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セカンドライフ_「イタリアワイナリーの素敵なシニア達」#P03

私はイタリアワインが大好きです。

何故か?

あまりに愚直で生真面目で、でも適当なところもあって、そのシレッとした作り方に自分の生様と相通じるものを感じているのかもしれません。

 そう思えるようになったキッカケは、イタリアのピエモンテ州 バルバレスコ村を訪れたときでした。

バルバレスコ村は人口700人ほどの小さな村ですが、こんな小さな村にGAJAなど世界のトップブランドを作り出している稀有な場所で、まるでニューシネマパラダイスに出てくるような村です。

 さて、ここで何があったのか。

 村の真ん中にあるレストランでランチを取り終えて、(勿論 昼から飲んでます 笑)散策していたら、ロータリーのベンチで三人のお爺さんがおしゃべりしていました。

この光景はイタリアの田舎町では日常なのですが、夕方近くになってから再び散歩に出かけみると、先ほどのお爺さん達がまだおしゃべりしていたのです。

 「え! まさか ずっと。。。ここで?」と彼らを見ていたら、一人の老人と目があった。

 ご老人 「どこから来たの?」

    「日本からです。ところでここにずっと居たのですか?」

 ご老人 「そうだよ なんで?」

    「何か、仕事はしているのですか」

 ご老人 「もちろんさ。ちゃんと働いているよ。 なんで?」

 ご老人の話を要約すると

バルバレスコのワインは、ネッビオーロという品種のブドウを使っているのですが、育て方が非常に難しいのだそうです。

 まずは、葡萄の木の背丈が145CM以上に育つと、途端に味が落ちるので小まめに剪定をしなければならない。 

次に夏は雷が多く、雹(ヒョウ)が降ってくるので、ブドウがダメになる。そうならないように、空に向かって大砲で空砲を撃ち雲を散らさなければならない。

それを担っているのがこのご老人達ということらしい。

そういえば村に着いたとき、時々“ドーン ドーン”という音が聞こえていたから、あれは雷だと思っていたけど、どうやら大砲の音だったらしい。

 但し、本当に空砲で雷雲が散ってくれるかどうかは疑わしいが、兎に角このご老人達は、自分の仕事に誇りを持ち、

「バルバレスコのブランドは俺たちが作っているんだ」

という自負をお持ちだということが分かった。

 だからこうして昼間から何もせず、おしゃべりしているように見えるけれど、ちゃんとここが俺の居場所だというプライドがあるらしい。

それが証拠に、通り過ぎる地元の若者達は、彼らに必ず「チャオ!」と声を掛けて通り過ぎていき、ご老人たちは堂々とシレッと「チャオ」と交わしておしゃべりを再開するのである。

 私。この生き様、目指す姿です。(こうなりたい!)

 サラリーマンは、自分の成功を出世というモノサシで測ることができます。

しかし人生においての成功者は誰かと問われれば、このご老人達のように自分は何者か?を分かっている人達だと思います。

 「自分は何者か?」をしっかり持っていて、ちゃんと社会に貢献できる価値を持っている人になるということです。

  ビンテージがどうのとか、どこそこの作り手がどうのとか薀蓄(うんちく)を語るワイン好きは沢山います。

でも私は、空に向かって放つ空砲が、本当に雹(ひょう)を遠ざけているかはさておいて、そういうことに真摯に向き合っている老人を思い浮かべながら幸せな気分でワインを楽しむほうが好みです。

私も、彼らのように自分は何者かをしっかりもって、誰かの喜びや幸せに貢献できるような人生を歩みたいものです。

これぞ私のセカンドライフの目指す姿です


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