旅の記憶 1994・夏 小さな村にて #6
30年前の夏
僕はペシャワールの
小さな村にいた
村の中を歩く
カメラを向けると逃げる子供達
当時は当然スマホなんかないし
この村ではきっと
カメラもそんなに
一般的ではなかったと思われ
写真を撮られることは
少し特別なことだったと思う
こんなやりとりを何度も繰り返しているうちに
子供達もだんだん慣れてきて
逃げる頻度も少なくなってくる
今と違って、撮った写真を液晶画面で見せられるわけでもないから
本当に撮られるだけなのだけれど
写真を撮られるっていうこと自体が
ちょっとしたイベント的な扱い
だから子供達は
何度も僕たちの前に戻ってきたかなと
歩く僕らの周りを
ずっとついてくる子供達
あの時のこんな距離感
旅行者とカメラと子供達
今思うといい時代だったなと思う
小さな村の散策は
まだ続く
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