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イワシとワタシが収まれば一件落着

大根、人参、キャベツ、ブロッコリー、鶏肉、鮭、明太子、ヨーグルト、茶葉、イワシの角煮パック×6‥玄関先が大量の食料に埋め尽くされ足場がなくなる。漏れるため息。いつもの如く罪悪感を抱きながら食料を冷蔵庫に移しパンパンにしていく。埋め尽くされた冷蔵庫内が暗くなったところで玄関先もすっきりと片付く。

この罪悪感は何なのかというと…実家の母親が私たち家族のために車で50分程かけて持ってきてくれたのものに対して、こんなに持って来なくてもいいよと思ってしまう自分に罪悪感、というところでしょうか。そんな私の気も知らずに母は嬉しそうにこう言う。

「イワシの角煮が美味しいって言ってたよね」

はいはい。6パックもあれば充分だよ。あれ?すっきりとしたはずの玄関先に目をやるとまだ大きめのレジ袋が置かれていた。深いため息が漏れると同時に安らかでない自分が出てくる。こんなに食べれるわけがねぇ、勘弁して。昔から母は「美味しい」と聞けばその品だけを大量に買い入れ持ってくるという一種の癖みたいなところがある。いや!それは子を想う母親の愛情だよ♡なんて言われてしまうだろうか。そんなところ、拍車をかけるように母は言う。

「イワシの角煮、レジ袋!」

メランコリックに恐る恐る玄関先のレジ袋を覗くと先程の倍はあるイワシの角煮に驚愕する。合わせましてイワシの角煮×16。手も合わせたいところだ。

我が家は、夫、わたし、子どもが11歳と6歳の男の子の4人家族。残念ながら大食いがいない。子どもは昔からエコな体に育てたためか程々な‥適量な‥まぁまぁに食したらごちそうさま。夫もそこまでは。

私はメランコリックに乗せた活力で「いやっ、ありがとう‥なんだけどこんなに食べれないから!」口にしてしまえば、「わざわざ来てあげたのにそんなこといってひどいね」というループ。それは回避すべきと、

「ありがとう!子ども達も美味しいって」

と眠っていた戦闘態勢を崩す私。「次も持ってくるね」と母が言ったその後に気付く。また美味しいと言ってしまったことに。

同じものばっかり食べたくない!!という本音と、そんなこと気にしてられないとばかりに賞味期限が長くないイワシの角煮と睨めっこ。翌日の朝ごはんから強制的にイワシの角煮を食すという義務が発生する我が家。1日目は新鮮に美味しく頂くものの、2、3日イワシの角煮を食べ、4日目あたりになると「明日は絶対にイワシ出さないで」と家族からクレーム。(ほかほかご飯に甘辛なサイコロ状のイワシをころがせばタレがご飯に染み入り‥ですが)じゃぁいったい誰が食べるんだよっ!?


はい私です。


イワシの角煮を処理しなければならないという主婦の執念は私の胃の中へと処分する他ないのです。イワシがワタシの胃で収まれば家族とも母とも争いが収まるのだから。毎日毎食イワシの角煮を食べていると飽きるどころかなくてはならない存在に。お母さん!イワシの角煮 #買ってよかったもの 。 処分なんて言ったら可哀想にさえ思えてくる不思議で。

そんなイワシとワタシのお話しでした。





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