:ストレート編』にて解説をします。

そのストレートの特徴を基に

  • 何の球種が必要なのか?

  • どんな球速の球種が必要なのか?

  • どんな軌道の球種が必要なのか?

この様な戦略的な分析戦略を立てる事が可能になります。
そして自分の武器が明確になるので、色々と投手Aにとって必要なものが明確になってきます。


引用文献

Slider Comparison: Wrist position & spin axis are nearly identical. The SL on the right "pulls down" on the seams...

Posted by Driveline Baseball on Wednesday, December 20, 2017

https://www.washingtonpost.com/sports/2019/05/23/velocity-is-number-one-thing-this-high-tech-biomechanics-lab-is-changing-baseball/


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