教育のゴールは幸せ?ウェルビーイング?

教育の最終的なゴールは何なのでしょうか?
これまでの私は「社会に出たときに通用する力を身につける」、つまり自立と考えていました。
ですが、自立したからどうなるの?と聞かれたら、返答に窮してしまいます。
工藤・青砥(2021)は、幸せやウェルビーイングに言及しています。


教育の本質的な目標は自らの力で自分を成長させられる術と、幸せな状態をつくり出せる術を学んでもらうこと


「幸せになりたいなら、自分の幸せと常に向き合っていくしかない」ということです。幸せとはどこかに求めるものではなく、自分の中の幸せと能動的に向き合い続けることで「幸せな状態」、つまり「ウェルビーイング」を実現することができるのです。

確かに、他人から「今のあなたは幸せだから」「幸せとは〇〇である」と言われたところで、ピンときません。
自分の幸せの在り方は自分で決めるしかないことがわかります。
そう考えると、自立も幸せ・ウェルビーイングを実現するための手段のような気がしてきました。
では、どうしたら幸せ・ウェルビーイングを実現することができるのでしょうか?
状態とスキルに着目して、工藤・青砥(2021)は具体を示しています。


その両方の実現に必要不可欠な「状態」が心理的安全性であり、不可欠な「スキル」がメタ認知能力です。

心理的安全性は最近耳にすることが多いと思います、今回はメタ認知に着目して書き進めていきたいと思います。
学生の頃、生活科の講義でメタ認知について知る機会がありましが、「自分で自分を見る」といったようなことを聞いてもよく分かりませんでした。
メタ認知の定義と子どもがメタ認知できるようになるための大人の関わりについて、次のように工藤・青砥(2021)は触れています。


メタ認知とは「自己を俯瞰的に捉え、自己について学ぶ機能」のこと
俯瞰:学びを得るのは「複数の定点」を同時に見たとき


子どもたちにメタ認知を学んでもらうためには、メタ認知ができる大人が伴奏者となって、ひたすら脳に適切な負荷をかけ続けていくしかありません。

筆者が指摘する「複数の定点」というのは大きなキーワードになりそうです。
いきなり、子どもが「複数の定点」で自分を振り返る問いのはハードルが高いです。
そこで、学校でどんな取り組みができるか考えてみました。

・最初は教師が視点を与える支援を行うことで、徐々に自分で複数の定点で振り返ることができるようにする
・OPPAを用いて過去の自分の振り返りと向き合うことができるようにする(デジタルポートフォリオなど)
・協働的な学びで他者の考えに触れる
一朝一夕で身につくものではないことからも、年間を通じた取り組みが必要だと言えそうです。

さて、最後に工藤・青砥(2021)が述べている、子どもに自己決定を促す3つの言葉を紹介します。


1「どうしたの?」
2「君はどうしたいの?」
3「何を支援してほしいの?」


3つの言葉がけを大人が繰り返すことで、結果的に麹町中学の子どもはひたすら自己決定をするしかない環境に置かれることになります。

まずは何でも自分ごとにし、メタ認知を習慣化することが、後々の幸せ・ウェルビーイングの実現に繋がりそうです。

参考文献
工藤勇一・青砥瑞人(2021)「最新の脳研究でわかった!自立する子の育て方」SB新書


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