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振り返りのあれこれ

「毎日noteを更新する」そう決意した日もありましたが、自分で自分の首を絞めていることに気がついたので時間がある時に更新していきます。
さて、言い換えるならば、「記事を書く(noteの更新)=振り返り」のような捉えもできるかと思います。
今回はこの振り返りを深掘りしていきます。
算数・数学における振り返りの課題を、軸丸(2019)は質の点から指摘しています。

自己内省の多くが質的に不十分であること

軸丸倫行(2019)「算数・数学教育における自己調整学習を促進する教授方略に関する研究」イプシロン2019.Vol61


 
また、振り返り全体にかかる問題点を安彦(2021)は指摘しています。

「振り返り」は「自己評価」の最も一般的なものとして活用されていますが、安易なものに流れている場合も多いので、授業では、単なるルーティン(決まりきった活動)として、やっつけ仕事のように受け止めている子供もいないわけではないのです。 

「自己評価のすすめ」(2021)安彦忠彦,図書文化

 
こういった課題を克服するために自己調整学習の立場から、軸丸(2019)は振り返りの視点を例示しています。
 

予見段階に関する振り返り:どんな見通しを立てたのか、どうしてそのような見通しを立てたのか
遂行段階に関する振り返り:どんな解法を試したか、どんな意図でその解法を採用したのか、どうしてその解法はだめだったのか 

軸丸倫行(2019)「算数・数学教育における自己調整学習を促進する教授方略に関する研究」イプシロン2019.Vol61


同様に自己調整学習の視点から伊藤(2019)は、評価論を踏まえた3つの振り返りを示しています。
 

診断的振り返り:これから学習に向かう見通しとしての振り返り
形成的振り返り:学びの途中段階で行う「小さな振り返り」
総括的振り返り:授業の最後に行う、いわゆる「振り返り」

伊藤崇達(2019)「めあての提示や振り返りの工夫で子どもが自ら学ぶ力を育む」.VIEW21教育委員会版2019.https://view-next.benesse.jp/view_section/bkn-board/article03405/


上記の振り返りの視点を見ると、これまでの自分の実践は授業の終盤に書かせる形式的なものになっていたと反省しきりです。
どのような点をこれからの実践に活かすかまとめてみます。
 
・見通しと振り返りをセットで行う
・学習方略についても振り返る
・学習者がある程度自由に学習方略を選び、試すことができる時間を設ける
・振り返りは必ずしも終盤に行う必要はない
・学習者が診断的、形成的振り返りをできるようにする
 
さて、振り返りを考える中で、結局は授業を考えることにつながることが少し見えてきました。
ここからは、さまざまな立場から振り返りに書く視点を見ていきたいと思います。
「その振り返りを書くためには」という視点で考えると、目指すべき授業像が見えてくると思います。
 
振り返りに書く内容の視点を、宗實(2023)は10個示しています。
 

1 価値判断
2 意思決定
3 変化(成長)のきっかけ
4 一番の学び
5 感動
6 新たな問い
7 解釈
8 仮定
9 納得・実感
10 発見

宗實直樹(2023)「社会か『個別最適な学び』授業デザイン」明治図書

また、加古(2022)は単元における振り返りの視点を示しています。
 

1 〇〇(単元の学習内容)は、今までのどんな学習とつながっていましたか
2 〇〇で使った大事な考え方や知識は何でしたか
3 〇〇を通して、できるようになったこと、これから使えそうなことは何ですか
4 その他(印象に残ったことや面白いと思ったこと)

加古希支男(2022)「『個別最適な学び』を実現する算数授業のつくり方」明治図書


これだけたくさんの視点があることからも、「振り返りに何を書くか」正解はないことがわかります。
逆に自分で決めた視点だけをもとに振り返りを書かせるというのも怪しいことが見えてきます。
先ほどの実践で活かしたいことも踏まえて、再び取り組みの方向性をまとめてみます。
 
・授業における振り返り、単元における振り返りを行う
・最初は振り返りを書くことを目的にし、振り返りを書くことに慣れさせる
・徐々に自分で視点を選び振り返ることができるようにする
・振り返りの視点は欲張らない、授業と関連させて考える
・学習方略についても振り返る
・見通し(見方・考え方)と振り返りをセットで考える
・学習活動に幅を持たせることで、振り返りにも幅を持たせる
 
振り返り1つとってみても教育は本当に奥が深いです。
大学院で学んだつもりが、自分が知らないことが多すぎたせいか、自分の無知を自覚しているところです。
「学び続ける」ことをずっと行ったとしても、満足することはないのだろうと感じています。
 
 

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