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【読書感想】他者と働く

どうも、地方公務員のばたやんです。
今回は、以前読んだ組織作りに関する本の感想を書いていこうと思います。

🔹他者と働く

著者:宇田川 元一

🔹なぜこの本書を読もうと思ったのか

我々公務員は省庁や自治体といった「組織」に属して社会活動をしています。
ですので一人で進められる仕事はそんなに多くないのです、そうするとどこかしらで他者とかかわりながら活動していることになります、本書のタイトルでもある「他者と働く」から何かヒントになることがあればと思い読みました。

🔹本書の感想

ビジネスの現場で起こる諸問題は、なぜ起きてどうすれば解決できるのか。というのが本書のざっくりとした内容で、諸問題の解決には対話が必要で、対話をするためには、”相手の立場”に立って考えましょうというのが結論です。

え?そんなことはわかりきっているって?そうでしょう、しかしながら”相手の立場に立つ”ってどんなことかが分かる、というのが本書の本質かと思います。

本書を読んで得た気づきをまとめます。

○組織内で起こる問題はどのようにして発生しているのかが分かる

ビジネスの現場で生じる課題には2つのタイプがあり、1つは既存の方法で解決できる「技術的問題」、もう1つは既存の方法では解決ができない、複雑で困難な「適応課題」です。適応課題の例としては、他の部署に協力を求めてもなかなか協力が得られないといった、これといった解決策が見つからない問題を指します。

本書で「適応課題」は関係性の問題であるとしており、”道具としての関係性”が対話できない関係性になってしまうとしています。

○適応課題のタイプを知ることができる

  1. ギャップ型
    大切にしている「価値観」と、実際の「行動」にギャップが生じるケース
    例)日本でいう女性の社会進出阻害問題
    問題は(狭い意味で)合理的に発生する。

  2. 対立型
    互いのコミットメントが対立するケース
    組織の対立はどちらかが明確に間違っているわけでもどちらかが明確に正しいわけでもない、どちらも互いの「合理性の根拠」がすれ違うことが対立を生む。
    合理性の根拠は枠組みの違いをどう解決していくか。

  3. 抑圧型
    「言いにくいことを言わない」ケース
    何かを言うのが難しい関係性であったり、言うことで何か面倒ごとに巻き込まれてしまうような抑圧された関係性のこと
    組織の中で「ものを語れる」関係性が狭くなってしまっていることで発生する。
    組織の中で語れる範囲を広げていかなければいけない。

  4. 回避型
    痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために、逃げたり別の行動にすり替えるケース
    多くの人が個人の能力的問題や技術的問題で解決できなく、組織レベルで抱えている問題に根本的に取り組まなければいけないことに気が付いているが、それに取り組むことが難しいので別の行動や問題にすり替えてしまっている。
    取り組むべき課題に向き合うことが必要。


○相手の立場の正体に気づく

本書では”相手の立場”を「ナラティブ」と呼んでいます。
厳密なニュアンスは違うのですが、わかりやすく”相手の立場”としております。

ナラティブ(narative)」とは物語、つまりその語りを生み出す「解釈の枠組み」のこと
ナラティブはストーリーとは違う、ビジネスをする上での「専門性」「職業倫理」「組織文化」などに基づいた解釈が典型的。

例)上司と部下の関係性
  上司は部下を指導し、評価することが求められる中で、部下にも従順さを求めることが多い。また部下は上司にリーダーシップや責任を求め、その解釈に沿わない言動をすると腹を立てる。互いに「上司たるもの/部下であるならば、こうあるべき」という暗黙的な解釈の枠組みを持っている

ナラティブとは、視点の違いにとどまらず、その人たちが置かれている環境における「一般常識」のようなものということです。

○相手の立場に立つ方法を学べる

ナラティブは人によって違います、相手と自分のナラティブの違いを溝と捉えて、その溝を渡るプロセス自体を対話と捉え、適応課題を解決していくと本書では言っています。

  1. 準備「溝に気づく」
    相手と自分のナラティブに溝(適応課題)があることに気づく

  2. 観察「溝の向こうを眺める」
    相手の言動や状況を見聞きし、溝の位置や相手のナラティブを探る

  3. 解釈「溝を渡り橋を設計する」
    溝を飛び越えて、橋を架けられそうな場所や架け方を探る

  4. 介入「溝に橋を架ける」
    実際に行動することで、橋(新しい関係性)を気づく


○実践例で様々なパターンの溝を知る

「ナラティブ」は人によって違うので、溝の渡り方もケースバイケースになります。
本書では3つの実践例でそれぞれの対応のやり方を説明しています。

実践1.総論賛成・各論反対の溝に挑む
実践2.正論の届かない溝に挑む
実践3.権力が生み出す溝に挑む


○溝の渡り方を身に着けると組織も個人も成長する

溝の渡り方を身に着けることで、対話ができるようになるので個人として周囲から信頼を得ることができますし、それによって新しい関係性が構築されます、そうすることによって組織も強くなっていきます。

本書では「反脆弱性」な組織と呼んでいます。

対話を通して「反脆弱的」な組織へ
「反脆弱的(anti-fraghility)」とは、ナシーム・ニコラス・タレブの著作に示された概念=いろいろな問題や困難に直面するほど強くなる性質のこと
他者と働く


他部署連携の多い部署へ移動したので、私も再度本書を読んでナラティブアプローチについて理解を深めたいと思いました。

この記事の内容が誰かの力や気づきになれれば幸いです。

それでは、地方公務員のばたやんでした。