①/②この本、ここが使えます!『ストーリーとしての競争戦略』_「戦略を立てる時、起こること」
多くの企業は、戦略・戦術を立てて目的・目標の実現を目指しています。
しかし、その戦略が本当に上手くいっているかと問えば、あまり上手くいっていないのではないでしょうか?
そこで改めて戦略とは何か?について分かり易い書籍を探したところ、『ストーリーとしの競争戦略』楠木建著 東洋経済新報社という書籍をみつけました。
要約すると
・顧客の潜在ニーズを見つけ出し
・そこに一本の線で繋がったストーリーがある戦略戦術を実践する
・その先には顧客の喜びと成果に繋がる
というものです。
果たして、本当にそうなのか?
今日は、ロジラテ思考(What,Why,How)で、現実のビジネスで使えるのか検証してみました。
1.「What」_戦略を立てるとき、何が起こっているのか?
ビジネスの現場では、戦略とか戦術という言葉が飛び交っています。
トップや上司から言われることは、
「そのマーケットを攻略するための戦略はあるのか?」
「競合他社のベストプラクティスと彼我比較したのか?」
と言われ、戦略の本当の意味など考えることもなく、トップが気に入るようなパワーポイントで作られた美しい資料が経営企画室で作られます。
そこには沢山の戦術が積み上げられているけれど、顧客が喜ぶストーリーではなく、自社の都合が優先された戦略と戦術が積み上げられています。
この本は、戦略とは何か?戦術とは何か?を教えてくれています。
1)戦略とは何か?
戦略とは「違いを作って、繋げること」だと言っています。
「違い」とは ⇒ 他社との違い
「繋げること」とは ⇒ 2つ以上の事柄の間の因果関係
「因果関係」とは ⇒ 事象を繋げてストーリーを作ること
要約すると、以下のようになります。
まず「誰に」「何を」「どうやって」提供するのか戦術を立てる。
次に、その戦術を繋げてストーリーとして生み出された価値を顧客に喜んで貰う。
例えば、Uberは以下の戦術を繋げたストーリーを提供しています。
「外出できない または したくない人達に」
「信頼できる運び手を確保して」
「オンラインでオーダーすれば、望みのものが時間通りに運ばれる」
2.「Why」 何故、戦略にストーリーが必要なのか?
経営企画室が作る戦略は、次のようなものが多く見られます。
1)目標を達成するための戦術を捻り出し、バラバラに積み上げる
2)見た目が美しいプレゼン資料に仕上げる
3)アクションリストの背景とエビデンスを集め理論武装する
アクションリストの中身は、まるで静止画の集まりで、全体がどのように動いて、何が起きるのかというストーリーが見えてこないものです。
代表的な静止画には、Swot分析や他社のベストプラクティスがあります。
1)「Swot分析」のリスク
・自部門(自社)と他社の違いだけを見てしまい、因果関係を見ない。
⇒ 理由は、他社の「強み」は企業の背景や風土の上で成立っているから
・テンプレートを埋める作業に集中しまう。
⇒ 理由は、目的がテンプレートを埋めることになってしまうから。
2)「他社のベストプラクティスに学べ」のリスク
そもそも戦略とは、「違いを作って、繋げること」ですが、経営トップは一番楽で、一番早く業績をあげる最適解は「他社のベストプラクティス」を真似ればいいと考えてしまいます。
この戦略は、ある程度の成功は収めることができるますが、一番手を追い越すことはできません。
例えば、トヨタのTQM(Total Quality Management)です。
トヨタのサプライヤーメーカーは、トヨタから品質向上の指導を受けて、目を見張るような品質向上に成功しています。
しかし、トヨタのTQMを超える企業はいまだ見出せません。
何故でしょうか?
それはトヨタの中で、自身でも言語化できない暗黙知(企業文化、背景)が社員間に共有されていて、それが高いレベルのTQMを実現していることが底流にあるためではないでしょうか。
トヨタのTQMを超えるベストプラクティスを生み出すためには、自社ならではの暗黙知(背景、風土、「強み」)を活かしたTQMをイノベーションするしかありません。
これが「他社のベストプラクティスに学べ」が上手くいかない理由だと思います。
3.「How」 ストーリーになった戦略戦術はどうやればできるのか?
さて、ここからは私の考察を書いていきます。
戦略とは、「違いを作って、繋げること」と述べましたが、違いを知ることは、まずは自社の特性を知っていなければできません。
例えば、自社の特性を知る一番簡単な方法は
・大きな問題があったとき
・顧客の不満があったとき
・自社にとっての不都合なマーケットの変化があったとき
などに直面したとき、以下の4つを自己分析すると自社はどういう企業なのかが見えてきます。つまり、それが自社の特性になります。
・最初に何を見ようとしたのか?
・何を分析して仮説を立てたのか?
・解決すべき課題は、どうやって立てたのか?
・課題を解決するために、何をしようとしたのか?
読者はお気づきかも知れませんが、これはロジラテ思考法といいます。
物事を以下のようにWhat,Why,Howで分析して本質を理解するものです。
What 何が起こって
Why 何故それが起こって
解決すべき本質的な問題(課題)は何か?
How 課題を解決するためには、自社の特性を使って何をするか?
これを時系列に記録し、分析していくと「違いを作って、繋げること」という戦略が完成されていきます。
皆さんはいかがお考えでしょうか?
【最後に】
この記事は、全ての物事をWhat~Howに分解するロジラテ思考で書いています。ご興味ありましたら、是非ロジラテ マネジメント マガジンお読み下さい。
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