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「露天商から学んだマーケティング術」

いまから45年前の大学生のころ。
私は、夏休みに露天商でアルバイトをしていました。

地方の夏祭りをハイエースに乗って転々を渡り歩き、露天を出していくのですが、今思えばここでマーケティングの基礎を学んだと思います。

今日は、そのときのお話をしたいと思います。
注)今は2022 年、コンプライアンスの問題となる内容もありますが、ご容赦を!

1.露天商は、場所取りが命

親方は、お祭りがいつどこで開催され、どの場所に、何を売ったら、どのくらいの商いがあるか?、また競合はどのくらい出店するのかを頭に入れていました。

現場につくと、一番いい場所を改めてリサーチし、場所取りのジャンケン トーナメントに備えます。
※当時の場所取りは、ジャンケン合戦で決めていました。今はもっと紳士的な方法で決めていると思います。

従って各露天商に所属する選りすぐりのジャンケン猛者達が、ジャンケン トーナメントに挑むみます。

彼らは常日頃から相手の表情や仕草で、何を出してくるか推理する訓練して、ジャンケンスキルを高めている人達で、まさに真剣勝負でした。

このように露天商は、お祭りの前から戦いが始まり、「市場調査」「競合調査」「売り場の調査」を進めていました。

すごいマーケティング力でしょ?

2.マーケティングの後は戦術が勝負

出店の場所は決まった!
次は、お好み焼き、綿菓子、金魚すくいなど、どのコマに何を置くかが売上げに大きく響きます。

これは、親方の長年の経験と勘によって決められていくのですが、これが恐ろしいほど的中するのです。

私の担当は、もう今ではあり得ない商売なのですが、「カラーヒヨコ」でした。

若い人達はご存じないと思いますが、弱っているヒヨコを業者から仕入れて縁日で売る商売です。
※ 今なら動物愛護協会から、一発で訴えられる酷い商売です。 怖!

しかもヒヨコたちは、赤、青、パープル、ショッキングピンク、オレンジなどのラッカースプレーで、色鮮やかにお化粧されます。
※ これも動物愛護協会から訴えられることですが、もう45年も前の話なので。。。ご容赦! 怖怖怖

ヒヨコ売りのリーダーは、お祭りが始まる前に必ずやることがあります。

それはお祭り会場の近隣や、近くの繁華街を歩き回わってマーケティングをします。

読者は、
「え?! マーケティング? 歩き回るって何を調査するの?」
と思われたでしょう。

私も初めて行ったときは、いったいこの人は何を観ているんだろうと思って、理由を聞いてみました。

すると、こんな答えが返ってきました。

【ヒヨコリーダー】
「飯田君。周辺を観ないと、今日どんな客層がくるかわらないだろう?」
「ヒヨコの色は、客層で決まるんだよ」

【私】
「え!? 客層によって色が変わるんですか?

【ヒヨコリーダー】
「当たり前だろう。ヤンキーが多そうなら パープル
「ヤンキーカップルが多そうなら、ショッキングピンク
「小さいお子さんが多そうなら、お化粧しないヒヨコの割合を増やす」
「だってパープルのヒヨコがいたら、幼い子供達はビビるだろ?」

【私】
「絶句。。。。。。」

言われてみれば、当時のヤンキーはパープル、ショッキングピンクが大好きで、愛車(シャコタン車)の内装はパープル系の絨毯が敷いてありました。
※シャコタンとは、車の車高を極端に下げた悪い子達の車のことです。

お祭りが始まると、見事にヒヨコリーダーの読みは、的中。
ショッキングピンクのヒヨコが、馬鹿みたいに売れていきました。

ドラッカーの言うところの
「我々の顧客は誰か?」
をヒヨコリーダーは見事に実践して見せくれたのです。

3.マーケティングの基本は、現場を観ること


このアルバイトは2年間やりましたが、彼らから学んだことは、
マーケティングとはデータと現場の検証が基本だということです。

その上でトライアンドエラーを繰り返し、お客様が喜ぶことは何か? 、お客様に貢献できることは何かを真摯に考え抜くということです。

ドラッカーは社会人になってから学んだけど、すでにその真髄は露天商バイトにあったんですよね。。。 深いなぁ







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