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握り返す手のぬくもり

「触れる・癒やす・あいだをつなぐ手―TE‐ARTE学入門」川島みどり(編集)

内容説明:

看護の価値は手を用いたケアに。

看護の原点・キーワードはTE‐ARTE。

ケアの達人と研究者が結集。

本書は、看護の手のはたらきを研究して大切さを裏づけ、「TE-Arte」(テアテ)として世界に広めたいと願う著者の入門書で、昔、相次いで病の床に臥した両親や義父に対して、介護を通じて、どんなことができるかとの思いから読んでみた本です。

本来、看護という営みは、人間が備えている自然の回復過程を整えることであると、川島教授は言っています。

たとえ高度医療のもとであっても、その原理はいささかも崩れることはないと・・・・・・

機械的な医療のもとであればあるほど、より人間的なケアが求められ、そのツールこそ看護師の手なのであるとし、触れる・癒やす・あいだをつなぐ手―TE-ARTE学を提唱されています。

確かに、看護とは、字のごとく「目で見て守る」ということですが、ただ見るだけでなく、手を添えて見ることであり、手を通して肌と肌が直に触れ合う、人と人の絆の象徴とも言えるかもしれません。

よく、人は、手の冷たい人は、心が冷たいと言ってたりしていませんでしたか?

逆に、手の温かい人は、心が温かいと勝手にイメージしていたり・・・・・・

恋人と手を繋ぐと、温もりのような暖かな気持ちになりますよね?

誰かが暗く落ち込んでいる時には、言葉をかけるより手をそっと差し伸べる方が気持ちが、より、伝わっていく・・・・・・

本当にそうかもしれません。

世の中が機械化されていったことで、人の愛情とか忘れてしまっているのかもしれません、ね。

そんな状況下であったとしても、経済成長の限界点近く?まで来ていると感じられる日本において、何かが足りないと気付いた人が少しずつ増えているのも事実。

例えば、「手」という接頭語のついた言葉が日本語にはいかに多いか・・・・・・

辞書を引いてみると判ると思います(^^)

手切れ、手際、手ぐすね、手癖、手練手管、手口、手配り、手心、手こずる、手ごたえ、手込め、手強い、手先、手頃、手探り、手さばき、手触り、手品、手締め、手酌、手順、手錠、手燭、手職、手数、てずから、手漉きの和紙、てんてこ舞い、手すさび、手勢、手塩・・・・・・

これらの接頭語達は、いずれも、機械や装置に頼らずに心を込めて手を動かし人や物に接するときに使う言葉です。

「手当て」もまさにそのような美しい日本語の筆頭であり、日本語らしい美しい言葉ですね(^^)

そんな手の言葉達を巡っていて、ふっと思ったのですが、介護という言葉にも、両側から中のものをたすけ守るといった意味があり、守るためにも、看護の観点も必要じゃないかと感じていました。

医療現場に限らず、目覚ましい進歩やIT化は、そこに働く人達に、少なからず影響を与えてしまっているのは、事実なんでしょうね。

もし、その様な状況だとすれば、どの世界の住人であったとしても、手と言葉、態度、振る舞い、そういったものを総合した対応が必要であることを、再認識する時期に来ているのだろうと感じます。

繰り返しになりますが、看護の「看」という字は「手」と「目」という字が合わさっています。

つまり、「手当て」という言葉はまさにその手の持ついやしのパワーを活かして、手で患部にさわり、また、暖かい手で患者さんの手を握ることで患者さんの気持ちも落ち着いたり、励まされるのでしょう。

そして、目でしっかりと、患者さんの状態を観る(観察する)。

看護(介護)する側もされる側の患者(要介護の方々)も人間同士、やはり、最新機材だけに頼るのではなく、フェース・トゥ・フェースの大切さを教えられます。

義夫の数年に及ぶ自宅介護を手伝っていた時期もあり、肝心の手で触れるケアができたことが何よりでした。

背中をさするとか、体の向きを変えるとか、そのぬくもりで不安を癒すことにもなるし、すごくやすらぐのだと感じます。

ナイチンゲールも言っていますが、看護不足が患者の苦しみを作るのだそうです^^;

また、こんな事も仰っていましたね。

「どんな仕事をするにせよ、実際に学ぶ事ができるのは現場においてのみである。」

実際に自分が足を運び、直接見聞きしたこと、人と接して感じたことは、ネットや本からの情報では得られない貴重な価値があります。

自分で体験し、感じることで、多くのことを学んでいけたら、今より、もっと、色んな場面で、それに合った接し方ができるんじゃないかって、そう考えています。

ナイチンゲールは、また、「あなた方は進歩し続けない限りは退歩していることになるのです。目的を高く掲げなさい。」とも語っていましたが、目標があり向上心がある人と、そうでない人では、心身ともに違いがあるのだと、そう思っています。

進歩しようとするエネルギーを失ってしまうと、あとは衰退していくしかないから、現状に満足して安心しないで、更に、進歩することを考え続けていくためにも、物事を始めるチャンスを、みんな逃さないで!

どんな願望や計画を持っていても、実際に何かを始めなければ、現状は変わらない。

小さなきっかけを大切にして、小さなことからでもよいから、新たなことを始めてみる。

ぎこちない、思い通りのスタートではなくても、始めさえすれば、何かが変わっていくから、ね(^^)

カトリック教会にも「按手」という儀式があるそうです。

人は、いずれ死にます。

大切な人とも別れなければなりません。

だからこそ、旅立つ人も、みおくる人も「いい人生だったな」と思える最期にしたいはず。

みんなにくる、その日のために・・・・・・

【参考図書】
「ナイティンゲール 看護覚え書 決定版」ヴィクター スクレトコヴィッチ(編集)助川尚子(翻訳)

「ナイチンゲールの『看護覚え書』 イラスト・図解でよくわかる!」金井一薫(編集)

「ナイチンゲールと「三重の関心」 病をいやす看護、健康をまもる看護」(ナイチンゲール生誕200年記念出版)フローレンス・ナイチンゲール(著)早野ZITO真佐子(翻訳)

「ベナー看護論―初心者から達人へ」パトリシア ベナー(著)井部俊子(監訳/ほか訳)

「ベナー看護ケアの臨床知―行動しつつ考えること」パトリシア・フーパー・キリアキディス/パトリシア・ベナー(著)井上智子(監訳)阿部恭子(ほか訳)

「看護のための精神医学 (第2版)」中井久夫/山口直彦(著)

「看護倫理―見ているものが違うから起こること」吉田みつ子(著)

【■Do(´◇`*)】
酒井ミキオ「Wonderful Life」
https://www.youtube.com/watch?v=NgO1aFrt10g

lecca「live again」
https://www.youtube.com/watch?v=gLVrM-XUamk

ケツメイシ「ライフ イズ ビューティフル」
https://www.youtube.com/watch?v=97B6esqBJuk

Ms.OOJA「I can change」
https://www.youtube.com/watch?v=xCS68ySrWYs

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